ICO 〜ホール〜
ゲーム終盤にくると脱出イベントが発生。数々の仕掛けを潜りぬけ、女の子、ヨルダと共に正門が開いて出口が見えます。もちろん、すんなり脱出などさせてくれません。正門の橋で魔女の攻撃を受けてヨルダが攫われ、助けに戻るか、一人で逃げるかの二者択一を迫られます。当然逃げても出口の扉はヨルダの特殊能力がないと開かないのでリトライという天罰を食らうことになります。ここも一筋縄ではいかない、ドラマティックな演出です。
一人になったICOは扉を開ける能力を持たないので、お城の老朽化した部分から侵入することになります。とはいえ、ゲーム的にいえばこっちの方もきちんと作りこまれてるのでそう見えるだけであって、お城の仕掛けを解くのと大差ないんですが、作り方が巧みでいかにも城の裏口を突いているような気になってしまいます。
魔法の剣を入手してからは無双状態でヨルダも攫われてリトライになることはないので、ホールでは思う存分影を相手に大立ち回りできます。ただこの時の影はさらにICOと姿が似ているような。ここでもプレイヤーの想像力がくすぐられ、背筋が寒くなってしまいます。
そしてついに魔女との対面、ラストバトル。ここもシステム的にいえばお城の仕掛けを解くのと大差はないのですが、演出が上手いため、本当に戦ってる気になります。魔女に一撃入れると剣が弾き飛ばされてしまい無防備状態に。プレイヤーの観察眼とヒラメキを要求します。が、筆者でもクリアできるうえ、割とアッサリめな難易度なのもポイント高し。おかげで何度でもエンディングを見ようという気になります。
バトルを何度か繰り返すと魔女の攻撃の盾になるオブジェが動かせることに気付いた時はさすがに「詐欺だ!」とも言いたくもなりますが、それも作品への愛ってもんです。
素晴らしいのはこの仕掛けに気付かなくっても、攻略は可能なことでしょう。タイミング的には少々シビアですが、どうにもできないというほどでもありません。大体ラスボス戦なんてのはプレイヤーのテンションも上がっててテンパってて、そこまで確認する余裕なんてないですよ。しかし、製作側のこの細やかなケアにまあ落ち着け、深呼吸して周囲をよく見ろと諭されてるようです。