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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠  作者: ものかろす
日常編① 起
5/371

倉持は眠りたい(前編)

今回の主な登場人物


倉持徹 27歳 178 67

二重 キリっと目つき 整った顔立ち


夏野宇美 20歳 155 53

しっかりものの大学生 経済学を専攻

倉持に質問しにくることもある

ややショート

寝るときは下着を付けない

貧乳


冬野由紀 30歳 165 58

だらしない

髪は長くぼさぼさ 無造作に縛っている

巨乳

フリーランスで何かしている




倉持は就寝直前に財布と小銭入れの中身をチェックする。

財布には常に10000円札が3枚、5000円札が3枚〈内一枚はピン札〉、1000円札が20枚入っている。

小銭入れには500円が20枚、100円が50枚入っている。

かなりの重量である。

さらに携帯用財布に1000円札5枚、500円5枚、100円20枚入れるようにしている。

運動中や通勤途中は、この携帯用財布から支払っている。


この日も、財布の中身をチェックしていた。

だが、倉持は密かに察していた。

今日はなかなか眠れない…と。



帰り際、シェアハウスの同居人で出不精の由紀が大量の袋を抱えているところに遭遇していた。

倉持はひょいと袋を抱える。

中身は全てお酒だった。

シェアハウス内で、お酒が得意な人間は倉持と由紀だけである。

そのため、倉持は度々由紀の晩酌に付き合わされていた。


さらに帰ってから、共同スペースで必死に勉強をしている宇美の姿を目撃している。

倉持は宇美から、度々課題の助言を求められていた。

出身の大学も専攻も同じなので、よく頼りにされていた。


倉持(これは…1300円は必要だな)



回想終わり、現在。

時計は9時を指している。

トントンと扉が鳴る。

扉を開けると、宇美がテキストとノートを抱えて、申し訳なさそうな表情で立っている。


宇美「…あのー… 明日もお仕事のところ、申し訳ないんですが…」

倉持「大丈夫だよ… リビング行こうか」


宇美の表情がパアッと晴れる。

倉持は3色ペンとノートを持って、リビングへ行く。


宇美「ごめんなさい。 どうしても、金融関係の流れがまとまらなくて」

倉持「分かる。私も金融は苦手だった。 金融はいろいろな立場に応じた視点で考えないといけないから、ややこしいんだよね。 だから、簡単に図を書いて、それぞれの立場と相互の関わりを押さえておくんだ」


倉持はペンを使い分けながら、図示していく。


倉持「ってな感じで、分けて考えてみよう」

宇美「はい。 すごくわかりやすいです!」


倉持が机から顔を上げると、宇美のシャツの隙間から小さいピンクの突起が顔をのぞかせている。

貧乳であるがゆえに、空間に余裕があるのだ。

加えて宇美は夜は下着を身に着けない。

そのため、ダイレクトに見えてしまうのだ。


倉持(いかん… 考えがまとまらない… えーと…)

倉持「ま、まあ、経済学は理論と実態が入り混じるから、ややこしいんだよね。 だから、より分類整理が大切なんだ」

宇美「ありがとうございます。 かなり考えがまとまってきました。 後は自分でやってみます」


宇美はテキストとノート、倉持のメモを丁寧にまとめると、丁重にお礼を言って立ちあがろうとした。

倉持はメモの上にそっと300円を乗せた。

宇美は気付いていない様子だった…

心当たりを思い出す。

宇美は赤面しながら、胸元を押さえた。


宇美「ごめんなさい…見えてました」

倉持「ごめん… 一瞬…チラッと」


ウソである。 がっつり見えていた。


宇美「し…失礼しました」


宇美はダッシュで部屋に向かった。


倉持はふーっと息を吐く。 

頼られるのも人の力になるのも嫌いではない。

むしろ、こんな自分が力になれることをうれしく思っていた。


倉持(さて…と そろそろかな )


倉持は冷蔵庫に向かう。

氷の数が十分であること、グラスが冷えていることを確認した。


由紀「倉持ぃ 終わったか?」

倉持「ええ 熱心な子です」

由紀「じゃあ、次は私の番だな」

倉持「はは、ほどほどに付き合いますよ」

由紀「明日が仕事でも、遠慮はしないからな」

倉持「まあ、お手柔らかに」


倉持は由紀に3700円を渡した。

すでに酔っぱらっている由紀はショーツしか身に着けたいなかった。

3700円はこれから起こりうる事態とお酒代を含めた金額であった。


倉持「最初はチューハイでしたね?」

由紀「あいよ」


フタを開けると、プシュッと、炭酸がはじける音がした。

夕刻に冷やしておいたグラスに、チャルチャルチョーっと注ぐ。


倉持「どうぞ」

由紀「さんきゅ  注ぐわ」


そういうと、由紀は度数が3%のチューハイのフタを開けて、倉持のグラスに注ぐ。


倉持「どうも」


倉持が半分ほど一気に飲む間に、由紀は全部飲み干した。

こんなやりとりが2回ほど続くと、由紀はどんどん話始める。

フリーのライターをしている由紀はクライアントへのうっぷんを倉持に吐き出す。

倉持は静かにうなずき、ときおり由紀に同情する。


しかし、プロ意識なのか、由紀は決して業務の詳細は話さないし、単に愚痴でとどまらず、自分で解決策を考えいく。

倉持は、由紀が話しながら思考を深め、整理していく作業の補助をする意識で話を聞く。

行き過ぎた場合は口を挟むが、それ以外は基本的に頷きや肯定の相槌をしている。

ひとしきり由紀が話し終えたタイミングで、倉持は口を開く。


倉持「じゃあ、いつもの作りましょうか?」

由紀「あいよー たのむー」


倉持はキッチンに入り、フライパンをコンロにかける。

冷蔵庫から、卵を三個、ウィンナーを六本、マーガリンを取り出す。

卵を陶器の器に割って入れ、すぐにかき混ぜる。

コンソメ少々、白だしつゆを少々入れる。

フライパンの温まり具合を見計らって、マーガリンを入れる。

マーガリンが溶けて、フライパン全体に広がってから、卵を半分、フライパンにまんべんなく入れていく。卵にやや火が通ったところで、箸を使って卵を丸める。

丸めてできたスペースにマーガリンを入れて伸ばす。

そこに残り半分の卵を入れて、火が通るのを待つ。

先に丸めていた卵を包むように丸め込み、形を整える。

一口大に切ってさらに盛り付ける。

それと同時に、先ほどの作業の合間に切れ目を入れていたウィンナーをフライパンに入れておく。

由紀にだし巻き卵を振舞う。

ウィンナーを火にかけている間に、ウィスキーと炭酸水及び氷が2対8の割合になるように注ぐ。

ウィンナーにケチャップを添えて、ハイボールと一緒に出す。


と、匂いにつられて、桜がリビングにやってくる。


倉持「すみません。 お騒がせして」

桜「いえいえ、なんかいい匂いがするなぁーっと」

倉持「どうぞ、よかったら」

由紀「そうそう、桜も飲みなー」


時計の針は12時を回っている。

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