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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠  作者: ものかろす
決意編
182/371

倉持の敗北

とある電気街にいる男性を無作為に1000人抽出して、アンケートを取ったところ… ネコ耳が嫌いな男性は1人もいなかったという。 

そんなデータはないのだが、ホモが嫌いな女子がいないように、ネコ耳が嫌いな男性はいない。

ネコ耳?そんなのキモオタの妄想だと言っている人間も実際にネコ耳姿の女性を見れば一瞬でオチてしまう。

カチューシャとしっぽだけでも気軽にできるこのコスプレの始祖ともいえる姿は原点にして頂点。

そのインパクトは絶大である。


だが、様々な記録が塗り替えられるように、頂点は超えられる。

モコモコパジャマ… あるいは着ぐるみパジャマ

10歳未満が身に着ける場合はそのあどけなさによって魔を払う防具である。

15歳以上が身に着ける場合は… それは途端に凶器となる。

特に、ムチムチな女性がそれを身に着けるのはもはや兵器である。


ムチムチ+ネコ耳+モコモコ+カワイイ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

白熱議論の後、仲良くなった面々はそのまま由紀の部屋で鑑賞したり、ネームを切ったりしていた。

解散したのは、土曜日の夜であった。

一仕事終えて満足した様子の倉持は自室で、くつろいでいた。


ドアからノックが聞こえる。


倉持「はい…」

倉持(紅葉さんかな?)


倉持がドアを開く。

開いた。

そこには…

もこもこネコ耳着ぐるみパジャマに身を包んだ青野が立っていた。

挿絵(By みてみん)



倉持の全身が硬直する。


ミキ・・・・


そう 動かぬまま五体全ての筋繊維を一気に駆動!

全身運動の苦痛によりダメージを分散

かろうじて無表情を保持キープしていた


倉持(やばい… 飛びかけたぁっっ)

青野「お疲れ様です。 夜分すみませんが… お願いがありまして…」

倉持「お、お願いですか…」


ネコ耳少女のお願いを断れる男性がいないのは真理である。

まして、倉持は女性からの頼みを断れない性質である。

おそらく国を取れと言われても引き受けるだろう。


青野「あの… 最近… 悶々としてて…」


悶々…悩み苦しむさま。


本来はいやらしい意味は含まない語であるが、しばしばムラムラと混同されて、欲求不満を表す言葉としても使われる。


青野「苦しいんです…」

倉持「…」


倉持の心臓が激しく脈打つ。


青野「あの… はしたないですし… こんなこと言うの… 恥ずかしいんですけど…」


倉持の全身の血管が大拡張して、全身に大量の血液が高速で流れる。

どっくんどっくんびっくんびっくん


青野「あの… お願いです… 助けてください…」


倉持「は… はい」


既に倉持の口内の水分は枯れていた。

全身から汗が噴き出て、まるでサウナにでも入っているようである。



青野「筋トレ… サポート再開してください!! 最近スカートがきつくって…」


倉持(ふ…ふーん。 まあ、分かってましたけどね… そういうオチだってこと… べ、別に残念がってなんかないですからねー… ん… 待てよ… 待て待て待て待て待て… 筋トレだって… 筋トレのサポート… ふわもこパジャマの女の子の筋トレサポート…)


以前証明したように筋トレサポートは非常にエロい…

特に通称「ももぱい」の威力は計り知れない。


倉持(だが待てよ… 以前はベビードールといういかにもえっちな服装だった… 今は…)

倉持(かわいいいいいいいい… もっこもっこだぁ… ぴょんぴょんの耳がああああ… もふもふしたいいいいい… さらにさっきからめっちゃいい匂いがするううううう… とはなるが… えっちではない… これなら… もしかしたら… むしろ大丈夫なのか? それに、おそらく青野さんはこのもこぱじゃ(=もこもこぱじゃま)を寝間着にするだろう… それに慣れるのにむしろいいかもしれない)


倉持「分かりました。 お約束ですしね。 引き受けます」

青野「やった。 最近本当に… ちょっと、いろいろきつくって… このパジャマだと… ゆったりとして楽でいいんですよねー」


この時の言葉を倉持は流していた。

もう少し倉持に配慮があったなら… 青野の言葉を一言一句聞き逃さないようにしていれば…

青野の方をもう少しよく見ていれば…

この後に訪れる地獄ヘブンを回避できたかもしれない。

だが…全ては後の祭りである。


青野は早速スクワットを始めた。


倉持(あ… ダメだ…)


青野はフードがずれ落ちないように両手でフードの横を抑えながらスクワットの構えを取った。

その手の形が…そう… ネコの手であった。

最近料理を始めた青野はつい無意識のうちにネコの手の形で、フードを押さえていた。

指の第1関節と第2関節を曲げたその手の形… 

通称「ガオーポーズ」…威嚇するようなこの手の形は、さりげなく指の綺麗さや爪の綺麗さをアピールすることもできるポーズである。

ピンク色の整った形の爪… 

「食べちゃうぞ」というメッセージ性を持つこのポーズは、倉持のようにMっ気のある男にはたまらないものである。


さらに… ピコピコ動く耳としっぽに倉持の心もたまらず弾む。

そして、おっぱいが… 揺れる。

モコモコに包まれたぽよぽよおっぱいが倉持の脳を破壊する。

そして、フードの奥にあるピンクのシュシュ… それに倉持はキュキュンとした。


倉持は再び全身の筋繊維を駆動させて耐える。


スクワットを終えた青野は腕立て伏せに移行する。

床に手をつく。


倉持(腕立ては… やっぱり一番安全だな… 垂れたしっぽも可愛いなー)


もはや倉持は意志の中でも壊れ始めていた。

だが、さらなる試練が訪れる。


「最近本当に… ちょっといろいろきつくって」


いろいろと… きつい

何が?

何がきついのか…

スカート? ブラウス?

否… 下着である。


想像できるだろうか… もこぱじゃの下が全裸ということを…


えっちな格好の原点にして原初の頂点… それは全裸である。

だが、頂点は超えられた… ニーソという存在によって…

しかし… それを超える最エロ服…


それは『裸もこぱじゃ』である。

もこぱじゃそのものはエロの真逆の装備である。

真逆… ゆえにそれは一層エロを掻き立てる。

甘いものの塩のように

しょっぱいものへの砂糖のように


さらに…

その下の裸が… ムチムチの場合… それはまさに禁忌の領域である。

もちろんムチムチでなくてもエロいが… それはまだあどけない感が出る。


ムチムチボイン×裸×もこぱじゃ×ネコ耳×天然×いい匂い×顔がカワイイ×声がカワイイ×シュシュ×α=1不可説不可説転の破壊力


まずムチムチボインの娘がもこぱじゃ… この時点でヤバい。

さらにその下が裸… そのエロさは… 現代技術テクノロジーによって人類が到達できる最高点である。


なぜ倉持がそのことに気が付いたか…

先ほどのスクワットの時にもうすうす気が付いていたが、腕立て伏せでお尻を見たときに確信した。

本来そこにあるはずの… パンティーラインが存在しないのだ。

Tバック? かとも思ったが、青野が普段Tバックを身に着けないことを倉持は把握していた。

倉持(もしかしたら持っているかもしれないが… 持っているとしたら、見たことないのはおかしい… と、ということは… な… 生の… お、おしり… おしりいいい)


腕立て伏せのカウントアップが… 倉持にとっては死刑宣告のカウントダウンのように聞こえた。


倉持(こ、この後は… ふ…腹筋… 腹筋 腹筋っっ!!!)


以前倉持は、ベビードール腹筋によるももぱいの破壊力で死にかけた。


倉持(いや…待てよ。 ももぱいは生太ももとブラ越しおっぱいだった… 今はもこぱじゃで、身体が包まれている… と、いうことは耐えられるかもしれない!!!)


そんなことはなかった。

もこぱじゃは表面がモコモコしているものの、技術の力によって軽量化されており、そこまで厚みはないものも多い。


太ももの感触はばっちり伝わった。


倉持(だめだったああああああ… 柔らかあああい… しかも、もこぱじゃのさわり心地がきっもっちいいいい… えっちな毛布に包まれているみたいだ…)


そこに青野の顔が近づく。


倉持(かわっっ… 可愛いっっ… やっぱ可愛いいいい… いい匂いいいい 甘い香りが… ふわっと香る… )


そして、最も恐れていた瞬間がついに訪れた。


『ももぱい』である。

太ももとおっぱいによるサンドイッチ。

倉持の腕には… ほわゆるんというやあらかい感触とちょっとした突起の感触。

その瞬間青野の口から「あ…んんん」と声が漏れた。


倉持の脳は… コレ以上は危険と判断し、強制的に倉持の意識を落とした。


青野「すみません… 下着付けていないの忘れてました… あれ? 倉持さん? くら… もちさん?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


倉持「ここは? 真っ暗だ… もしかして… 死んでしまったのか…」


倉持の視線の先に父と祖父の像が浮かんだ。


倉持「あ… 父さんたち… すみません。 裸もこもこぱじゃまに… 撃沈しました」

倉持父「何言ってんだ!! 帰れバカ!!」

倉持祖父「うらやまけしからん。 ふざけるな」

倉持「ええええええ」

倉持父「この流れで殴られたらバカみたいだろうが!!」

倉持祖父「帰れ帰れ!!!」

倉持「わ… 分かりましたよ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


青野「倉持さん… 倉持さんんん」


青野は倉持に抱き着いた。

その時のおっぱいの感触が再び倉持の意識を呼び覚ました。

 

倉持「はああっっ」

青野「だ、大丈夫ですか…」

倉持「な… 何とか」

倉持(…ちょっ… おっぱいが当たるうううう)

青野「あ、すみません。 苦しいですよね」


青野はおっぱいむぎゅりからの膝枕コンボを発動した。

倉持は膝枕から見上げた瞬間… 死を覚悟した。

観念した。



倉持は…これまでいくたびの誘惑に耐えてきた。

霞、桜、白銀…美人義理姉妹に百合カップル…金髪美女に貧乳少女、先輩や後輩、友達系、健気JK…学生時代にもたくさんの女性に耐えてきた。

おっぱいにも、ふとももにも、指先にも、唇にも、足の裏にも、ふくらはぎにも、二の腕にも、おへそにも、おしりにも、あそこにも、誘惑的な香りにも、甘いささやきにも、ときめくしぐさにも、何とか勝ってきた。


倉持は自分の意志の強さに自信があった。

精神力の強さに自信があった。

古今東西フィクションノンフィクション問わず、あらゆるラブコメ主人公に負けない精神力を有していると思っていた。

これまでの人生で一度も挿入をしていない。

人命救助を除けば、女性と口づけをしたことすらない。

自分は煩悩を制御できていると思っていた。


まさに鉄壁、難攻不落の要塞。

ただの童貞ではない。

誇り高き童貞であった。


敗北を知りたい…


そう思っていた時期が倉持にもあった。

それが最近揺らいでいるのはうすうす分かっていた。

いつか敗北するかもしれない…

その相手がだれかは分からないが…

そのいつかは今日かもしれない

明日かもしれない…


そう思っていた…

それでも耐えてきた

媚薬にも…

催淫音にも…

愛液の香りにも…

密室にも…

お酒にも…

ラッコ鍋にも…

台風にも…

耐えてきた…


だが、この日倉持は思い出した…

それは1人の力ではなかったことを…

そう… 中でも特に救ってくれていたのは…

今まさに自分を包んでくれている青野であった。

男としてのプライドが…これまで積み上げてきた勝利が…

砂上の楼閣… もろくも崩れ去った。


倉持「あ…あ…あ…あ…」


誘惑に耐え続けることで支えてきた自我アイデンティティー

その実 一度も自力だけでの勝利もなかったと解した 今

倉持の脳は自我の崩壊を選択した


倉持「うわあああああん… もう… もう勘弁してくださいいいい… 私の敗北まけです」


泣いた。

声を上げて泣いた。

涙が溢れ止まらなかった。

倉持は土下座して泣き崩れた。


初めての敗北であった。

だが、同時にこれは勝利でもあった。

ここで、倉持が醜態をさらしてでも自分を止めなければ…

本当に終わっていた可能性もあったのだ。


青野は泣き崩れる倉持の頭をそっとなでなでした。

ドアの外では桜たちが心配そうに待機していた。

やがて倉持の泣き声はおさまった。

倉持はまるで稚児のように…

すやすやと寝息をたてていた。

青野はただただ黙ってずっと倉持を見つめていた。


挿絵(By みてみん)


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