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自重しない魔拳士さんは旅をする  作者: Liberty
第三章 国と勇者と魔王
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二十八話 決着ですよ?

 レイアとリィルがそんな話をしている間も、戦闘は苛烈になっていく。

 剣が振り下ろせば刀に受け流され、槍を突き出せば盾に弾かれ、背後からの不意打ちは紙一重で躱される。

 そんなギリギリの攻防を続けている内に、ハストの防御力は凄まじいことになっていた。

 しかしそれは同時に危ういことでもある。

 ハストも理解はしている。が、それで防げるかどうかは別だ。


 カナタが目の前から消え失せたのだ。

 それでも咄嗟に反応出来たのは反射か、あるいは勘か。

 今がチャンスと一瞬でギアを変え、今まで抑え気味にしていた足でハストの背後をとる。

 大盾や大剣では間に合わないと悟ったハストは、予備として腰に取り付けてあるナイフで迎撃する。

 相手は神器だ。当然ナイフは砕け散る。

 しかし一瞬の硬直があったことも確かだ。

 すぐに後ろへ跳ぶハストは既に盾を構えている。

 その1回限りの不意打ちを防いだハストは、一先ずと息を吐いて安堵する。

 否、安堵してしまった。


 直後背後から躱しようのない一撃が叩き込まれた。

 そう、カナタは陽動で、本命はユウナだったのだ。

 勿論2人は打ち合わせなどしていない。

 したのは一瞬のアイコンタクト。

 しかし天才とも言える2人にはそれで充分だった。

 カナタは読んでいた。自身の一撃が決まらなくとも、ユウナがカバーしてくれることを。

 ユウナは読んでいた。カナタが必ず隙を作ってくれることを。


 そしてその防御無視である一撃は、ハストの体力を4割程持っていき、ハストの防御力に神器のペナルティがかかる。

 こうなるともうハストは下がざるを得ない。

 すかさず追い討ちをかけようと、槍を肩の上で構えるカナタ。それを妨害しようと、物理職4人が攻撃を加えてくる。


───戦闘スキル『百花繚乱』


 それを本来有り得ない軌道で動いた刀が全てを捌く。

 決められた範囲内(ドーム)の中でなら、一定時間剣閃を自由に反映させる奥義だ。

 後衛職のメンバー達も急いでカナタのソレを防ごうとするが、限界まで引き絞られたその一撃は既に完成してしまっていた。


───必殺スキル『黒死の一撃(グングニル)


「⋯⋯貫け、霊槍グングニル」


 黒い雷を渦状に纏った長大な槍が放たれる。

 その一撃は空間をも貫いて、一直線にハストへ吸い込まれていく。

 当たれば、結界があるとはいえ、かなりの致命傷を負うことは間違いないだろう。


 投げてしまってからカナタは、不味いことをしたと気付いたのだが、今回に限ってはその心配はいらなかった。

 ハストに当たる瞬間、槍は動きを止め、パチパチと放電しながら煙をあげていた。

 そしてその柄を握るのは、先ほどまで端で見学していたレイアだった。


「おいおい、まさかこんなところでそんな大技を使うとは⋯⋯。まったく。

 私が間に合ったからいいものの⋯⋯」


 レイアが呆れたように視線を向ける先は当然カナタだ。


「⋯⋯ちょっと本気になって、つい」


 バツが悪そうに顔を伏せ、そう(のたま)うカナタに、レイアは苦笑しながら槍を返す。


「ふむ、試合はこのへんでいいだろう。

 ハストが崩れた時点で勝ち目はないしな」


 レイアの言葉通り、このギルドメンバー達は、なまじハストが優秀すぎるので、皆そこまで防御力に重きを置いていないのだ。

 広い場所で遠くに後衛職がいる場合はまだ可能性はあるが、ここは訓練場である。

 この程度の狭さでは数瞬で距離を詰められるだろう。


 そもカナタが変化する前に叩けなかった時点で勝ち目はほぼない。

 それほどまでに変化した職業というのはステータスに補正がかかるのだ。


「それじゃあ邸宅に戻ろうか。これからのことを話そう」

変化(モードチェンジ)Ⅰ型のステータス

=====================

Kanata(カナタ) Lv.291 槍戦姫(ブリュンヒルデ)

人間 女 16歳


MP  :2000/2000

攻撃力 :45000(10000)

防御力 :22000(5000)

魔攻力 :500

魔防力 :10000(2000)

素早さ :31000

体力  :4000

精神力 :30000


魔法  :『回復魔法 2/5』


技能(スキル)  :『槍術 12/12』

     『体術 7/7』

     『戦姫の舞』

     『夜叉』etc…


特異技能(ユニークスキル):『戦神輪舞(ヴァルキリー)

     『黒死の一撃(グングニル)

     『???』


称号  :『武に飽くなき者』

=====================

※防具:白銀の軽鎧一式 武器:霊槍グングニル

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