沈黙の編隊 〜ツインホーン〜
話を戻そう。つまり、雀ゲーってのはストーリー性皆無かつ、お色気を入れられるのが大きな強みなのに、本作はなにが悲しゅうて洋上で戦艦とガチンコで戦うシチュエーションにしてストーリーまで入れ込んできたのか。わざわざ有利な条件を捨てて勝負に挑むその姿勢。「ほほう、思い切りのいいパイロットだ」と、ランバ・ラルよろしく感嘆する気には到底なれそうもありません。
ただ、狙いは分からなくもないのです。だいたいアーケードの雀ゲーってのは漏れなくお色気シーンが標準搭載みたいなものでして、これがユーザー獲得に寄与するのですが、その代償として純粋に雀ゲーが楽しみたくっても、お色気シーンのお陰でお色気目当てにプレイしてるとしか思われないという致命的弱点を抱えてます。
さらに勝ち進んで、いよいよギャルの着衣があとわずかになっていくとギャラリーがワンサカ集まってきて、その嫌な注目とプレッシャーの中、冷静に捨て牌を読み、手牌の構築を強いられるのです。流局にでもなろうものなら舌打ちされたりもします。もうこうなったらお色気シーンなどない方がマシです。そういうニーズ向けにリリースされたゲームであるなら合理性はあると言えます。それで戦艦と戦うのはまた別として。
しかし、非常に残念ながら、その儚い合理性も根本から覆されるような記憶も筆者にはあるのです。それは、勝負の幕間に流れるデモに、そのお色気シーンがあったような記憶もあるのです。いや、これはひょっとすると他の雀ゲーの記憶とごっちゃになってる可能性もあるのですが、どうも本作のヒロインだったような気もするのです。このへんは記憶が曖昧なので断言はできません。しかし、もしそうなら本作は結局なにがやりたかったのか、全く意味不明になるのです。
そもそもストーリーを入れ込み、ヒロインまで用意し、何の脈絡もなくギャルゲー風のイベント絵を挿入したってことは、そりゃもうヒロインのサービスシーンを入れるからとしか考えられません。それがないならストーリなぞ入れず、ただ戦艦や戦闘機と戦うだけの雀ゲーにすればいいのですから。わざわざヒロインが攫われて、それを男が救出ってシチュにしたってことは、やっぱりお色気シーンがあったと考えた方が理屈に合います。
そのお色気シーンの記憶も、筆者にはおぼろげながらあるのです。