表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

01

許可を下さった坂井ひいろ様、ありがとうございます。


かなり悪戦苦闘しましたが、どうぞお楽しみ下さい。


 俺(安室)は高校二年生の始めにギガトン級のデブに告白された。その子のアダ名はモビルスーツ、俺は“ドム”と言っていた。




 俺は万能感の塊だ。普通じゃない。アダ名は“強化人間”、決してニュータイプではない。なぜなら、人間関係が上手くいかないからだ。


 両親は祖父の代から続く鉄工所を営み、俺に英才教育を科せた。柔道、水泳、サッカー、バスケ、卓球、学習塾。


 あらゆる事をスポンジの様に吸収する俺は、心の片隅に普通というものに憧れがあった。何でも出来て当然と自分で周りのハードルを上げ、風当たりも強い。友達と呼べる人もいなかった。


 長所と交われば悪友なし……確かにな。友達もいないけど。親が寄せ付けなかったのかと、疑うぐらいに。


 俺は万能感と伴に息苦しさを感じていた。


 園児、小学生、中学生時代に友人はいたが、自然と縁は切れていった。習い事、特にサッカークラブの人達は俺に良くしてくれた。しかし、淘汰してやった。いや、俺が淘汰されたのか。


 居場所がない……。頭のどこかで分かっていたが、自分で自分の居場所を潰してきた。不器用な自分に腹が立つ。しかし、どうやったらいいか解らない。“周りの連中は雑魚”と自分に言い聞かせ、なんとか精神を繋ぎ止めていた。家が居場所? 思春期にはアウェイだ。




 俺の隣の席はドムが座っている。授業中にシャーペンを握る白い手は正にクリームパン! ……飯テロだ。腹が減る。

 俺はジッとクリームパン(手)見ていたら、視線を感じだ。ドムがこっちに気付いたようだ。

 視線が合う。ドムの瞳は薄いグレーだ、初めて認識したからちょっと驚いた。カラコンの野暮ったい色じゃない、ナチュラルだ。

 ドムはニコニコしている。俺はハッと我に返り、目を反らす。吸い込まれるように見入ってしまった。相手はデブなのに、ってことは痩せれば可愛い?




 その日の授業が終わり、帰ろうとした時にドムが白い紙を落とした、ドムは慌ててそれを拾い、俺に渡してきた。

 おっと、可愛いイケイケ女子から伝え渡しのラブレターかな? 俺のスペックの高さに気付いてしまった。


「ずっと前から好きです、安室君の事が」

「はっ!?」


 まさかのドムから! まさかのドムから? まさかのドムから!? これはテロだ。


 俺はラブレターを受けとるか、躊躇った。相手はデブ。でもドムの勇気は買ってやろう。雑魚共の視線が痛いが、俺はドムのハムみたいな手首を引っ張りながら、教室から出ていく。いてもたってもいられなくなった。


「ねえ、どこに行くの?」

「屋上だ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ