お説教女!と殿下に婚約破棄されました。口うるさいおばさんみたいとか…ひどいですわ。殿下のためを思って私は…優しい妹のほうがいいからって…。真実の愛に目覚めたとか。妹は優しいといわれていますがじつは…
「お前みたいなお説教女と婚約していたくない。婚約を破棄する!」
「…お説教女…」
「口うるさいおばさんみたいだ…お前本当に16歳か? 若々しさのかけらもない」
私は妹が5人もいて面倒をみてきたせいでどうもおばさんみたいと言われることはありました。
認めます!
でもしっかりした婚約者がいたほうがいいと、王家と我が家の話し合いで決まったのが私ですのよ。
「…かわいいお前の妹のベッティのほうがいい!」
「…かわいいってあれが…」
「あれとはなんだ、妹いじめの姉ともベッティが言っていたぞ!」
「……」
「優しいベッティに免じてお前は婚約破棄だけにしてやる!」
私はベッティが連座を恐れて私を処分するなといったに違いないし、優しいってあれがと思いますが。
私は王宮を追い出されてしまいました。
「ベッティが…そうか」
「お父様が妹を5人も作るからですわ。私は妹の面倒をみるだけの人生でおばさんくさいといわれたのですわ!」
私は一番下の5歳の妹を着替えさせながら怒ります。うわーんと泣き出ししたのが下から2番目の妹です。
年子なんて…手がかかりすぎますわ!
「おばさんくさい…か私のせいだなすまん」
「お母さまが死んでから次から次へと! ベッティは私と2歳違うだけですのに妹たちの面倒もみないのですわよ! 14にもなって!」
ああ口うるさいとか言われるはずですわ…。
でも殿下には注意をしてやってくれと王妃様に言われてましたのよ。
甘やかしすぎたって。
でもベッティの裏の顔を知らないなんて性格が甘ちゃんですわよ。
「ベッティが新たな婚約者になると聞いたが」
「…お父様としてはどちらでもいいってことですか!」
「いや…あれには務まらないとは思うが」
私はベッティが婚約者になっても首がすげ変わるだけですけどとは思います。
でもベッティはいつもいつも私をおばさんくさいとか、お説教うるさいとかいつも言ってバカにしてましたのよ。
妹たちのためを思って言ってますのよ。
「おねーたま、おちっこ!」
「はいはい、ミーナ」
私が婚約者になってからというもの妹たちは使用人がみてくれてましたが、お話を読んでくれないの。おしっこにきてくれないのと妹たちに実家に戻ったら泣かれてしまい。
5歳、6歳、8歳、9歳、14歳とか…手がかかりますわ。
「おねえたまおうちにいるの?」
「ええ」
「うれちいな、ベッティおねえたまはお話を読んでくれないの。うるさいっていうの」
「…あいつ」
私は妹たちのお世話係をベッティに押し付けたわけではありません。
使用人に世話を任せて、夜寝るときのお話をしてあげたり、話し相手になってあげてといっただけですわ。それすらしてくれないなんて…。
「…これからどうするユリス」
「そうですわね…」
私はベッティに対する不満がふつふつと出てきました。
だってあの子はいつもお父様がお客様から頂いたお菓子だって自分だけのものにしますし。
妹たちがお父様からもらったプレゼントも取り上げる傲慢な子なのですわよ。
お父様や男性の方には甘い言葉で優しい女の子のふりをしていますが…。
さすがにお父様は本性は知ってましたわ。
私はベッティに復讐をすることにしたのです。
おばさんくさい~。とか私が大切にしていたお母さまの形見のドレスや髪飾りなどを勝手に借りたわよ。とかいって壊したりなくしたりしたことも多々ありましたもの。
わざとドレスを引き裂いているところ見たところもありましたわ。
私は妹たちをひきつれて、王宮に行くことにしたのですわ。
「ユリスおねーたまは優しいです。ベッティおねえたまは性格が悪いです。いつもミーナがおしっこをちびるってばかにします。ミーナの大切なお母さまの宝石もベッティおねえたまがとりあげました。あんたにはこんなものいらないでちょって!」
一番下のミーナが私にひしっとしがみ付き言いますが…王妃様がまあと目を丸くしてこちらを見ています。
「ミーナ、ほらほらよだれ!」
「おねーたまありがと!」
私がついハンカチを出してよだれを拭くとにっこりと陛下が笑い妹思いだなと言いました。
殿下とベッティが渋い顔をしています。
「ベッティお姉さまはいつもミーナやシーナを馬鹿にします! 死んだお母さまはばいただったって、ばいたって意味がわかりませんけど…ミーナとシーナのお母さまは優しい人だってユリスおねーたまは言ってくれます! いつもクッキーやケーキをミーナとシーナのために焼いてくれます! ベッティお姉さまはいつもシーナをぶさいくといってバカ…」
ああ、シーナが泣き出しました。私はあわててハンカチで涙を拭きます。
ミーナとシーナは年子で、母親は同じでした。
「ベッティお姉さまがいつも私たちをいじめるのですわ。ねえエリス?」
「はい、私はいつもベッティお姉さまに馬鹿にされます。不細工って、不細工ってエミナにも言うのですわ」
エリスとエミナのお母さまも同じ。
お父様4回も再婚しているのですわ。
私とベッティのお母さまは違います。
「ユリスお姉さまは私たちの面倒をいつも見てくれる優しいお姉さまです。ベッティお姉さまにいつもいじめられてます…ユリスお姉さまはそれでも妹だからってベッティお姉さまをお許しになる優しいお姉さまです!」
数々のベッティの悪さを妹たちが証言しました。
ありすぎてなんとも…。妹たちもそれぞれ大切なものを取り上げられて暴言を吐かれたりしていますのよ。
ベッティに妹たちにやさしくしてあげてと何度言ったことか…。
「妹いじめをしているのはベッティ、いやベアトリスのほうか…」
「ユリスさんは妹いじめなんかしていないのに、レオンが勝手に妹いじめの罪で婚約破棄したのね、申し訳ありません」
私は陛下と王妃様に謝罪されました。
ベッティがエリスにつかみかかっていじめるとかそんなことしてないわよ! と怒り出します。
「ユリスお姉さま助けて!」
「ベッティおやめなさい!」
私はベッティを引きはがします。いつもの作業でしたわ…。
これで真実がわかったと陛下が処断され、婚約は私からの解消という形になり。
ベッティは婚約破棄され、修道院に送られました。
そして殿下は王太子は務まらないと廃嫡。
私は…。
「おねーたまおちっこ!」
「はいはい」
今日も妹たちの面倒を見ていますが、このたび婚約が決まりました。
婿をとることになりまして、館に残れます。
ああ、妹たちがお嫁にいくまでがきちんと面倒がみられますわ。安心です。
お読みいただきありがとうございました。
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