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婚約破棄のさせ方

作者: 宮下茉弥

 その日、わたしたちはいつものように庭園をかけまわって遊んでから、お茶をしていました。いつものように最近あったことを話したりするのです。いっぱいお話をしたあと、いつもいっしょにあそんでいるアレンくんからぶあついお手紙を渡されました。

 「マリーちゃん、これはね、あにうえからのおてがみだよ。だれにも見られちゃいけないっていってたからあとでひとりになってから読んでね。」

ふうとうを見ると、キレイな字でセイン・スチュアートと書かれています。まちがいなくアレンくんのおにいさんからのおてがみです。なにがかいてあるのでしょうか。とっても気になりますが、わたしはいいこなのでがまんすることにしました。


 アレンくんを門まで見おくってお別れをしたあと、わたしはいそいでわたしのへやに行きました。もちろん走りませんでしたよ?わたしはいいこなので!

 メイドさんに下がってもらったあと、ふうを切ってみるとそこにはおおきな字で「婚約破棄のさせ方」とかいてありました。婚約というのは「おっきくなったらけっこんしようね!」とやくそくをすることで、それに破棄をつけるとやくそくをやぶるという意味になるそうです。

 わたしは先日、王子さまであるアルベルト殿下と婚約したばっかりなのです。

 殿下はわたしのことを無視して、いっかいもお話しはできませんでした。わたしのことがきらいなのでしょう。わたしもかなしかったです。

 だからこの婚約破棄は、わたしと殿下の婚約破棄のことを言っているのだと思います。よくわからないままですが、とりあえず中身を読んでみることにしました。



ふ〜。やっっっと読みおわりました。ていねいな字でかかれているので読みやすいのですが、りょうがとんでもなく多かったのです。まあ、だいたいの内容はわたしがわるーい子になったふりをすれば殿下はもっとかわいい女の子の方がいい、といって婚約破棄をするそうです。でも、ほんとうにわるいことをしてはダメで、いいことをしていなければいけないそうです。悪いことをしていると、いいわけができなくなるからだそうです。あと、「わたしはやっていない!」という証拠を残しておかなければならないそうです。

 まあ、正直にいってしまいますと、わたしは殿下のことがだいっきらいですし、その・・・セインさまが好きなのでセインさまの言うとおりにやってみたいと思います。むずかしそうですが、がんばります!


それから、わたしとセインさまはお手紙を出しあい、つぎはどうしたらいいか、などの婚約破棄についての話し合いをすすめながらいそがしい日々を送っていきました。


そんなある日、たまたま参加していた夜会で殿下に婚約破棄を宣言されました!やったわ!セインさまの言う通り、おとなりには可愛らしい姿の令嬢がいます。しかも、やってもいない罪を述べられたので、わたしがやっていないこととその根拠を一つ一つ、丁寧に答えていきます。殿下と令嬢はなんだか徐々に顔色が悪くなっていきました。

カチンコチン、と音がしそうなほどキレイに固まったままどちらも動かないので、これ幸いとばかりに「婚約破棄は受け入れますわ。お二人で末永くお幸せに」と言ってからカンペキなカーテシーをきめ、静かにその場を去りました。


それにしても・・・セインさまってすごいわ!この状況は手紙とそっくりそのまま同じなんだもの!表情には出しませんが、興奮してしまいます!さあ、待ち合わせ場所に向かいましょう!


あ!いましたわ!壁にもたれかかっている様も美しくて、うっかりしていたら見惚れてしまいます!

 「セインさま!」

声をかけるとわたしに気づいて軽く手を振ってくれます。ああ!ううう美しいわ!・・・ではなく。急いでセインさまに近寄ります。「セインさま、今まで大変お世話になりました!あなたのおかげで殿下との婚約破棄に至りましたわ!あなた様の思い描いた通りの婚約破棄ですのよ!」

「ああ、よかったね。それでは私と婚約しようか。」

「はいっ!本当にありがと・・・うぇぇ!?あ、あの?セインさま?」

「ん?なに?」

首をコテンと傾げる姿、可愛らしいですわ!って違う違う。

「あの、わたしの気のせいでしょうか?婚約しようと聞こえた気がするのですが。」

「うん、だってそう言ったよ?了承してくれるよね?」

「了承はしますが、早過ぎやしませんか?」

「はぁ?早過ぎ?そんなことない。僕は今までずっとずっとずっとまってたんだよ?むしろ遅すぎるくらいだから。さあ、結婚に向けての準備始めるよ。OKはもらったから。」


それから数年後。わたしは子供たちの笑い声と旦那様の深い愛に包まれながら今日も楽しく過ごしています。




婚約破棄のさせ方《完》


ちなみに主人公の本名はローゼマリー・ルイエンです。

お読みいただきありがとうございました!

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