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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠  作者: ものかろす
藤壺編
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倉持は責任を取る(前編)

由紀「私は由紀だ」

倉持「存じてます」


平日の夜にもかかわらず、倉持は由紀の飲みに付き合わされていた。

珍しく宇美もずっと同席している。

紅葉も一緒に呑んでいるが、桜の姿だけがない。


由紀「ところで、倉持… 最近私のおっぱい見てるか?」

倉持「…いえ」

由紀「宇美の胸は?」

宇美(なぜ、私は胸?)

倉持「見てないですね」

由紀「何か…あったのか?」

宇美(おっぱい導入で、マジメな相談ムードを出されても…)

倉持「特に何もないですよ? 私だっていつもラッキースケベっているわけじゃないですよ」

由紀「いや、そんなことはない… なぜか…なぜか分からないけど、最近服を着たがってしまうんだ… おかしくないか? この私がだぞ」

倉持「私の世界線では普通のことですよ」

由紀「それはない。 人間は本来、裸なんだ。裸が服を着ているんだ。だから、裸でいようとする私こそがデフォなんだ」

倉持「初めて聞く論法ですが… まあ、確かに裸がデフォルトの由紀さんが服を着ているのは… 由紀さんにとっては不思議なことかもしれませんね」

宇美(めんどくさくなったな… 流そうとしてる)


由紀はグイグイと缶チューハイを飲み干し、ドヤ笑みを浮かべる。


由紀「だがな… 今は久しぶりになんだか、服を脱ぎたい気分なんだ」

倉持「どんなヘンタイ宣言ですか」

由紀「いや、ホント…だって、昨日まではちゃんとブラも着けてたんだぞ… 宇美だって、昨日までは夜もブラ着けてたし」

宇美「はっ… 確かに」

由紀「…でも、今日はどうだ? 当ててやる… ノーブラだろ?」

宇美「な…なんでそれを」

由紀「分かるさ…私ほどになればな」

紅葉(いったい何の話してるのかしら?)

倉持「なるほど… つまり、今日はいつもと違うと?」

由紀「いや…違うな… 今日がいつもなんだ」


その瞬間。

明かりが消えた。

倉持と宇美はすぐに携帯電話のライトをつける。


倉持「紅葉さん。 電灯をお願いします。 私はブレーカーと外を見てきます」

紅葉「ええ、分かったわ」


紅葉は物置を探す。

宇美は紅葉の手元に明かりを灯す。


紅葉「うーん…あ、あった… でも電池があるかしら… あ…一応つくわね」

倉持「どうも、あたり一帯停電しているみたいですね… とりあえずSNSでも停電発生の情報だけ入っています。 まあ、復旧するまで待ちましょうか…」


倉持の首筋に冷たい感触が伝う。


倉持「うわっ」

由紀「…キャー とか言わないんだな」

倉持「何をするんですか、由紀さん」

由紀「いやー アイスが溶けると思って、取り出しておいた」

倉持「順応性が高いですね」

由紀「猫目だからな」

倉持「えーと…あまり関係ないと思いますけど」

由紀「まあ、長引いたら溶けちゃうから、お前たちも食え」

倉持「はあ… じゃあ、いただきます」


倉持たちは懐中電灯を照らしながら、アイスを食べ始めた。


由紀「こういうのもオツだけど… さすがに…暑いな」

倉持「ですね…」


由紀はスプーンを咥えて遊ぶ。


由紀「あ… やべ」


口からスプーンが落ちる。


倉持「子どもじゃないんですから…」


倉持が身をかがめてスプーンを拾おうとする。

机の下に身体を曲げ入れたところで、なにやら違和感を覚えた。


倉持(ん… 何かおかしい…)


暗闇の先、何やら見える。

対面に座る紅葉と宇美の下半身がやけに肌肌しい。


倉持(おかしいな…見間違えかな? …世界線が…変わった?)


倉持はスプーンを拾いあげる。


倉持「…皆さん… 服着てますか?」

宇美「え?」

紅葉「…」

由紀「着てないよ。 なんか脱げてた」

倉持「どういうことですか?」

宇美「実は… 私も今…無性にアツくて… 下着しか…」

紅葉「ええ… ホント…何でかしら? 体がアツい」


倉持(妙だ。 由紀はともかく、宇美さんと紅葉さんまで… 確かに暑い… だが、声色的に、普通の暑さとは違う感じがする… もしかして)


倉持はアイスのパッケージを見る。

そこには媚薬入りアイスと書かれていた。


倉持(こんなものがあるとは… 一体企業は何が目的でこんなものを作ったんだ)


倉持が気付いた時には遅かった。

既に宇美たちには媚薬が回っていたのだ。


宇美「倉持さーん… 最近外に出てばかりでさびしーです」


意外にも真っ先に、理性が飛んだのは宇美であった。

宇美は下に一枚身に着けた状態で倉持に抱き着く。

倉持はバランスを崩して、倒れてしまう。

手にはしっかり宇美の胸の感触。


倉持「ちょっ。 宇美さん… 落ち着いて」

宇美「やです。 最近倉持さん… どっか行ってしまいそうなんですもん。 だから、今のうちにぎゅってしておくんです」


宇美は倉持の胸に頭を押し付け匂いを嗅ぐ。


紅葉「そうねぇ… 確かに最近外出多すぎよねぇ」


紅葉は倉持の耳元で囁く。


由紀「まったくだ。 そのうち私たちの事なんか忘れてしまうんじゃないか?」

倉持「いやいや、大丈夫ですから… そんな… あっ ちょっ 由紀さんどこを触って」


由紀は倉持の足の間をさする。


由紀「ほれほれー」


暗闇の中ではうかつに動けない。

倉持はどのように行動すればよいか思案していた。


倉持(無理にどかせば、どこかにぶつかるかもしれない… 言葉が通じる状況でもない… ならば… ごめんけど)


倉持は宇美と紅葉のへその指一つ分上『水分』をつく。

さらに、川のせせらぎを口で表現する。

お腹丸出し、アイスを食べたばかりの3人には、効果抜群であった。


紅葉「う…ちょっと、お手洗い… 明かり借りるわ」

由紀「私も…やばいかも」

宇美「え… ちょっと待ってください。 私も… あ…」


紅葉と由紀は記憶を頼りにトイレへ駆け込んだ。

倉持は危機を脱したと安堵したが、一つ誤算があった。

それはこのシェアハウスにはトイレが2つしかないことである。


宇美「倉持さん… 私…もう…もう」

倉持「あ…ごめん…」

宇美「謝らないでください… 私が悪いんです… 調子にのった罰です… これから私はお漏らしっ娘として… 頑張ります…」

倉持「……飲みます」


外やお風呂という選択肢もあった。

しかし、暗闇の中移動するのは危険をはらむ。

故に、倉持は飲むことを選んだ。


宇美「ほ…本当にいいんですか?」

倉持「…ちょうど…喉が渇いていたんです…」


倉持は仰向けのまま。

宇美は倉持の顔の前にまたがり下着をずらす。

暗闇でも、倉持にははっきりとラインが見えていた。


宇美「ん…」


川のせせらぎのごとく静寂にこだまする。


宇美に2,000円、由紀と紅葉に500円支払った。


挿絵(By みてみん)




一方そのころ

桜は藤壺と食事をしていた。


藤壺「そろそろ。 本題に入ったら? もう〆だよ」

桜「そうね… 葵…」


桜は空になった器を整える。

 

桜「…倉持さんを、無理やり誰かとくっつけようとしてるでしょ?…それ止めなさい」

藤壺「…いくら桜の頼みでも… それは聞けないかな… 話し長くなりそうね…場所を変えましょう」

桜「ええ」

藤壺「それと… シェアハウス連絡しなくていい? 何か起きてるかもよ?」

桜「…」

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