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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠  作者: ものかろす
藤壺編
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倉持にかかわる昔話 その①

昔々、幼いころから仲の良い男性と女性がいました。

男性は女性を好いていました。

女性も男性の事を好いていました。


しかし、男性は恋多き人でした。

意中の女性意外とも、積極的に交流を持っていました。

本命は女性なのですが、それでも他の人との恋慕も忘れない。

そんな男でした。


女性は最終的に自分を愛してくれればよいと、一途な想いを持ち続けていました。


ですが、ある日、男性は倒れました。

病に侵され余命幾ばく。

さらに、女性は地方に行かなければならないことになりました。


そこで、二人は最後の最後は一緒に過ごそうと、二人で落ち合い終の棲家に移り住むことを考えました。


丑三つ時に小高い丘の満開の桜の木の下で落ち合おう。

そう約束しました。


女性は衣服をなるべく身軽にし、屋敷を出ました。

当時の価値観では考えられない行動でした。


男性も必要なものを持ち、屋敷を出ました。


女性が桜の木の下についたとき、まだ、男性の姿はありませんでした。

女性は待ちます。

朝日が昇るまで女性は待ちました。

そのころには涙はすっかり枯れていました。


やがて、そこに女性の家の人間がやってきて、女性は連れ戻されました。

その後、女性は地方に嫁ぎました。


丑三つ時、女性は裏切られたことを許せず、毎晩毎晩神社で呪いをかけました。

「あの人と、その子孫に… 男の子孫に…不幸を…」

来る日も来る日も。


そんな時、女性は自分の腹部のふくらみを意識するようになりました。

地方へ嫁ぎ数カ月、女性は出産しました。

可愛らしい男の子でした。

女性に不安がよぎります。

もしもこの子があの人との子だとしたら…

この子も不幸になり得る。


女性は神社で祈りました。


男の子は、30になる頃、非業の死を遂げました。

さらにその男の子が最初に愛した女性は出産時に子どもの命と引き換えに亡くなりました。


女性は自分の業を悔いながら余生を過ごしました。



霞「…とさ」


倉持の実家にて、千秋と千夏、霞がテーブルを囲んでいる。


霞「倉持家についての資料を読み解くとこんなことがあったようね。 私なりの解釈も加えてるけど」

千秋「なるほど、それが徹の呪いってことか」

千夏「うーーん。 それがずっと続いてるのね… むしろ、よく途切れなかったね」

霞「そうね。倉持家の男性はみんな短命だけど、必ず子孫は残しているわ」

千秋「…それもすごい話だな…」

千夏「でも、お兄ちゃんはそれを止めようとしてるんだよね?」

霞「そう、自分で最後にすることで、連鎖を断ち切ろうとしてるの」

千秋「けど、言っても倉持家って、結構分岐してるだろ? 他の親戚でそんな特徴聞かないけどな…」

霞「その法則は正直よく分からなかったわ… 直系かどうかって話だと思う」

千秋「でも、男兄弟いて、その弟は助かってるみたいだけど… それってどういうことなんだろな。 金剛さん… 霞さん知ってるかな?」

霞「名前ぐらいは… 徹から聞いたことあるわ」

千秋「金剛さんは遠い親戚なんだけど、確か男兄弟から派生してるはず。 当時の弟の方かな? だったかが、金剛家の方になるらしい… といっても数百年前とかの話だけど」

霞「うーん… もしかしたら、そのあたりに徹の呪い回避のヒントがありそうだけど…」

千夏「お兄ちゃんが次男とか?」

千秋「まあ、無くはないな…」

霞「とりあえず呪いのルーツは分かってきたわね。 でも大事なのは解く方法… それを何とかして見つけ出さないと…」

千秋「だな。 私は引き続き、回避した事例を探してみるわ」

千夏「また倉に行くー」

千秋「少しでもヒントが欲しいのよ」

霞「そうね… 呪いなんてよく分からないものに対抗するには、情報が必須よ」


霞(それと…短命については分かったけど… それと女性が不幸になるって話が…どうにもつながらないのよね… まだ、何かあるとでも言うのかしら…)


霞はテーブルの上に広げた資料を整理していく。


千秋「ところで、母さん… 今頃何してるかな?」

霞「さあ… さすがにあの男も育ての母親にラッキースケベはかまさないでしょう」

千夏「いやーー」

千秋「どうだろう… 結構見境なく発動するからな」

霞「…ラッキースケベの方は、結局どうやってもルーツのヒントすら見つかってないわね」


そのころ倉持は大浴場で混浴しながら、性癖発表という羞恥プレイをされていた。

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