ブレス・オブ・ファイアⅢ 〜キラキラ輝いて〜
では本作は凡百のRPGのひとつなのかというと、なかなかそうとも言い切れないものがあります。もしそうならわざわざここで語ったりはしません。
制作は別にプレイヤーに忍耐を強いようとは思ってなかったでしょうし、冗長なストーリーでいいと思ってたわけでもないでしょう。ましてやエンディングまでのアリバイ作りのために、どうでもいいサイドストーリーやお使いを入れ込んだわけではないはずです。
そうではなく、制作が意図したのはむしろプレイヤーをエンディングまで飽きさせまいとのサービス精神からだったのは想像に難くありません。
本作のゲームのテンポの悪さは意図したものではないでしょう。戦闘エリアで敵とエンカウントするシステムは独特です。敵とのバトルもRPGでは作業になりがちですが、本作はやりごたえがあるとも言えます。それが逆にバトルを冗長なものにしてしまっているのです。制作は前に進むより、バトルも楽しんでほしいと思ったうえでのバランスだったようですが、不幸なことにそれが裏目に出てしまったようです。
ストーリーを進めるためのお使いやイベントはどれも凝っていて一筋縄ではいきません。これもやりこみ要素とも言えますが、ストーリーを進める上ではただの障害です。
恐らく制作はレベルアップやストーリーばかりを無闇に進めるのではなく、その場面、場面をプレイヤーに楽しんでもらいたかったのでしょう。そう考えればあの冗長な展開も理解ができます。
しかし、やっぱりRPGはストーリーを進めて早く次の展開を見たいものですし、お手軽にレベルアップして強くなった感を味わいたいものです。制作の視点がプレイヤーとのミスマッチを起こしてしてしまったと感じざるを得ません。
こんな感じ方をしたのはもしかすると筆者だけだったのかもしれません。人によっては、世界観をじっくり楽しみたい向きには、あるいは本作のテンポの悪さは気にならないどころか楽しいと感じられるものなのかもしれません。なので、筆者は本作をあまり悪くも言えないのです。これは個人的な感想に過ぎないものです。
翻って、例えば小説などでも同じようなことがあったりします。序盤から中盤にかけては冗長で、途中で読むのもやめたろか、とか思うようなものでも、読了すれば満足度の高いものがあったりします。その逆もまたあるんですけどね。でも、幸い小説はゲームのように忍耐を要しません。ただ読んでればエンディングに誰でも辿り着けます。筆者がものを書くときも、常に本作で受けた印象を頭の片隅に置いているのですから驚きです。本作は図らずもそんな影響を与えてくれたのです。ゲーム制作って、本当に難しいと思います。
この作品で受ける印象は人それぞれでしょうが、筆者が少ないゲーム経験の中で、とても大切なことを教えられたような気がするのです。
以上をもちましてシーズン6は終了です。薄々勘付いておられる方もいるとは思いますが、いよいよネタも尽き、終局が見えてきました。次回からはちょっと趣向を変えた構成でいこうと思います。
読んで下さった皆様に感謝申し上げるとともに、次回も良ければお付き合い下さい。