ファイナルファンタジータクティクス 〜イヴァリースのコラ〜
……と、さんざん苦言を呈しておいて、じゃあ自分にこれほどのストーリーが作れるかというとそんなことは絶対ないので別に文句が言いたいわけでもないのですが。
ただこのストーリの気になる部分は、制作チームはそれこそ剣と魔法のファンタジーものではあっても、中身はコテコテの思想性に溢れた物語をやりたかったのではないでしょうか。でも、外伝的作品とはいえFFブランドであるからには、悪魔的な絶対悪を用意せざるを得なかった。したがってディリータも歴史の流れにうまいこと乗っかった要領のいい奴っぽくならざるを得なかったし、ウィーグラフも貴族や体制への不満を語りながらも、最後はただの化け物になってしまったのではないか、と、筆者は勘ぐるわけです。
まあそんな重箱の隅をつつくような筆者の邪推など微々たるものでして、本作のストーリーが評判通り素晴らしいものであることは何ら異議を差し挟むものではありませんので、特に気にする程でもないのかも。
が、後年プレイしたPSPタクティクスオウガにはこのあたりのストーリーのブレは見られません。マルチエンディングを採用しつつ、戦争、民族、国家というテーマに挑んでます。ただこちらは戦闘のバランスが厳しめで、筆者はクリアすらしてないのであまり大きなことも言えないのですが。そういう意味においてはゲームとしての総合力はFFTの方が筆者的には高評価です。
なのですが、やっぱりゲーム的に考えると気になる部分もあったりなかったり。
前述したように本作はストーリーを純粋に楽しもうにも、レベル上げの作業に結構な時間を取られてなかなか楽しめないバランスになってます。序盤から中盤のステージにかけて、筆者はそれこそ主要メンバーを最高レベルの99まで上げてアビリティもほぼ全職種のものを覚えさせました。そこまでやる必要もないのでしょうが、ヘボプレイヤーの悪癖と言いますか、ヌルい難易度で気楽に楽しみたいという欲求には抗えないものがあります。
そもそもレベルの概念もなくてもよかったんじゃ? などと思わなくもありませんが、かなり奇抜なシステムになってしまうので、やっぱりレベルは必要なのでしょう。レベルアップによって基礎能力は上がるわけですし。でも、ヌルゲーマーの筆者はやはり強くなって序盤のザコを難なく倒して、強くなった実感が欲しいものです。このあたりが筆者がオーソドックスなRPGを好む理由のひとつでしょうか。
ただ、S・RPGが好きな人や、それが高じて製作者になるような人は厳しめの戦闘バランスがお好きなようです。
実際、本作を手がけたクリエイターは元々S・RPGのファンであり、自身もその普及に一役買いたいと何かのゲーム誌で語っておられました。相当なコアゲーマーであることが推察されます。
そうなのです。S・RPGって、なんか筆者のようなヌルゲーマーの目にはコア層向けな印象をどうしても受けてしまうのです。普通に面白いとは思うんだけど、どこか難易度の壁というか、ハードルの高さを感じてしまうのです。しかもこの難易度は作品によってかなりのバラつきがあります。ハマるととても楽しいのでしょうが、逆に合わないとただただ苦痛を強いられる場合も決して少なくないのです。まあ、オーソドックスなRPGでもそれはないわけではないので、ただの思い込みに過ぎないのでしょうが。




