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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠  作者: ものかろす
日常編②
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倉持は即売会に参加する(前編)

挿絵(By みてみん)


-土曜日の朝

倉持は緑谷、筑紫とともに即売会場に来ていた。


緑谷「倉持さん。 本当にありがとうございます。 売り子に協力してもらって」

倉持「いやいや、全然問題ないですよ。 ホントに気を使わないでくださいね」


先日の三奈との一件が頭の片隅から離れないが、倉持はこれでよい、ときりかえることにした。

周囲に挨拶し、てきぱきと陳列、おつりの受け渡し方法なども今一度確認する。


即売会が始まった。

自分で作った本やグッズを販売できるこのイベントは、非常に刺激的なものであった。

開場してしばらくすると倉持が待つブースにもぽつぽつと人が並び始めた。


何度か倉持はサインを求められる。

そのたびに、作者の緑谷と筑紫のほうを見るが、二人にそのまま書くように促される。

訳が分からぬまま、倉持は生まれて初めてのサインを楷書で記入していく。


「あの? ご本人様ですか?」

といった声がちらほらと聞こえてくる。


倉持「…緑谷さん? どうもよくわからないのですが…どういうことですか?」

筑紫「緑谷…もしかして言ってないの?」

緑谷「ええっ。 言いましたよ。 あのー、倉持さん以前。 モデルにしてもよいかお尋ねしましたよね」

倉持「あ、ああ。 だね。 絵をかくのに、実際にポーズがあった方が分かりやすいもんね」

緑谷「え… と、あと、完成してから見てくださっていると思ったのですが…」

倉持「ああ、とても良かったよ。 BLはそこまでたくさん読んだわけじゃないけど、すごく描写がしっかりしていて面白かったよ?」

緑谷「…それだけですか?」

倉持「ん?」


倉持はハッとして、目の前にある新刊をパラパラとめくる。


倉持「もしかして、この男性が私ということですか?」

緑谷「そ、そうです」

倉持「いやいや… 私…こんなにかっこよくないですよ?」

緑谷「そんなことないです。 この何倍もかっこいいですよ」

倉持「いやいや… まあでも合点がいきました… この青年に迫っているのが私を元にしたキャラなんですね… 少し照れますね」


と、話していると、会場係りから注意を受ける。

「すみません。 コスプレの方はあちらへ」倉持は説明むなしくコスプレ会場へと案内された。


コスプレ会場にて、困惑する倉持である。


倉持(どうしよ… 売り子の途中だったのに… 悪いことしたな)


あてもなく彷徨う倉持。

ドンと人にぶつかってしまう。


倉持「あ、す、すみません」

白銀「い、いいえ。 こちらこそ…」


白銀は最近流行のアプリのキャラクターに扮していた。


倉持「…」

白銀「…」

倉持「…」

白銀「…あ、後で話そう」



-販売ブース


緑谷「今頃、会ってるかな?」

筑紫「おそらくね」

緑谷「でも、よく白銀さんも付き合ってくれたね」

筑紫「まあ、もともとゲームとか好きな人だし… それに…やっぱり…会いたいんだと思うよ」

緑谷「筑紫さん…」

筑紫「これで、少しでも恩返しになればよいけど… 余計なお世話じゃなく…」

緑谷「難しいとこだね」

筑紫「まあ…事情を知らない人からすれば… 不思議だよね」

緑谷「だね… あ、いらっしゃいませ。 …ありがとうございます」




白銀と倉持は休憩スペースでしばし休む。


倉持「えーと… どうも」

白銀「どうも… 筑紫さんに誘われてな… やぶさかではなかったので、コスプレと…この後、売り子もするんだ」

倉持「なるほど」


白銀(筑紫さんのさしがねか… 気を遣わせてしまったか… 悪いな…)


白銀「…この間、グランピングに行ったらしいな?」

倉持「ごめん。 誘わなかった」

白銀「それはいいさ… 私が言い出したことだし… それよりも股間のテントはたったか?」

倉持「公共の場で何を言い出す。 いや…まあ、そんなことはなかったけど」

白銀「そうか… まあ、財布的に助かってよいな」

倉持「だな」

白銀「ちょっと聞きたいことがあるんだが… 藤壺さんとか言ったな… あまり面識がなかったのだが… やけに親しげだったが… どういった関係なんだ? あ、そんな詮索するつもりじゃあないんだ。 訳ありなら別に結構だ」

倉持「まあ、大学時代の同級生ですよ。 会社には2年遅れて入ってるので、先輩扱いされてますが…」

白銀「なるほどねぇ…… 過去に何かあった?」

倉持「…別に」

白銀「そう… さて、そろそろ着替えて戻ろうかね。 あの子たちも、買いたいものあるでしょうから」

倉持「そうだな」


その後、倉持と白銀はブースで売り子をすることになった。

二人ともサインを求められる。

倉持は既に慣れた手つきで、サインをしていく。


白銀「なぜ。 私にサインの依頼が?」

倉持「…さあ」


白銀はふと、新刊をパラパラとめくる。

倉持の相手役をよくよく見ると、自分との共通点の多さに気が付く。


白銀「もしかして… この相手役… 私かあっ!」

倉持「確かに… 似てるかも…」

白銀「筑紫が何か謝っていたのはこのことかぁ…」

倉持「…まあ… でも、私は悪い気はしないかな…」


白銀(私も同じ気持ちだよ… 男体化されてなければねっっ)


その後、緑谷と筑紫が戻ってきてから、倉持もブースを回ることにした。

3人とも気を使って、同行しないようにした。



白銀(…その欲望に正直なところも… いいと思うぞ)

緑谷(どんな本買うんだろ)

筑紫(女性向けブースもしっかり吟味してる…)

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