倉持 理性崩壊のプレリュード
倉持「皆さん。 本当にありがとうございます。 ですが、そろそろお時間が」
大人たち「問題ない」
三奈「あの… 私は… そのぉ」
紅葉「親御さんから、承諾というか… 娘をよろしくと連絡を受けているわ」
倉持「えええええ…」
由紀「つまり… まだまだ、これからということだ… それじゃあ、ゲームを始めようか?」
倉持「由紀さんは帰りましょうか?」
由紀「ココ… ワタシノ… イエ」
白銀「まあまあ。 いいじゃないか? これだけの人数がいるんだ。 余興があった方が盛り上がるだろう」
青野「ですね。 面白そーです」
倉持「ま、まあ、節度さえ、守っていれば…」
由紀「王様ゲーム!!!」
倉持(あ… これはダメな奴だ)
由紀「皆引いたな。 それじゃあ、王様だーれだ? …私だああああ」
倉持「由紀さん… 変なこと言わないでくださいね」
由紀「任せろ!! 3番以外 ぜーんら!」
倉持(3番)「お前ホントバカッ」 倉持が皆を見ると、既に全裸になっていた。
倉持「って、順応速すぎますよ」
由紀「よし、最初からクライマックスだ」
花「あらあら? このままじゃあ、R-18になっちゃうわね。 お母さんはログアウトするわね」
花が退室した。
他の全員はブラウザの向こうで、律儀に全裸になっていた。
倉持「ちょ… ちょっと、待ってください… 由紀さん。 いきなり全裸はダメですって…」
由紀「じゃあ、どうしろって言うんだよ? 言っておくが、生ぬるい提案は聞かねーぞ」
倉持「じゃ…じゃあ、せめて靴下… 靴下やニーハイ… ストッキングの着用を!」
由紀(このまっすぐな瞳… こいつ… やっぱり真性のヘンタイかっっ。 まさか… この私がヘンタイ度で負けるなんて… な。 ほんといい目をしてやがるぜ)
由紀「分かった。 要求を飲もう。 全員靴下、ニーハイ、ストッキングを除いて全裸だ」
基本的に、靴下などは最後に履くものである。
全裸から服を身に着けていくとき、まずブラジャーまたはショーツ、あるいはばんそうこうをつける。 そして徐々にキャミソールやストッキングを身に着けて、あとの方で靴下などを履く。
故に全裸の状態で、靴下などを履くことはまずない。
言い換えれば、靴下を履くときは衣類を身に着けている状態であり、既に恥ずかしい場所は包み込まれているものである。
だが、ここで、考えてほしい。
全裸で靴下を履くとき、どのような姿勢になるのかを…
立って履くときには、そう膝をグイっと持ち上げる。
座って履くときには、膝を胸に寄せて、両の手を足までもっていき、広げた靴下などに突っ込む。
立って履いている時にバランスを崩そうものなら、大事な部分が露わになってしまう。
ということもあるが、そもそも全裸で靴下などを履くというアブノーマルな状況が、そもそもヘンタイである倉持にはクリティカルヒットする。
倉持は苦悶の表情を浮かべながら、目線を逸らす。
さらに目隠しをした。
だが、それは悪手であった。
視覚が無い分。 聴覚や嗅覚が異様に向上していたのだ。
着ぬずれの音、きゃあという声の後、ドスンと音がすれば、倒れた状況がありありと倉持の脳内に再生された。
倉持は苦痛に顔を歪める。
由紀「ほう? 自ら視覚を閉ざしたか… だが、それがどう出るかな?」
倉持「あまり私を侮らないでくださいよ。 目が見えなくても… 大体の位置情報は把握できます」
由紀「そうか、じゃあ、これは?」
倉持「えー… 宇美さんの左胸です」
宇美「あ… 当たりです…」
倉持「あ… すみません宇美さん」
由紀「やべーな。お前…」
由紀「じゃあ、次行こうか? 王様だーれだ?」
ジョディ「私ね。 それじゃあ、7番と9番でポッキーゲーム。 負けた方は肩を揉むこと」
倉持(7番)「私だ…」
由紀(9番)「お、私か…」
倉持は一瞬でポッキーをかみ砕いた。
ジョディ「はい。 トオルの負けね。 それじゃあ、私の肩を揉んでね」
倉持「まったく凝ってないですね。 むしろ柔らかいですよ。 やっぱり運動しているだけありますね… あれ? でも、ここ硬いですね…」
倉持(あれ… これ肩じゃなくて、もしかして胸?)
ジョディ「はあ… いいわぁ。 トオル… 上手ね」
由紀「それじゃあ、次の王様だーれだ?」
金剛「私だな。 それじゃあ、13番から16番でリンボーダンスをしてもらおうか」
千秋「先生… 年代を感じますね」
金剛「黙れ… そんなに変わらんだろ」
黒田(13番)「私ねー まあ、柔らかさには自信があるわ」
筑紫(14番)「私も…」
店長(15番)「昔よくやったなぁ… 懐かしい」
紅葉(16番)「あらあら…できるかしら」
テーブルの上に棒を置いて即席のリンボーダンスができた。
倉持の発達した聴覚と思考回路は… 視覚に頼らなくても、その様子をありありと想像できた。
リンボーをくぐるため、姿勢を低くする様子が分かる。
倉持は歯を食いしばり耐えた。
由紀「つぎぃ」
店長「4番~7番でツイスター的なゲーム」
倉持(4番)「わ、私です」
青野(5番)「私もでーす」
三奈(6番)「私だ」
ジョディ(7番)「私ね」
倉持(あ… これはヤバいやつだ… 無理な奴だ…)
由紀「どうする倉持、目隠しを続けるか? それとも外すか?」
倉持「…外しません」
それぞれの体勢をご想像ください。
ツイスター的なゲーム
~ルール説明~
まず外側の青と黄に足を置いて向かい合う。
審判がルーレットを回して、指定の色に指定の部位(右手、左手、右足、左足)を置く。
バランスを崩して倒れた方の負け。
ツイスター的なゲーム第1回戦 審判 店長
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倉持VS青野
倉持側 青野側
赤 ①②③④⑤⑥
青 ①②③④⑤⑥
黄 ①②③④⑤⑥
緑 ①②③④⑤⑥
店長「左手を赤」
倉持 赤の② 青野 赤の⑤
店長「左足を赤」
倉持 赤の① 青野 赤の④
店長「右手を赤」
倉持 赤の③ 青野 赤の⑥
店長「左足を黄」
倉持 黄の② 青野 黄の⑤
店長「左手を緑」
倉持 緑の③ 青野 緑の⑥
店長「右手を緑」
倉持 緑の④ 青野 緑の④
店長「右足を黄」
倉持 黄の① 青野 黄の③
青野「きゃ、きゃあ…」
青野がバランスを崩して倒れた。
勝者 倉持
店長「勝ち抜き戦な」
倉持「ええっっ」
倉持(いけるか… もってくれよ。 私の肉体ぁ)
ツイスター的なゲーム第2回戦 審判 真冬
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倉持VSジョディ
倉持側 ジョディ側
赤 ①②③④⑤⑥
青 ①②③④⑤⑥
黄 ①②③④⑤⑥
緑 ①②③④⑤⑥
真冬「右足を緑」
倉持 緑の① ジョディ 緑の③
真冬「右手を黄」
倉持 黄の③ ジョディ 黄の④
真冬「左手を黄」
倉持 黄の② ジョディ 黄の⑤
真冬「左足を青」
倉持 青の② ジョディ 青の⑤
真冬「右手を緑」
倉持 緑の③ ジョディ 緑の⑥
バランスの良い二人の攻防は続いた。
最終的に
倉持 右手 緑の④ 左手 赤の④ 右足 緑の① 左足 青の①
ジョディ 右手 赤の⑥ 左手 緑の⑥ 右足 赤の③ 左足 緑の②
となり、倉持の呼吸によって、ジョディはバランスを崩してしまった。
勝者 倉持
ツイスター的なゲーム第3回戦 審判 宇美
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倉持VS三奈
倉持側 三奈側
赤 ①②③④⑤⑥
青 ①②③④⑤⑥
黄 ①②③④⑤⑥
緑 ①②③④⑤⑥
宇美「右手を赤で」
倉持 赤の② 三奈 赤の③
宇美「左手を黄」
倉持 黄の② 三奈 黄の③
宇美「右足を青」
倉持 青の② 三奈 青の④
宇美「右手を緑」
倉持 緑の② 三奈 緑の③
宇美「右足を緑」
倉持 緑の① 三奈 緑の④
宇美「左足を赤」
倉持 赤の① 三奈 赤の⑥
三奈「あ、あ、あ… だめぇ…」
勝者 倉持
しかし、倉持の心臓の鼓動はもはやマッハであった。
由紀「次の王様は…」
霞「私だな… 物を使ったゲームは少々時間がかかるな。 もっと、手っ取り早いもので行こうじゃないか」
不敵な笑みを浮かべる霞。
果たしてどのようなゲームを提案するのか…
室内に暗雲が立ち込める。