倉持と金剛
金剛 部長 37歳 156 53
当時23歳
倉持千秋 29歳 171 58
長女
当時15歳
倉持真冬 28歳 168 56
次女
当時14歳
倉持千夏 24歳 166 55
当時10歳
花
母親
当時30代
倉持が金剛に出会ったのは中学生の時だった。
花「と、いうことで、夏休みの期間限定で、金剛さんが家庭教師をしてくれます。 しっかり勉強しなさいよ。 特に千秋、受験勉強がんばりなさいよ」
千秋「はぁーい」
金剛「久しぶり、覚えてるかな? 法事で会ったっきりだよね。 えーと、親戚だけど…結構遠いですよね」
金剛が不安げに花に尋ねる。
花「そうね。 ぶっちゃけ、私親戚付き合いあまりないから、分からんでもしょうがないか」
金剛「はは… ですよねー… じゃあ、改めて、金剛です。 えーーっと、今年大学卒業します。 就活も終わって暇なので、こっちに帰ってきています。 で、ウチの母から親戚の受験勉強を見てやってほしいと頼まれてやってきました。 ということで、みんなよろしくね」
倉持「よろしくお願いします」
金剛「あ、君が徹君かぁ… 利発そうな子だぁ。 そういえば、ウチの本家筋の方に同い年ぐらいの子がいたよ。 めっちゃ可愛いから、もし興味があれば紹介してあげるよ」
倉持「いえ、大丈夫ですよ」
金剛「えー、めっちゃ可愛いのに?」
倉持「はい」
倉持の金剛に対する第一印象は、良くしゃべるマイペースな人…だった。
それから毎日のように金剛は勉強を教えに倉持家を訪れていた。
千秋は強制的に、毎日勉強。
真冬は気分で参加したりしなかったり。
倉持は毎日一生懸命勉強していた。
そのうち、倉持は千秋の勉強に追いつくまでになった。
金剛の脇の下からかすかに覗くブラジャーは姉たちのものと違って見えた。
それが目に映るたび、倉持はどぎまぎしていた。
金剛もそれに気づくようになっていた。
しかし、倉持の初心な反応を可愛く思いついついからかってしまっていた。
時には、胸を押し当てるようなこともしていた。
学生時代、金剛はモテていた。
言い寄ってくる男性も多く、選び放題だった。
気軽に付き合ってみるが、冷めるのも早かった。
大抵1か月も持たないうちに別れを切り出していた。
金剛の中には、どうせ、いつか適当な相手が見つかるという思いがあった。
金剛は何事もそつなくこなすことができる。
勉強も恋愛も、人間関係も就職も自分の思うように事を運べていた。
挫折や苦悩もあまりない。
そんな金剛にとって、倉持は少し面白い存在であった。
何度か勉強を教えに来るうちに、倉持のある性質に気付いた。
自分や姉、妹と意図せず接触する機会が多いということだ。
金剛においても故意にしている時もあるが、意図せず、胸がこぼれることも何度かあった。
どうして、倉持の前でだけ、このようなことになるのか…
どうして、倉持の周りでは、このようなことが起きるのか…
不思議に思った金剛はある日、ひっそり花に尋ねた。
花「…ラッキースケベ体質って信じる?」
金剛「…え? ふざけてます?」
花「大マジよ。 あの子の家系の男性は代々その体質を持ってるの」
金剛「…うちにはそんな体質の人いませんけど」
花「ええ、どうも、そういうのはこっちの方だけ見たいね」
金剛「…そういうの? 他にも、何かあるんですか?」
花「あ… まあ…ね。 あるにはあるんだけど、私からは言えないかな」
金剛「何ですかそれ? まあ、そのうち本人にでも聞きますわ。 とりあえずラッキースケベに合いやすい体質ってことですね。 合点がいきました」
ある日、倉持たちは近くの神社での夏祭りに参加した。
千夏が景品を欲しがれば、倉持は型抜きも射的もこなし、簡単に景品を取ってしまう。
金剛「器用だねぇ」
倉持「そうですか? まあ、これぐらいは… そこまで難しくないですよ」
倉持と金剛、千秋に真冬、千夏は花火を見るために境内へ行く。
千秋「そうだ徹。 先生を特等席に案内してやれよ」
真冬「だね。 千夏は私たちが見ておくから行ってきなよ」
千夏「えー。 私も行きたい」
千秋「やめとけ、千夏が行くのはまだ早い」
倉持「茂みの奥だっけ?」
千秋「そうそう。 急がないと花火始まっちゃうよ。 先生も、ほら」
金剛「へー。 そんなにいい場所があるんだ。 行ってみたいな」
真冬「ほらほら、行ってきなって」
倉持「はいはい。 じゃあ、先生案内しますね」
倉持はそれが姉の罠とも知らず、金剛を連れて茂みに進んだ。
夏祭り、茂み…
あちこちから、声が聞こえる。
倉持「確か、この先にあったと思います。 けど、夜中に行くのは初めてなので、間違ってたらすみません」
金剛「大丈夫だよ」
金剛(…というか、さっきから喘ぎ声があちこちで聞こえるんだけど… ここって、野外プ○イスポットじゃないの? こんなところ、徹君歩いて大丈夫?)
予感は的中し、倉持と金剛はある女性同士で野○プレイ中のカップルと遭遇してしまう。
余談であるが、この時の片方は後々飲食店を経営することになるが、そこで未成年に手を出してしまう。
金剛はフリーズした倉持の手を引いて、明るい方へ向かって走り出した。
そこからは、本当によく花火が見えた。
星空に咲く花々が、倉持や金剛の顔を照らす。
倉持「ここですね… お騒がせしてすみません… ああいうことを外でする人がいるって思わなくて…」
金剛「ははは、まあ、中学生なら知らなくても不思議じゃないさ」
倉持「…すみません」
金剛「いいよ、いいよ。 おかげでこんなに綺麗な花火を見ることができてるんだから」
そういって、金剛は倉持に顔を向けた。
もしも、この時点で、倉持に何らの呪いもかかっていなければ、倉持はもしかしたら金剛を好きになってしまっていたかもしれない。
それだけ、花火の明かりに照らされて輝く金剛の笑顔は思春期の少年にとって、まぶしいものであった。
その後、人の気配を避けながら家に帰った。
花は金剛に泊まるよう勧め、お酒を振舞った。
金剛は2缶開けるころにはすっかり出来上がってしまっていた。
金剛はそのまま、机に突っ伏して寝てしまう。
花が起こすと、金剛は寝ぼけながら寝室に向かう。
金剛「えーーっと。 どの部屋だったっけ?」
金剛が部屋を開けると、そこは倉持の部屋であった。
そこでは、今まさに倉持が下半身を露出していた。
倉持「え… 金剛先生?」
金剛「んーーー。 ああ、お邪魔したな。 というか、徹もそういうことするんだな… はは、このムッツリ―」
倉持「…で、出て行ってくださいよ」
金剛「えーー。 いいのか?」
倉持「え?」
金剛「おかず… 欲しくない?」
金剛の酒癖はすこぶる悪かった。
倉持「お…おかずって? ご飯は食べましたよね」
金剛「えーー。 分からんのかい! う… うぷ」
倉持「あああ… 大丈夫ですか、とりあえずトイレ行きましょう」
倉持は下半身を露出したまま、金剛をトイレに案内した。
金剛「うぷ… う… う…ぼぶぼぼぼぶぅ、はー… う… ぶぼおおおお。 うー」
倉持「大丈夫ですか? お水持ってきますね」
倉持はズボンを履いて台所へ行き、水をコップに入れてトイレに戻った。
トイレに戻ると、金剛はなぜか上に何も着ていなかった。
倉持「ちょ…先生… おっぱいが…」
金剛「ああ、暑くて…」
倉持「でも… しまいましょうよ」
金剛「いや… しばらくムリ」
倉持「…そうですか。 ひとまずお水どうぞ」
金剛「おお…ありがとう」
その後倉持は金剛の吐き気が収まるまで、ずっと背中をさすり続けた。
この時倉持は密かに安堵していた。
芽生えかけた恋愛感情が、そこまで大きくならずに済んだためである。
翌朝、なけなしのお小遣いから、500円金剛に手渡した。




