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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠  作者: ものかろす
霞編
29/371

倉持も助かりたい

倉持千秋 29歳 171 58

モデル体型 長女

ややロング 後ろで結んでいる


倉持千夏 24歳 166 55

モデル体型 三女

ややロング 胸はある



春日霞カスガ カスミ27歳 163 54

高校時代の知り合い

元彼女

平均的な体型

会う前は気が重たかったが、実際に会ってみると霞があまりにも気にしていない様子で拍子抜けしていた。


倉持はお店を出てからも、いたって自然に霞とやり取りをしていた。

だれだれが結婚したとこ、だれだれが付き合ってるとか、だれだれが別れたとか、色々な話をした。

倉持は皆いろいろあるんだなーと能天気に思っていた。


少しだけ便利になった街。

昔の名残がほどほどに残った街。

河原につくと、きらきらと光る川、時折ぽしゃんという音と広がる波紋、混じる移動音、すべてが懐かしかった。

倉持はノスタルジックな思いに浸っていた。


しかし、霞の一言で一気に現実に引き戻される。


霞「私たち…どういう関係だったんだろうね?」

倉持「え?」

霞「だって、ほぼほぼ最後の直前まで何回もいってたのよ? なのに結局私はいまだに未経験…」

倉持「そうなの?」

霞「そうよ… もう行き遅れまっしぐらよ… 自分でいうのもなんだけど、結構可愛いと思うし…いいところのお嬢様だし…引く手あまたでもおかしくないだろうに…」

倉持「大学では出会いなかったの?」


霞がキッと倉持を睨み付ける。


霞「大学と言えば…誰かさんに裏切られたわね」

倉持「あ…」

倉持(話題をそらそうとして…墓穴を掘ったあああ)

霞「誰かさんのせいで男性不審よ。 もう男の人皆ウソツキに見えたわ」

倉持「…その節は… ホントごめん」

霞「…」

倉持「…」

霞「…よくないけど…いいよ… 仕方なかったんでしょ…」

倉持「…あのまま一緒にいたら… 多分とっくに…」

霞「…とっくに?」


霞の頬がわずかに上がる。


倉持「いや…何でもない…いや…なんでもなくはないか… というか…これ…あれだよね? 悪い癖だわ」

霞「そうね… 徹は全部自分で抱え込んで解決しようとするからね…」

倉持「だな… ぶっちゃけると、後悔してるよ。 けど霞が不幸になるのは見たくない。 だから…逃げた」

霞「…言ってくれればよかったのに…」

倉持「…言ったら…助けてくれるだろ? 助けようとしてくれるだろ? それが申し訳ないんだ」

霞「そんな…」

倉持「人の助けで何とかなるなら…私も助けを求めるよ… でも、どうしようもないから…」

霞「…本当にどうしようもないの…」

倉持「…多分…」

霞「…」

倉持「けど… あがくよ… あがいて見せる… だから…もしも何かがあって…皆の力で何とかなりそうなら… その時は、助けてほしい」

霞「…徹らしいわね… その時は言うのよ。 ちゃんと… 今度は逃がさないから」

倉持「ああ…」


あちこちで波紋が広がっている。

霞が立ち上がり、川の端に立ち、魚影を眺める。

その瞬間、風が霞をさらう。

倉持は即座に立ち上がり、抱き起そうとするが、すでに霞の身体は地球に引っ張られていた。

倉持はとっさに身体を回転させ、川に突っ込む。

幸い浅瀬であった。

倉持は顔から突っ伏したが、霞は倉持の背中に乗っかる形となり、濡れたのはスカートと下着で済んだ。


霞「…ゴメン」

倉持「大丈夫…ケガは?」

霞「ありがとう…ないわ」


倉持はひとまず帰ることにした。


霞「それじゃあ…私、先に帰るね」

倉持「ああ…」


倉持は珍しく送ろうとしなかった。

通常女性を一人で帰らせることはしない倉持であるが、この時はただただ見送った。

これ以上、霞と一緒にいるのはまずいと思っていたためだ。

倉持は濡れた身体のまま、因幡の白兎のように、河原に寝そべった。


倉持「はぁーー」

倉持「…」

倉持「くそ…」


そのまま、雲の動きをしばらく眺めていた。


ゆらりと、立ち上がり、家に向かう。


倉持は家のドアを開け、力ない声でただいまとつぶやき、三足ほど先に帰っている靴を軽く整え、自分の靴を端に揃えて、廊下に上がった。


自室に戻り、着替えを手に取り、風呂場に向かった。


脱衣所のドアを開け、まだ水分を含んだ上着を脱ぎ、ズボンと下着を下ろしかごに入れる。

明かりをつけるほど暗くないので、節約のためそのまま風呂場のドアをカタカタとずらして、椅子を引きずり腰掛けた。


不思議なことに、湯気を感じた。

何やらほのかに温かい。

湯船の方を見ると、霞が肩まで浸かっていた。


倉持「何故?」

霞「なんとなく…こうなる気がしてた」

倉持「出る」ブランブラン

霞「いいわ。 風邪ひくわよ。 私もう出るから」

倉持「けど…」

霞「いいわよ… いまさら…全部見てるでしょ… お互いに」


霞は胸を湯船のふちに乗せる。

血色がよくなり、胸はほのかに赤らんでおり、頂点周辺はさらに赤く染まっている。


倉持「ちょっ… せめて…浸かっててくれ」

霞「だって…熱くなってきて…」

倉持「のぼせるぞ… 私やっぱり出るよ」


倉持は手に取っていた石鹸を無造作に置き、その場で立ち上がり、ドアに近づいた。

その瞬間勢いよくドアが開き、倉持の重心が崩れた。

と、同時に石鹸がずり落ちて、倉持とタイルの間に滑り込む。

摩擦を失った倉持の足は、あらぬ方向に傾き、そのまま倉持の身体は湯船に投げ出された。


千夏「おにーちゃん。 ただいまぐらい言いなよー 背中洗うよー」


千夏がバスタオルで鎖骨から下を隠した状態で乱入する。

倉持は霞に重なるように湯船に入る。

すぐ真下に屈折した霞の身体が揺れている。


千夏「ごめん… 霞さんが入ってるってこと、忘れてた」

倉持「いや…こっちも確認すべきだった… というか霞さんゴメン」

霞「だ…大丈夫」

千夏「もー 何やってるのよー」


千夏は倉持に手を貸そうと、湯船に近づく。

すると、なおもタイルの上に残っていた石鹸が、千夏の摩擦をも奪う。

まとったタオルははだけ、千夏もそのまま湯船にダイブしてしまう。


くんずくんず、ほぐほぐ、ほぐれつ


霞の身体は湯船のふちに腰掛ける状態になり、その亀裂は倉持の眼前にさらされていた。

倉持の背後には千夏がぴったりとくっついていた。


態勢を立て直そうと、徐々に動いていく。

その時、勢いよくドアが開く。


千秋「徹。 帰るなり風呂か、特別だ洗ってやるよ」


千秋は何も身に着けずに乱入してくる。

タイルには、なおも石鹸が鎮座している。


倉持 霞 千夏「もう来ないで!!」

倉持「頼むから、裸でお風呂に入らないでくれ。 というか助けてくれ」 


当然その後、千秋はこけて、開帳することになる。

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