子猫の大冒険 20
7色に輝く、ドングリが、1粒だけ
少女の手の中に、握られていました。
7色に輝く、ドングリを持って、
再び、ミィの元へと、戻ってきた少女は、
手の中にあるドングリを、ミィに差し出しながら、
言いました。
「このドングリを病気の少女に
食べさせてください………。
女の子が、病気を治したいと、
心から、願っていたら、
きっと、病気は良くなります」
少女の話を聞いたミィは、
ドングリを受けとると、
直ぐに、お礼を言いました。
「ありがとうございます!!」
これで、やっと、
病気で苦しんでいる女の子を、
助けることが出来ると、考えたミィは、
直ぐに、女の子の元へ、向かおうとしました。
「すみません、猫さん………。
少しだけ、お時間を頂戴しても良いですか?」
ですが、そんなミィを、少女は呼び止めます。
「何でしょうか………?」
直ぐにでも、女の子の元へ、
向かいたいミィでしたが、
貴重なドングリを少女から貰った事もあり、
逸る気持ちを抑え込んで、
少女の話を聞く事にしました。
「もし………。
宜しければ、ひとつだけ、
私のお願い事を、
聞いて貰っても良いですか?」
女の子の病気が、無事に治ったら、
自分に出来る範囲での恩返しをしようと、
考えていた事もあり、
「もちろん、私で良ければ、ご協力しますよ」と、
ミィは、少女に言いました。
「ただ、出来れば、女の子に
ドングリを渡した後でも構いませんか?」と、
ミィは、先にドングリを女の子の元へ、
届けさせて欲しいと、少女にお願いしました。
「えぇ………。
勿論、それで、構いませんよ」と、
少女は、ミィのお願いを
快く受け入れてくれました。
それを聞いたミィは、
安堵の表情を浮かべると、
少女のお願いに付いて、
詳しい話を聞く事にしました。
「あなたの、お願い事とは、何ですか?」
どんなお願いをされるのか緊張で、
顔が強張るミィでしたが、
ミィの顔を見た少女は、
ミィの緊張を取る意味も込めて、
微笑みを浮かべると、
お願いの内容を、ミィへ伝えます。
「猫さんには、
ある人への、伝言をお願いします」
少女のお願い事が、
ただの『伝言』と聞いて、
ミィの緊張が、一気に解けて行きました。
「誰に、何を伝えたら良いんでしょうか?」
早速、ミィは、
誰にあてた伝言なのかを、
少女に確認します。
「伝言を伝える相手ですが、
猫さんを、この場所まで、案内した
リスさんですね………。
それで、もし、リスさんと、
会う事があれば、こう、伝えてください………。
『あなたと出会えて、私は幸せでした………。
なので、どうか、これ以上、
自分を責めないで下さい………』
と………」
少女の話を聞いたミィは、
リスさんと、少女の間に、
何か深い事情があると、
気が付きましたが、
少女の雰囲気から、
自分が、踏み込むべきではないと、
感じ取ったミィは、ただ………。
「分かりました………。
必ず、お伝えします………」と、
少女に伝えました。
ミィからの返答を聞いた少女は、
嬉しそうに微笑みました。
「長い時間、引き留めてごめんなさい。
お詫びと言っては何ですが、
猫さんをお家の近くに送りますね」
そう言いながら少女は、
2回、手を叩きました。
すると、ミィの周りに風が巻き起こりました。
ミィの周りを取り巻く風は、
次第に強くなっていくと、
目の前に居る少女の輪郭が、
おぼろげになっていきました。
「良ければ、また、満月の夜に、
遊びに来てくださいね………」
少女の姿が完全に見えなくなる間際、
少女がそう言ったような気がしましたが、
風の音が強いせいで、ミィは、
それが、少女からの約束事なのか、
確信を得る事が出来ませんでした。
ですが
「(はい!必ず、遊びに行きます!!)」と、
心の中でミィは、少女に再開の約束をしました。
そして………。
ミィの周りを取り巻いていた
風が止んだ頃………。
目の前には、見慣れた
一軒のお家がありました………。
この度は、
子猫の大冒険をご覧頂きまして、
誠にありがとうございますm( _ _ )m
物語も終盤に差し掛かって来た事で、
逸る気持ちもあるのですが、
大どんでん返しみたいな、
オチにならないように、
じっくりとやって行きたいと、
思いますので、読者の皆様には、
ご不便をおかけしますが、
宜しければ、最後まで、
お付き合いの程、
宜しくお願い致しますm( _ _ )m




