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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

警備4種 (民間任意警護公務員)

作者: セロリア

岡山県。


岡山刑務所で初の試みが開始されようとしていた。


秋本真也被告、現在64歳。


ヤクザに家族を壊され、総連組組長を狙い事務所へカチコミ。


15名をドス、奪った拳銃で殺害、3名重症、組長は死亡。


当時26歳であった。


今は真さんとして親しまれ、恐怖の親父として、刑務所治安に一役買っている存在である。


コロナ、新型コロナ、新型豚インフルエンザ流行により、2021年、政府はベーシックインカム、ベーシックキャピタルを採用し、国民総生活保護という題目で、生活保証は満たされた。


かに見えた。


しかし、比例して、家庭DVが激増、近隣トラブルの激増という事件未満の案件が多発。


警察は民事不介入の原則の為に動けず、しかし、小さな子供達の命が日々失われて行き、遂に子供の虐待報告件数が年間100

万件から、ベーシックインカム導入後年に一気に800万件を越えた。


政府はこれを受け、新たに民間警備公務員の設立へ舵を切る。


組織の名前は民間任意警備公務員、又は、警備第4種免許。


国家公務員扱いでありながら、民間の暴力トラブルに強制介入出来る権限を持つ。


しかし、危険か危険でないか解らない犯人らしき人物に、最初から全力警戒は難しく、第4種任務中の殉職が続出。


これを受け政府は、暴力の匂いを嗅ぎ分けられ、尚且つ腕の立つ人材を募集したが、試験を受けに来るのは外国人ばかり。


日本警察代表の剣道、柔道、空手の選手らが、ただの一般人の酔っぱらいに刺し殺された事例を聞かされれば、いかにこの仕事が厳しいかが解り、辞退していく。




現在、2025年。


毒には毒を。


岡山県岡山刑務所、第4種警備免許資格、試験募集。


VR脳波試験、武術試験、そして、抜き身刀相手への実践試験。


秋本真也64歳、合格。


合格者は23名中1名のみ。


抜き身刀試験管を殴り飛ばした試験歴史の中でたた一人の人物。


秋本真也は、死を全く恐れていなかった。


仮釈放扱いとなり、外に出た。


冬だから寒い。


外には日本人屈強な黒スーツ若い男1名、ムキムキなインド?人女性1名、白いスーツ日本人美人女上司が待っていた。


どれも20代だろう。


白女「ようこそ、警備4へ、期待してるわ、これ名刺」


名刺「民間任意警備公務員第4種、部長、白井加奈子」


白井「車乗って、大体は解るでしょう?合格したんだし」


運転黒男「俺、平塚幸助です、宜しくお願いします」


インド女「私は移民で、メナルムア、メナって呼んで」


真也「私は秋本真也です、宜しくお願いします」


白井「はい、自己紹介終わり!今から早速仕事だけど、お腹空かない?大丈夫?」


真也「あの、今からですか?」


白井「ん?何か問題かな?」


真也「え、その、服とか、免許証とか?」


白井「ああ!はい、免許、服は別に何でも良いよ、あ、動きにくいとかある?」


真也「え、いや、ないです」


白井「そ、良かった」


真也「・・」


皆『・・』


真也「あの・・」


白井「何何?」


真也「どのくらいの暴力が許されるんでしょうか?法律は勉強しましたが、いざ実践となると、その」


白井「ああ、はいはい、まあ、黙ってみててよ、だいたい解るからさ、んね?」


真也「・・はい、解りました」


白井「もう着くよ、防弾、防刀、装置よろしく!」


メナは首に薄い防刀ガードを装置し、拳銃を取り出し、弾を確認。


小さな箱を取り出し、開けた。


小型ドローンの蚊型が沢山入っている丸い機械が入っている。


メナ「ドローン充電よし」


車が駐車場に着いた。


幸助も首に巻き、拳銃、ドローンを装置する。


白井「よおし!んじゃ今回も国民の安全を守ろう!それぞれ自由にやってよし!状況開始!」


メナ、幸助『状況開始了解』


あっという間に出ていってしまった。


白井「ほらほら!君も行く!開始開始、状況開始!」


真也「あ!は、はい!」


急いで車から出る。


とは言え、もう見えない。


真也「あのー、現場はどこですかね?」


白井「だから着いていきなさいって、はあ、もう~仕方ないなあ」


車からノートパソコンを持って降りる。


真也「す、すいません」


白井「こっち」


4通り向こう、団地が乱立している。


白井「あの団地見えるでしょ?」


真也「はい」


白井「あの団地の11号棟の4階の302号室で普段から怒鳴り声や、叫び、悲鳴、子供の鳴き声、叩いてる音、皿を壊す音がほぼ毎日聞こえるんだって」


真也「解りました、でも、一般人に拳銃とか少し大袈裟というか・・」


白井「一般人ならね、相手は移民よ、インドネシアで顔が広い、自称大物なんだって」


真也「インドネシアって・・売人ですか?」


白井「可能性は高いわね」


肩をすくめた。


真也「それじゃあ、あの団地って結構・・その」


白井「ん、まあ、団体様が出てくる可能性はある」


真也「武器を下さいよお!?」


白井「あはははははは、はい拳銃」


真也は受け取り、慣れた手つきで確かめる。


白井「流石!慣れたもんね!」


真也「・・よし、行ってきます11、4、302?」


白井「好きにOK」


真也「・・はい!」









メナが飛び込み、幸助が周囲警戒役割。


メナは普通にインターホンを鳴らした。


奥さんが出てきた。


顔は傷だらけ、絆創膏だらけだ。


メナ「あ、私こういう者ですけど~?」


警備免許第4種を提示した。


明らかに奥さんのが動揺している。


メナ「〈ニコニコ〉 通報がありまして~、一応暴力事件の有無を調べないといけない決まりがありまして~、中に入らないと私帰れないんです~、入って宜しいでしょうかあ~? 〈ニコニコ〉」


奥さん「あ、あの、えっと・・その、困ります、突然」


メナはいきなり真顔になり、低い、薄い声で奥さんに語る。


メナ「無理やりやらされたなら罪にはなりません、旦那さん、旦那さんの組織は全員即応死刑になるお覚悟を」


見つめ合う奥さんとメナ。


奥さん「・・う、うう~・・・・地獄で・・た・・け・・て」


奥さんはメナに道を開けた。


メナ、幸助は拳銃を抜き、雪崩込み、素早く索敵。


子供を人質に取った父親が居た。


父親は拳銃を子供に突き付けている。


父親は興奮しており、側には2本空の注射器が床に。


父親「動くな!動くなよ!」


父親はパニックになっていて、全て英語だ。


メナはゆっくり下がるように幸助に言い、二人下がる。


奥さん「貴方!もう止めて!お願いよ!子供を離して!」


父親「うるせええ!!」


奥さんに銃口を向けたのを見て、メナは奥さんに被さる。


同時に父親は発砲。


メナの背中に2、3当たっていく中、幸助が父親にナイフで飛び掛かる。


腕から脇に刺し割く。


父親は拳銃の引き金が引けなくなり、腕の感覚が切れた。


幸助はすかさず首を切った。


血が飛び散る。


子供は気絶していた。


奥さんも気絶。


幸助「はあ、はあ、おい!おい!メナ!おいメナ!」


メナ「ゲッホ!ゲッホ!ゴッホ!かはあ!はあ、はあ」


幸助「はあ、ったく、格好良いなお前は!」


メナ「子供は?」


幸助「無事だ」


メナ「・・そう、いった!?」


幸助「ほら、後は警察の仕事だ、帰るぞ、肩貸すから」


メナ「あばら骨いった!いったあ~、いちちちち」


幸助「ところで新人さんは?何処?」


メナ「知らないわよ!後でシメてやるんだから!いちちちち」


幸助「賛成!」


玄関から出た。


パトカー、救急車の音が聞こえている、大量に。


外に出た二人はエレベーターがない為、階段を降りようと左を見た。


大量の外国人、ヤクザの死体が転がっていた。


10人?


階段下にも続いている死体、20人?30人?


真也「あ、お疲れ様です」


上から声がした。


驚いて見てみると、大家さんと一緒に降りて来る真也の姿。


真也「いやー、この団地結構ヤバいですね、次々下から敵が来ましたよ、まあ、殺りましたけど」


真也はあっけらかんと笑う。


真也「大家さん情報によれば、この11号と隣の10号がヤバい奴らが多いそうで、まあ、取り敢えず、ゴキブリは殆ど出てきたとは思うんですがね、へへ、すいません、応援行けなくて、でも二人が全滅した時、誰かが外に居ないと、それに狭そうでしたし、敵の増援の可能性が高いと判断した次第でして、すいません」


幸助「いえ、助かりました」


メナ「やるじゃん、自己中万歳」


幸助「はは」


真也「降りましょう、後は警察に任せましょう!」


警察による立ち入り捜査全面協力要請により、この団地全ての立ち入り捜査が行われ、麻薬類合計1.8トンが押収された。


移民が大半の団地は、より一層世間の目が厳しくなった。







当日夜。


岡山事務所。


結構綺麗な事務所だ。


造りもゴツい。


そして、ペンキで後藤組とうっすら書かれている事務所看板は見なかった事にした真也。


今は地下一階、5階中の二階の広いリビング食堂?に居る。


白井「やあやあ!お疲れ様ー!伝説のダークHERO!秋本真也さんと、被害者庇ってあばら6本いったメナルムアと、メナルムアを助けた幸助ちゃんに乾ぱ~い!と言ってもノンアルだけどね~」


真也「だ、ダークHEROだなんて、そんな、いや、参ったな」


白井「照れてる照れてる~」


メナ「あの、奥さんと、子供は」


白井「ん、ちゃんと保護されたよ~、刑務所にはならないから安心してー 〈モグモグ〉」


メナ「ほ、そうですか、良かった」


幸助「にしても、流石に強過ぎですよ真也さん、42人相手に勝っちゃうなんて!異常ですよ!?」


真也「え!?あ、あははは、い、いや~、運が良かっと言いますか、はははたまたまです、たまたま、あははは」


白井「本当に良かっわあ!真也さんが来てくれて!真也さん居なかったら全滅してたかも!ねえ?」


メナ「恐らく確実にしていたでしょう」


幸助「真也さん、あざっす!」


真也「あ、いや、あははは、や、やだなあ、助け合いですよ、助け合い!ね!あはははははは」


白井「さ、明日は見回りパトロールだよん!ついでに捜査、この件はメナ抜きで、二人でやってねん」


メナ「そんな!白井さん!」


白井「駄目、命令違反したら免許没収だから!・・返事!」


メナ「・・はい」


白井「宜しい!早く治しなさい!では、諸君、お休み!」


真也「え!?あの!?」


白井「ん?」


真也「私の部屋は何処ですか?」


白井「あー・・幸助君に聞いてー、じゃ!」


幸助を見る。


幸助「皆ここに住んでますから、慌てなくても良いですよ」


真也「は、はあ・・」


その後、地下天然塩温泉大浴場、トレーニングルーム、個室、トイレを案内された。


幸助「風呂には特に時間制限はありませんので、好きに入ってくださいね」


真也「え?女性の風呂は?何処ですか?」


幸助「ああ、まだ分けてないんですよ、予算厳しくてははは」


真也「えー?それじゃ、時間分けた方が良くないですか?」


幸助「あの二人は女捨ててますから、気にしないそうです」


真也「えー?見られても何ともないと?」


幸助「そうですね、はい」


真也「えー・・」


幸助「あ、でも手は出さない方が良いな、我々は任意で殺しが出来ますからね、そして当然ながら、急所無くなっても保証ないし、死んだ方がマシっていうか・・ははは」


真也「わ、解ってますよ!しませんよそんな事!やだなあもう」


幸助「説明ですよ、ただの説明、ははは、さて、案内は残り屋上ですね」


屋上。


白井が煙草を吸っていた。


白井「あんれ?来たんだ?」


幸助「ええ、ここは結構景色良いし、良い風吹きますからね、案内はしとかないと」


真也「うわあ・・凄いですねー」


下に見える町明かりが綺麗過ぎる。


真也「ここは少し山上にあるから、暗闇に浮かんで・・うわー」


幸助「良かった、気に入りましたか?」


真也「はい!美しいですねー」


白井「あんたはさ、人を殺す時、何を考えてる?」


幸助「・・」


真也「な、なんすか急に?」


白井「答えてよー、お願い!」


真也「・・」


町明かりに背を向ける。


白井は興味津々にじっと見つめる。


真也「・・真面目に・・答えた方が?」


気さくな真也の顔は無かった。


白井「勿論!」


白井の目は笑っていない。


真也「・・ふう」


白井「それが本当の貴方?」


真也「・・さあ・・どうですかね・・」


白井「・・」


真也「・・答えは、何も」


白井「何も考えていない?」


真也「ええ、家族の仇を取ったあの夜から、何も、感じなくなりました」


白井「・・」


幸助「・・」


真也「生きてるのか、死んでるのか、自分でも曖昧です」


白井「そんな自分をどう思う?」


真也「・・」


白井「答えなさい」


幸助「・・」


真也「・・自分を有意義に使って、役に立って死にたいです」


白井「それが貴方の強みなのね、だから死を恐れてない」


真也「もう、死んでますから、俺は」


白井「そうね、貴方は既に死んでいて、ゾンビだからこそ、最後まで戦える強みがある、それが貴方、貴方という駒」


真也「・・」


幸助「・・」


白井「私は両親を戦争で亡くしたの、国境無き医師団のメンバーだった、人の為に働いていた彼らは、拉致され、拷問され、生きたままバラバラにノコギリで切断され、糞尿と同じ袋に入れられ、領事館に届けられた、母親の腹の中には、豚の・・く」


真也「・・」


幸助「・・」


白井「次の日に、紛争が終わっちゃった、アメリカのドローン爆撃でね」


真也「・・」


白井「スッキリしたって思うでしょ?、くくく、実際は逆、腸が煮えくり返った、最初っから紛争を長引かせないで、終わりにしとけよってね」


真也「・・」


白井「あの人達がやってた事は生け贄のお膳立てだった、きっと利用されてるのも解ってた」


真也「・・」


白井「駒よ、真也、貴方も、幸助も、メナルムアも、今まで殉職していった第4種の奴らも、そして私も、移民問題、DV問題の罰則強化だけじゃない、警察民事不介入の原則を破く為の生け贄だ」


真也「・・」


幸助「・・」


白井「日本は、私は好きだ、美味しいし、綺麗だし、表面は、女に優しい」


真也「・・」


白井は手すりに掴まり、顎を振るわせる。


白井「子供に兵士教育しない、そんな日本が好きだよ、・・日本を難民問題の・・戦場にしてたまるか!」


町明かりを睨む白井に、幸助が側に寄る。


幸助「やってやりましょう!へへ」


真也「お役に立てれば幸いです」


白井「あーあ!真也さんの過去を知ってたから、感動しちゃって!喋った、喋ったあ!あははははは!もう寝るわ!お休みー」


降りて行った。


幸助「・・良い人ですよ」


真也「ははは、そんな事、最初から解ってますよ」


幸助「・・え?」


真也「あの人、最初に会った時、私の隣に乗ったでしょう?普通は部下を隣に乗せますよ、まあ、計算だとしても、あれは嬉しかったですよ」


幸助「美人が隣に座ってくれて?」


真也「ありますねー」


幸助「はははははは!・・はあーあ・・真也さんは強いです、だから、自己中でも構いません、自己判断で動いてくださっても、私も、メナも、文句は言いません!これから、宜しくお願いします!」


握手を求める。


真也「はい、役に立ってみせます、こちらこそ、宜しくお願いします!」


固い握手を交わした。


ある日。


コンビニのトイレからソフトバンクスマホからDV相談が生活保護センターに連絡が入った。


会話はたった5秒間。


女の子の声で助けてという4文字だけを言って、切れたという。


3DVRにスマホ契約者の情報が映る。


名前、桂木美咲、12歳。


広島、青空立木小学6年生。


この家庭は誰が見ても普通以上の家庭であり、周囲の評判も良い。


弁護士の父親、達夫、看護婦の母親、美沙子、そして一人娘の美咲。


大きな一戸建て、3階建てであり、広いお洒落な庭ガーデンがある。


庭師を月一で入れているとの事。


幸助「悪戯では?」


メナ「もしそうでも一応調べるのが我々です」


幸助「でも、この間も調べたら悪戯だったじゃないですか」


メナ「仕事です」


幸助「はいはい」


白井「真さんはどう思う?」


皆真也を見る。


真也「声を聞きたいですね」


白井「取り寄せといたよん!」


再生する。


音声〈はい!こちら生活保護センター、どうしましたかー?・・・・・・・・・・・・・た、すけ、て〈ブッ〉」


幸助、メナ、真也の顔色が変わった。


白井「全員装備まとめろ、救うぞ!」


幸助、メナ、真也『はい!!』





次の日、青空立木小学校、授業中、校内放送。


校長室に呼ばれて、入る美咲。


メナルムア、真也、教頭、担任、校長が居る。


幸助は父親の調査、白井は母親の調査に行っている。


美咲「あ、あの・・何か用事ですか?」


校長「ああ、こちらに来たまえ、さあ」


ソファーに促され座る美咲。


メナ「こんにちは、桂木美咲さん、私は任意警備公務員です、ニュースで知ってるかな?事件未満の件に強制捜査出来る権限を持つ公的組織です、知ってる?」


美咲「聞いたことなら・・」


メナ「私達は刑事よりも強い権限を持ちます、刑事より凄い難しい試験に合格しないとなれないのよー?凄いんだから!」


美咲「へ、へー、凄いんですね、・・あのー・・」


メナ「そんな凄い私達を信頼して欲しいの、何で電話したの?」


美咲「え・・」


驚いている。


メナ「貴女の叫びに呼ばれたのよ、貴女の力に、武器になるわ、私達が」


真也「ええ、役に立ちますよ」


美咲は下を向き、震えている。


真也「・・?」


尋常ではない様子で怯えている美咲。


真也「・・」


メナ「どうしたの?ほら、話して」


美咲「・・」


真也「いんやー、近頃は暖かいですよねー?先生方あ?」


メナ「は?何よ急に?」


校長「?そうですかな?寒いと思いますが?」


教頭「え?ええ、何ですか急に?」


担任男「・・」


真也「・・」


真也「ああ、いやー、此処では話辛いと思うんで、無人の会議室か、理科室か、無いですか?」


メナ「ちょっと?先生方に聞いて貰った方が都合良いじゃない?どうしたの急に?」


担任「そうですよ!大切な生徒です!是非!」


真也「・・」


美咲「悪戯・・」


真也「・・」


メナ「ちょっ!?え!?悪戯?」


美咲「悪戯でした、ごめんなさい」


真也「・・」


メナ「えー?そんなー?悪戯?本当に?」


真也「そっか!」


メナ「えー?」


真也「怖かったね、よく話してくれた、正直は良いことだ、大丈夫、別に罪にはならないよ、ははははは!むしろ悪戯で良かった!良かった!ははははは」


担任「すいません、ご迷惑を」


校長「いやいや、厳しく言っておきますので」


美咲「・・」


下を向いて、泣いて、震え、拳を作っている。


真也「・・」


メナは膝を付き、美咲の頭を撫でる。


メナ「じゃあね」


軽く抱きしめる。


メナ「それじゃあ、私達はこれで、事件がなくて良かった」


真也「ええ、本当に」


校長「冷や汗もんですよー、はははは」


教頭「本当に」


担任「・・」


メナ「では、失礼します」


真也「・・」


担任「・・」


〈バタン〉








歩きながら。


メナ「収穫は?」


真也「ああ、ほぼ間違いないですね、 〈フ〉  校長です」


ハイエース車内で白井がパソコンを開く。


机に設置されたモニターらに分割して映る。


画面には蚊ドローン映像。


そして、美咲の後ろ襟首裏につけた録音機。


意見を出し合い、まとめる。


母親、父親、特に異常無し。


真也「あの校長は、私の突拍子の無い質問にスラスラ答えました、普通はあんな反応はしない、あの雰囲気の中、異常者は私でした、他はまともであろうとする反応を取るもの、しかしあの校長は間髪隙間なく私と会話した、これはサイコパスの特徴です」


メナ「被害者は美咲ちゃん以外にも多数居ると思われます」


白井「最初は勘で構わない、絞り込めれば、後は証拠だけで良いんだし!」




3時間後。


昼休み時間になった。


美咲が校長室に呼ばれる。


校長室に真也がしかけた蚊ドローンが天井に止まっている。


校長はゆっくり美咲に近づき、髪を撫でる。


美咲の襟の盗聴器に気づいて、取らずに、手を引いた。


校長「今日はもう良いよ、落ち着いたかい?ふふ、教室にお帰り?」


美咲「・・はい・・失礼しました」


校長「はい、気をつけてな」


校長「・・」


校長椅子の上に蚊ドローンが着陸、音はしない。


パソコンには数多くの卑猥な写真ばかり。


それをUSBに移すと、パソコン写真、動画データを消去し始めた。


一部始終をドローンで録画しているとも知らずに。


5時間目が始まると同時に、刑事らが、警官らを連れて校長室に踏み込んだ。


校長「な、何ですかあ~?」


刑事1「御手洗久人だな、幼女卑猥暴行事件の容疑で逮捕状だ、〈ブン〉ほら、な?大人しくしろ、靴を脱げ」


校長「はあ?」


刑事1「おい」


刑事2「は、おおら!脱げおら!」


校長「嫌だ!横暴だあ!権力の横暴だあ!訴えるからなあ!訴えてやるかりゃにゃあ~~?」


泣きべそ。


刑事2「ありました!」


USB。


刑事1「ほらほらあ!全部解ってんだよ糞野郎が!・・・・お前解ってんだろうなあ?出てきても民事裁判が待ってんだぜ?被害者の親達はてめえを地獄に落とすまで復讐は止めないだろうなあ?あああ!!?」


校長「う・・うぐふぅ・・ぅぅ」


膝が崩れ落ちた。


刑事1「豚箱ぶち込め!!」


刑事2、他警官ら『は!!、おおらあ!!さっさ歩かんかい!!ごらあ!!立てごらあ!!』


蹴られながら運ばれて行った。



美咲は警察署で、証言した後、迎えの両親に抱きしめられた。


美咲はそこで、初めて泣いた。


わんわん泣いた。






第4種警備公務員事務所内。


白井「お疲れ様ー!」


幸助「いやあ、今回も真也さんの嗅覚が冴えてましたねー!」


真也「いやいや、ありがとうございます」


メナ「本当に凄いわ、私は担任だと思ってたから」


真也「ああ、担任も犯人ですよ?」


皆『は?』


真也「担任の被害者は美咲ちゃんだけですが、恐らくね」


皆『ポカーン』


美咲ちゃんの証言により、担任にも逮捕状が明日出るでしょう。


メナ「どういう事?」


真也「担任はずっと美咲ちゃんを睨んでいました」


メナ「そうよ、だから私は・・」


真也「その時点で犯罪者としては減点です、素人です」


メナ「ま、まあ」


真也「そして、私が移動したいと言った時、ついて行きたいと言いました、そして、次の瞬間、美咲ちゃんは悪戯だったと証言」


メナ「うん、それが?」


真也「担任が信用出来るなら、美咲ちゃんは移動した筈です」


メナ「た、確かに!」


真也「まあ、担任は・・捕まらないかもしれませんが」


メナ「え!?何故?」


幸助「あー、真也さん、悪ー」


白井「悪だわー」


メナ「え?え?」


真也「校長金持ちでしたからね、結構良い腕時計してましたし、死ぬのは勿体ないですはははははは」


メナ「え・・〈ゾゾ〉」


真也「しかし、あの方・・担任は、お金には期待出来そうもなかった・・自殺して貰いましょう、ははははは」


壊れている。


やはり、 ま と も で は な い 。


メナルムアは呆然と真也を見ていた。











一方その頃、刑事らが、担任のアパートに踏み込んだ。


刑事2「っくそ!!逃げやがった!!くっそうがあ!!」


担任はドアノブで首を吊っていた。


刑事1「ち、くだらねー、けーるぞー」


刑事2「・・はい」






3日後。


美咲ちゃんと両親が事務所に挨拶に来た。


美咲ちゃんはメナに握手を求めた。


答えるメナルムア。


白井、幸助も美咲ちゃんと握手をした。


真也はぶっきらぼうな態度でコーヒーを作っている。


母親「では、私達はこれで、本当にありがとうございました」


父親「ありがとうございました」


美咲「・・」


両親が帰ろうとしても、美咲は名残惜しそうだ。


両親『ほら、美咲?行くよ?』


白井「?」


幸助「?」


メナ「?」


真也は玄関から遠く、コーヒーをわざと遅く作っている。


美咲はいきなり駆け出し、真也の後ろ腰に抱きついた。


真也「!?え!?あ、あの!?え!?」


美咲「刑事さんに聞いたの、担任、殺したの、おいちゃんだって・・おいちゃん、本当は解ってて、わざと遅く報告したって、刑事さんは最低だって言ってたけど・・・・」


真也「・・」


その通り、最低だと言おうとした。


美咲「ありがとう、殺してくれて」


真也は呆然としてしまった。


両親『美咲~!?何してんの!早く来なさい!』


美咲「はーい!じゃあね!ダンディーなお爺ちゃん!」


真也は動けなかった。


〈バタン〉




白井「・・どうかな?人殺しを手伝った感想は?」


幸助「白井さん!」


白井「このくらいで揺らぐんじゃ困るのよ!」


幸助「う・・」


白井「どう?気分は?」


真也「・・そうですね」


コーヒーを4人分運んで来た。


真也「未来の美咲ちゃんと、未来の被害者を、救えたと自負しております」


コーヒーを口に運ぶ真也。


白井「そうよ、その通り、誇りを持ちなさい」


幸助、メナルムアは見合せる。



〈ピロン〉


白井のスマホが鳴った。


白井の顔がにやつく。


真也「さあ、次の事件は?」


白井「男子中学生が、女子中学生に虐められてる事件っぽい」


幸助「逆性暴力ですか?」


メナルムア「そこまでは判明してない!勝手に想像しないで」


真也「では行きましょう、まずは周辺調査から」


白井「私らの面目躍如ね!さあ!行くよ!女子中学生の彼氏は暴走族、容赦するなー、まずは暴走族のルート調査!」


幸助、メナルムア、真也『は!!』



〈バタン〉


事務所看板塗り替えは済んでいる。


国が民事介入致します!気軽に相談を!勿論重い相談も待っています!メールアドレスはここ!電話番号はここ!直ぐに逆探知しますから悪戯は止めてね!


あなたの力に、武器になります!


民事介入警備公務員、強制捜査権限執行機関、第4種免許。


『民警』へ直ぐ電話!!




《END》



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