―エピローグ―
咲が待ち合わせの場所に着くと、知世は既にそこで待っていた。
綺麗で長い髪の毛に整った顔立ち、そこに居るだけで存在感があり、周囲の視線を集めていた。
知世は世界の綻びがある樹海の守人を続ける生活を続けながらも、たまに咲と会って遊ぶようになっていた。
そして、今日はもう1人。
「お待たせ」
遅れてやってきた少女は来るなり知世の頭に手を乗せ、髪を乱すかのように撫で回した。
「シン、いきなり何をするのですか!」
名前を呼ばれた少女は気にも留めず、撫で回していた。
服装はいつもの鎧姿ではなく、女性らしくオシャレな服に身を包んでいた。
「私が普段忙しいのは、誰かさんが世界を滅茶苦茶にしてくれた所為なんだから、これぐらい、いいだろ?」
そう言われて、知世は頬を膨らましたものの言葉では何も言い返せなくなる。
事実、シンは気性の荒い魔物が多種族と仲良く暮らしていく為に、各地で発生したトラブルなどの処理に追われていた。
「それより、早くどっか行こうよ」
そう言って、シンは知世の背中を強めに押す。
それと同時に知世は軽く悲鳴を上げる。
シンはそれを見て、満足そうに笑った。
「視力代わりに魔力使ってるの知っていて、やっているでしょ?」
「当然。でも、未だに魔力無しでは一人で歩くことも出来ないのか?」
シンは悪戯っぽい笑みを浮かべたまま知世に聞くと、知世は恥ずかしそうに頷いた。
「そうか、そうか。なら、私が近くに居ると困る訳だ」
シンは嬉しそうに答え、知世から離れようとしなかった。
咲が知世の手を握ると、知世もその手を握り返してくる。
「なにがあっても、私は知世の親友だからね」
耳元で囁くと、咲は知世の手を引っ張って歩きだしたのだった。
駄文ではございますが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
かなり前に書いたものではございますが、楽しんで頂けたなら幸いです。
自分で命名周りがどうにかならないのかとは思いましたが、敢えてそのままの名前で投稿しました。
特に必要ないかとは思いましたが、次回、登場人物一覧でも書いて終わりにしようと思います。




