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転生阻止の魔法少女  作者: 反七夕のプリンス
電脳怪談の遊戯少女
10/20

2-2

『先日、相次ぐ怪事件に対し、警察が特別捜査本部を立ち上げた事が記者会見で発表されました』


 夏子がつけたテレビに、それは映っていた。


「……何だこれ」

「『空飛ぶトラック』騒動」夏子が神妙な顔で言った。「たくさんの連中が見てたらしいから特別捜査本部ができるんだとよ」

「ああ、あれか?俺も見てたぜ、『あんな動き方するか?』って思いながら」

「これも『神徒』がやってた事だ」

「え!?おいおいガチかよ『神徒』の件」

 目を丸くする真司。

「そうなんだよ」険しい顔つきで裕誠が言った。「この件も含めてだが、これから『神徒』にどう対応していくか……それを決める為に真司を呼んだって訳だ」

「ほえー」真司は口を数秒間ポカンと開けた後、我に返って拒絶した。「無理無理、俺みたいなパンピーに出来るわきゃねえだろ」

「でも当事者がやらなきゃだ、やらなきゃもっと人が死ぬかもしれないし」

「説得中悪いが本題行くぞ」

夏子が口を出した。二人は夏子を見る。

「最近、ネットカフェで()()()()()事件が発生してんだよ」

「おい」真司が一言漏らした。「それ人に連れ去られたか何かだろ」

「違う」夏子が断じた。「個室にいる筈のヤツがそのまま消えてんだよ、ロックもかけた状態でな。のぞき窓から見てやっと、って訳だ。裕誠のパソコンでニュース見せて貰った」

「……?」

 真司は言葉を失った。

「まあそうなるのも無理ないよな」裕誠が仕方ないという風に言った。「でも俺だって理解できないまま変な目に遭ってるんだ。今となりゃ、これも『神徒』ならやりかねないって思ってるけど」

「ハァ……俺は何か変なクスリでも飲まされたか?それともこの二人が――」

「じゃあお前から血を取り出して、と」そう言って再び槍を取り出す夏子。

「や止めてくれ頼む」と、真司。

「じゃクスリじゃねえな」

「そんな確かめ方すんのか!?」

「クスリやってたらそのまま斬ってたぞ」

 笑い合う三人。そこに、テレビは容赦無く言った。

『速報です。新宿のネットカフェで利用客の姿が消えたとの情報が入りました』





「さあ、今日から大忙しになるぞ」

 権藤久臣(ごんどうひさおみ)警視総監が重い物を動かしたように言う。その様子を見て、僕は素早く応える。

「はい、万事任せて下さい」

「全く、お前という奴は」権藤総監は困ったという風の顔を作って見せた。「何の為に我々がチームになってる。誰か一人に無理をさせない為だろう」

「しかし、今回の連続失踪事件は史上最も不可解な事件……僕を呼んだのも捜査の実力を使いたかったからでしょう?」

「そのお前が過労で倒れたら意味が無いだろう。休みたい時はいつでも言ってくれたまえ」

「僕はまだ若いからいいです。それより権藤総監の方がお体を大事になさっては」

「何を言うとる。私はまだまだ現役だぞ?」


 記者会見を終えた僕と権藤総監は、消失事件現場に向かっていた。

 この一週間、怪事件が頻繁に発生している。トラックが空を飛び、ネットカフェで人が突然消えている。空飛ぶトラックについてはさておき、ネットカフェの連続失踪事件は解決できるかもしれない。という考えから、『東京大学を首席で卒業し、警視庁捜査一課に22歳の若さで入ったエリート』たる僕、()(くに)()(ろう)が捜査の主力に選ばれたのだろう。

 ならばやるしか無い。僕が主力として選ばれたからには。

 そう胸に負って、次のセリフを言った。

「いえ、僕がやらなければ他の人がその分苦労する。そんな重荷を乗せる為に僕が呼ばれたのなら、寝る間も惜しんで捜査をする覚悟です」





「特別捜査本部、ね……」

 万年巡査の俺に関係の無いニュースを見て、俺は深く溜息を吐いた。

「無駄な高給取りの巣窟にしかなんねえのによ」

「何言ってんだ、関係無い人間を見て」

「うげっ」

 同僚の的織(てこり)に声を掛けられ、姿勢を正す。

「パトロールの準備しなくていいのか」

「おお、すまんすまん」

 大急ぎでパトロール準備に取り掛かる。

「たく、これだから万年巡査じゃないのか」

「うるせえやい、お前だって同じだろが」

 準備が終わり、的織を見ながら愛用の自転車に跨る。

「ハァ……とにかく、巡査の仕事はパトロールって相場が決まってるんだ。間違っても()()()()を解決しようだなんて思わない事だな」

「こんにゃろ、次お前がパトロール行く時ぁ、もっとひでぇ言葉投げてやっからな」

「はいはい」

 不満をペダルにぶつけて、俺は自転車を急発進した。


 正式配属から14年。俺、欠端(かけはた)般平(はんぺい)は未だに昇格できず『万年巡査』状態だった。当然、給料もそんなに上がらず、金持ちに憧れる生活を送っていた。結婚もできていない。童貞ならもう捨ててるが。

 だから高給取りを見るたびに、自然と羨望の眼差しってやつが出てくる。だが同僚の的織(てこり)(りく)はそれを理解できてない。


 さて、アイツは「例の事件を解決しようと思うな」と言った。これは俺にとっちゃ「例の事件を解決すればいいさ」って意味にしか聞こえなくなってる。末期だな、コレ。それもこれも、トラックに轢かれそうになって何故か助かったアイツのせいなんだろうが。


 とは言ったが、まずはパトロール。サボったらアイツが何言うか分からねえからな。

 例の事件の解決はその後からでも遅くないだろう。





「サンダーマスター」

「何でしょうか」

「既にゲームゲートが本格的に活動を始めたそうだ……お前は()()()()()()()の中であまり能力を使わない方が良い」

「どうしてですか」

「ビッグリグスの戦いが見られていたのを忘れたの?」

「能力がバレると我々の行いも断罪される危険性がある」

「ゲームゲートはどうなんですか」

「アイツは何も考えなくても行方を眩ませられるのよ」

「ハァ……では、もし魔法少女に見つかって攻撃されたら……?」

「まあ落ち着け。能力を使って良いタイミングは二つ。一つはお前が言うように、魔法少女と戦闘になった時。もう一つは死を目撃されずに確実に対象を殺せる時だ」

「では、魔法少女に攻撃された時は……異能攻撃も辞すな、と」

「その後半径2キロメートルの者を全員殺す覚悟があるなら、な」


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