倉持は巨乳派? 貧乳派?
灰田「倉持さんってさ… おっぱいマウスパッド持ってる?」
倉持「いきなり何ですか?」
灰田「いやー。 買ってた本の子たち巨乳が多かったから、おっぱい星人なのかな…と」
緑谷「え… そうなんですか?」
倉持「あの、いずれにしても食事中にする話じゃないと思いますが…」
灰田「じゃあ、こじゃれたカフェに行こうか」
倉持「カフェでもダメですよ。 いや、まあ今日はあちこちにそういう人たちいますけど」
灰田「だな。 じゃあ、あとで誰かの家で話すか? 倉持さんとは趣味が合いそうだから、じっくり話してみたいんだ」
筑紫「じゃあ、緑谷さんの家はどうですか?」
緑谷「ええっっ。 筑紫さんの家の方が広いと思うけど…」
筑紫「…うちは修羅場の後で、散らかってるし…」
緑谷「うーん… まあ、結構遠いですけど… 皆さんが良ければ」
倉持「あー… 私は…」
筑紫が倉持に視線を送る。
倉持「あ… 行きます」
灰田「じゃあ、決まりだな。 食べたら緑谷のアパートに行こうー」
4人は電車に揺られて、緑谷のアパートに到着した。
灰田「久しぶりだなー」
緑谷「散らかっててすみません」
倉持「綺麗だと思いますよ」
緑谷「じゃあ、コーヒーでも入れますね」
倉持「手伝いますよ」
緑谷「大丈夫ですよー 座って待っててください」
緑谷(…他に人がいれば部屋に入ってこれるんだぁ…)
緑谷は以前、倉持が部屋まで来てくれたことを思い出していた。
緑谷(あれがあったから… 今、こうしていられるんだなぁ… ほんと… 感謝してもしきれないくらいだよ…)
灰田「さて、倉持さん。 巨乳派? 貧乳派?」
倉持「いきなり飛ばしますね」
灰田「いやいや、飛ばすのは男の方だろ?」
倉持「うーん… 注ぐじゃないですか?」
灰田「確かに…な。 やっぱり倉持さん、下ネタもいけるね。 最初に会った時はそんな雰囲気なかったのにさ」
倉持「親同伴でしたし… それを言うなら灰田さんもお姉さんがいるときには、そんな様子じゃなかったのに… もっと、こうクールな感じで…」
灰田「…そりゃあそうだろ。 下ネタなんて、そうそう言えないさ。 な、筑紫さん」
筑紫「まあ、そうですね」
灰田「で、話がそれたけど、どうなんだ?」
倉持「…どっち派とかは、ないのですが… ただ、私… 貧という言葉があまり好きではないんです。 もっとこう… 別の言葉… 例えば微乳とか、そっちの方がいい気がするんですよ」
灰田「なるほど。 確かにそうだな。 まあ、私は巨乳が好きだが。 筑紫はどうだ?」
筑紫「私は… そうですね。 好きな人の胸なら巨でも貧でも構わないって思います」
灰田「…ふむ。 そうか… なるほど… 確かに… うん… そうだな。 じゃあ、倉持さんは今巨乳の女性が気になっているんだな」
倉持「え? 飛躍してませんか?」
灰田「いやいや、さっきも言ったように、倉持さんはどっち派でもないと言っておきながら、今日買った本は巨乳の娘がメインのものばかり。 それかBL。 こういう話を知ってるか?」
倉持「なんですか?」
灰田「人は自分に足りないもの… 言い換えると自分に必要なものを無意識のうちに欲するんだ。 例えばスーパーで買い物をするとき、野菜が足りなければ、意識せずとも野菜をカートに入れる。 それと同じで、本を買うときも、無意識に自分が欲しているものに手が伸びるんだ…見たところ倉持さんは特定の作家のファンというわけでもなく、大手狙いでもない。 純粋に絵やストーリーで選んでいる節がある。 そういうひとこそ、より一層自分の無意識の声に支配されやすいものさ。 そこから導き出される結論… それは、倉持さんは巨乳娘に恋をしている。もしくは自分が巨乳になりたいのどちらかだ」
倉持「いやいや、巨乳になりたいわけないじゃないですか」
灰田「かかったな。 否定したのは後者のみ… と、いうことはだ。 前者はすこーしは心当たりがある… そうじゃないか」
倉持「そ、それは… ま、まあ。 でも、周りに巨乳の子は結構いますし…別に特定のだれかが好きとか、そういうわけじゃあ、ありませんよ」
灰田「何? 巨乳パーティが組めるのか? それはうらやましい。 いやうまやらしい」
倉持「わざわざミスを言いなおさなくても」
灰田「そうかぁ… おっぱいがいっぱいかぁ… それは楽しみだなぁ」
倉持「?」
筑紫「灰田さん。 リコさんに起こられますよ?」
灰田「大丈夫。愛でるだけだから」
緑谷「お待たせしました。 どうぞ」
倉持「ありがとうございます」
灰田「ありがと」
筑紫「ありがとう」
緑谷「…倉持さんの気になる人って、青野さんですか?」
倉持「え… いや、え? 何でですか?」
緑谷「本を書いているとですね。 見えてくるんですよ。 人と人との関係性が… この間のキャンプで確信しました。 倉持さんと青野さんとの間には… 何かがあるって」
灰田「へーー。 何々、その青野さんって娘、巨乳?」
緑谷「ええ、でっかいです」
灰田「マジ… これぐらい?」
灰田は両手をリンゴぐらいの大きさに開く。
緑谷「いえいえ。 メロンです」
緑谷はメロン大のジェスチャーをする。
倉持「いえ… 実際にはこれぐらいです」
おっぱいソムリエの倉持は緑谷よりも、数センチ大きな円を描く。
筑紫はちょっと引いた。
倉持はその視線に気づき冷静さを取り戻した。
倉持「いえ… すみません。 取り乱しました」
灰田「まじめなエリートだと思っていたけど… 結構ヤバいやつで安心したよ」
倉持には男友達があまりいない。
それゆえ、こういった猥談を繰り広げる機会がほとんどなかった。
そのため、ブレーキの掛け方がイマイチ分かっていなかったのだ。