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私は食べる事が生き甲斐で大好きな高校二年生。イギリス系アメリカ人が4分の1入ったクォーター。だから、アメリカに住む、お祖父さんとお祖母さんがアメリカンサイズの食べ物やジュースを私の家に贈ってくれる。そして、ブクブク太り、高校生二年生になると体重は100キログラム。スーパー三桁となった私はアナログな体重計は1個では足りない。2個並べ片足ずつ乗せて針のメモリを足す。
「51足す51…………あらやだ、体重102キロ」
白人はアジア人に比べると、膵臓が強い。つまり、インスリンの分泌が活性で生活習慣病リスクが低い。お祖父さんとお祖母さんがくれた最高のプレゼントはアメリカンサイズの食べ物でもジュースでもない。強い膵臓! 健康診断で引っ掛かったことがない。私の自慢。
女性はショートケーキ1個分の食欲を充たすのと、セックス1回分で得る快感がほぼ等しいらしい。私は子供がたくさん欲しい。安室君を落として、アメリカンママになってやる……これはただの強がりだけど。
明日はいよいよ“決行日”、といってもテロじゃない。安室君への告白。安室君には友達がいない。私は安室君を傍らで、ずっと見守っていた。
私が小学生低学年の頃、放課後の時間にグラウンドの芝生で絵を描いていた。安室君はサッカーをやってて、ボールが私の足元に転がってきた。その時、運命の一言を言われた。
「悪い悪い。画伯の邪魔になっちゃったかな? よく見るとマリアちゃんて目の色が綺麗だね」
「そっ……そう? 安室君の瞳もブラウンで綺麗だよ」
「似た者同士だね、じゃ」
安室君もクォーターなのかな? 初めて瞳の色を褒めてくれた、私のアイデンティティー。
今日はチョコレートケーキを食べよう、ホールで。
安室君に恋をして、それから、同じ中学校、高校と追いかけた。
そして、高校二年生の春、放課後に決行する。しかし、失敗してしまった。人気のないところでラブレターを渡す手筈がウッカリ教室で、安室君の目の前に落としてしまった。
私は慌てた。パニクって「ずっと前から好きです、安室君の事が」と言ってしまった。周りにはたくさんのクラスメートが居る。顔から火が出そうだ。
すると、安室君は私の手首を掴み教室から連れ出された。
「ねえ、どこに行くの?」
「屋上だ」
ドキドキがとまらない。手のひらから手汗が滝の様に滴り流れる。掴まれたのが手首でよかった。
汗はデブの天敵だ。夏は汗をかいてても不思議ではないけど、春などでも汗を流してると、とめたくなる。とまれ! とまれ! と強く念じるほど、緊張も相まって汗は滴る。
今だけは汗、とまって!