03
俺とドムは屋上に行く。俺は鉄扉を開けると、晴天だった。
「――好きってどういうこと?」
「えっ? そのままの意味だけど」
「そりゃ、そだね。この手紙を読めばいいの?」
「……うん」
【安室君、ずっと前から好きです。付き合って下さい。宜しくお願いします!】
「シンプルなラブレターだな」
「ごめんなさい。皆の前で」
「別にいいさ。でも何で俺なの? クラスで浮いてる奴だよ?」
「私の瞳を褒めてくれたから」
確かに綺麗な目をしてるとは思ったが、褒めてはないぞ……?
「俺がいつ褒めた?」
「私達が小学生の時に」
「悪いが覚えてない」
「そうだよね、でもいいの。私の心の支えだから。……付き合って下さい」
「1つ条件がある」
「何?」
「痩せてくれ。周囲の連中にモビルスーツなんて言われないように。俺のトロフィーガールになれ。吸い込んだ罰だ」
「吸い込んだ? 私に出来るかな……」
「俺は柔道、サッカー、水泳、卓球、バスケをやってた。自己流トレーニングを応用してダイエットメソッドを設計しよう」
「食欲に勝るものを私に与えてくれる?」
「ああ、勿論だ。俺がコーチとなり、夏までに痩せさせてやるよ。そしたら、ビーチに行くぞ」
「私、頑張る! 初志貫徹してみせる!」
それから、地獄のダイエット作戦が始まった。俺は密にドムとコンタクトを取り、ダイエットメソッドを植え付ける。
まずはドムを水泳教室に通わせる。筋肉を増やし、基礎代謝を上げつつ、オマケに食事制限をさせる。
ドムにとっては正に地獄、生き甲斐の食を封じられたも同然。
過度なダイエットはリスキーだ。肝臓にダメージを与える、下手をしたら脂肪肝になってしまう。だから、1日5回に分けての食事、1300キロカロリーの上限を科した。
基礎代謝が上がってきたところでフェイズ2だ。
俺はマリアの両親の了解を得て、マリアをサッカークラブへ連れていく。
「マリア、サッカーの経験は?」
「体育の授業でやったくらい。殆どキーパーだけど」
「十分だ」
サッカーは劇薬。ぬるい水泳と違い、ハードワークだ。しかし、今のところ、ドムは俺のダイエットメソッドに着いてきている。