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倉持氏はラッキースケベでいつも金欠  作者: ものかろす
動乱編
156/371

倉持と慰み

翌日 夕刻

倉持と赤井はそれぞれの業務を無事に終えた。


赤井「はあー。 お疲れさまー」

倉持「お疲れ様です。 どうですか? 問題なく回りそうですか?」

赤井「まあね。 2,3人詳しい人がいてよかったよ。 やっぱあれだね。 簿記持ってる子、かつPCに強い子は重宝するわぁ」

倉持「簿記ですか… 私も一応取りましたね…」

赤井「え、マジ? 取ってたんだ? じゃあ、経理来てよ」

倉持「いや、でも… もう忘れてますよー やっぱり資格は持ってるだけじゃなくて使わないと…」

赤井「まあ、そうだけどー… ちなみに日商何級?」

倉持「一応…一級です」

赤井「へー。 やるね。 まあ、私も取ってるけどね」

倉持「さすが」

赤井「やっぱり、役立つよー。 入社時もかなりアピールできたしね。 ところで、晩御飯どうする? せっかくの出張だから、ちょっといいところ行ってみたいんだけど… 私よく分からんのだ」

倉持「それなら… こういうとこはどうですか?」

赤井「おおっっ。 いつの間に… 3つに絞ってくれてる」

倉持「まあ、合間にちょちょっと… 好きそうなところ選んでおきました」

赤井(うーん。 迷うな… 3つともめっちゃよさそう。 パスタ… 和食… バー… どれもいいじゃない… うーん)

赤井「じゃあさ… 今晩はバーで、明日のお昼パスタに行かない?」

倉持「いいですね。それで行きましょう」


倉持と赤井はバーへ向かった。

ドリンクをオーダーして、料理を選ぶ。

倉持はやや迷ったが、オススメのローストビーフとパンとサラダのセットを頼んだ。

赤井はサラダとポテト、チョリソーの盛り合わせ、チーズを頼んだ。


グラスが届くと、2人はグラスを合わせるようなそぶりをした。


赤井「お疲れ。 というか、床で寝て身体大丈夫だった?」

倉持「大丈夫ですよ。 慣れていますし、寝袋もありますから。 そうそう赤井さんからのトランクケース、かなり容量あるので助かりましたよ」

赤井「早速役立って、良かったよ」

倉持「ありがとうございます」

赤井「そういえば、他の人のは使ってるの?」

倉持「ええ、定期入れにスケジュール帳、ネクタイやハンカチ、タイピンもたまに使ってますよ。 一番よく使うのは洋服ブラシですかね。 やっぱり手入れは大事です」

赤井「へー。 マウスパッドは?」

倉持「…」

赤井「下着は?」

倉持「まだ使ってません。 服は今度着る予定です」

赤井「…マウスパッドは? ドールは?」


倉持は赤井から視線を逸らした。


赤井(何だこの反応は? これも… この反応も… 覚えがあるぞ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

赤井は弟(妹)のカミングアウト後一層仲良くなっていた。

あまりに仲が良かったので、しばしば夜にもかかわらず、ノックをせずに部屋に侵入することもあった。


赤井「よお。 邪魔するぜぇ」

弟(妹)「あ…」

赤井「あ…」


自慰遭遇はエロ漫画界では、もはや定番中の定番の導入の一つである。

特に姉弟ものにおいては、その7割が自慰遭遇導入であるというデータがあるとかないとか。

自慰遭遇は、フィクションではなくリアルでもしばしば起こる。

ところで、世の中の人間は3つに分けられる。

自慰を見られたことがある人間と、ない人間。 それと見せつける人間である。


弟(妹)は赤井に見られてしまった。

机の上に本を置き、自分の指で前と後ろをいじっているところを… 見られてしまった。

赤井はこの時、冷静であった。

なぜならば、以前からよく兄の自慰行為中に遭遇することがあったからである。

赤井の関心は、行為そのものよりも、弟(妹)のおかずにあった。


赤井「…」

弟(妹)「…」


赤井は弟(妹)の前に置かれていた香○○〇ヌード写真集を見つめていた。


赤井「…ムチムチ系がいいの?」

弟(妹)「…」

赤井「笑顔が可愛い系?」


弟(妹)は目を逸らした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

赤井(おおお… また思い出してしまったああああ。 すまない。 あの時忘れてやるって約束したのに… けど、いまの倉持、あの時の反応に似ている… 性癖を掘り起こされて困っている様子だぁっっ)


赤井「…使ったな?」

倉持「家のPCで… ちょっと」

赤井「…どうだった?」

倉持「機能性良かったですよ。 手が痛くなりませんでした」

赤井「へー。 家でまで、仕事熱心ね」

倉持「…」

赤井「…? 何? エロ動画でも漁ってたの?」

倉持「い、いえ。 違います… ああ、いや… そんなところです」


エロ動画を作成していた。


赤井「スケベ」

赤井(…呪い。 とかよく分からんけど… 不憫よなぁ… あれだけ周りに女の子がいるんだから、呪いを気にしなければ自慰する必要もないぐらいやりまくりだろうに…)

倉持「ま、まあ、いいじゃないですか? 男性ですからね。 それぐらいはたしなみですよ」

赤井「…ヘッドホンは? 使った? こないだ荷物に入ってたような…」

倉持「う…」



倉持がここまで青野を意識してしまう理由は、ここにもあった。

リコの襲撃を受けた後、倉持は個室ビデオで、音声を聞きながら致していた。

音声は元音源から編集をして、青野のボイスと微妙に変えていた。

しかし、倉持も素人である。

編集が行き届いていない部分があったのだ。

フィニッシュ直前のことである。

声が聞こえた。

青野ボイス「すき」

この言葉だけ… 編集できていなかったのである。

なぜこうなったのかは当の倉持にさえわからない。

無意識のうちに残してしまったのかもしれない。


倉持の脳内に響く「すき」の二文字。

その瞬間倉持の脳内には、はっきりと青野が浮かんでしまった。

目の前の自作ぱいずり動画のおっぱいが青野のものに見えてしまった。

それが、倉持のエクスタシーを加速させた。

一度に20枚もの紙を用いなければ、抑えることができないほど噴出した。



自慰行為はしばしば罪悪と結びつけられる。

それは「オナンの罪」という語源によるところが大きい。

宗教的には罪悪と考えられる行為である。

だが、近年では、罪悪の面だけではなく、その行為の積極性も評価すべきという風潮もある。


自慰行為は叶わぬ思いを果たせぬ自分を慰めるという意味合いをはらむ。

それが特殊なプレイや特殊な対象であれば、その有用性は非常に高い。

例えばどぎついSMや獣姦が現実に横行してしまうならば、それは相手にはもちろん本人にも危険がある。

あるいは本来なら性的対象にしてはならない相手への欲求を自慰によって補填するのは、社会的に見ても非常に有用なことである。


だが、叶わぬ思いというのが…

もしも、特殊なプレイでも対象でもない。

世間一般的に普通とされるプレイや対象への思いが叶わない。

そういったレベルでの叶わぬ思いであるならば… それはもはや罪悪とするのも不幸である。


愛したいのに愛せない

愛されたいのに愛されない

そんな自分を慰める行為


倉持の自慰行為は、それであった。

普通ならば、三奈を除けば、だれに手を出しても問題は無い。

三奈でさえ双方同意の上であれば合法である。

既婚などのインモラルなことは一切ない。


にもかかわらず、倉持は呪いによって行為をすることはできない。

自分で慰めるしかないのである。

さらに、その際にも、周りの女性を思い描かないようにしていた。

意識してしまってもいけない。

愛してしまってもいけない。

また、オナペットにするのは、女性を道具として見ているようで気がすすまない。


慰めさえも中途半端であった。


そのような不幸な自慰行為を繰り返してきた倉持に、初めて真のエクスタシーが訪れた。

自分の耳に入り込む「すき」の二文字が、それによって心に浮かぶ青野が、倉持の心を慰めた。


だが、その直後倉持は果てしない罪悪に襲われた。

慰みは救いではない。

一時のものである。

慰みの後には、また、不幸が波のように押し寄せる。



端的に言えば、今の倉持は『意中の子で、オナちゃって気まずい』状態なのである。




赤井「…使ったね?」

倉持「…一応音源は、編集しました」

赤井「なんて無駄な労力…」

倉持「…」

赤井(あちゃー。 これは、あれだな… 相当重症だな)


テーブルにサラダが運ばれてきた。

倉持は赤井の前にフォークを並べた。

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