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自重しない魔拳士さんは旅をする  作者: Liberty
第三章 国と勇者と魔王
33/55

二十五話 やっと登場ですよ?

「おっと危ないじゃないか。⋯⋯久しぶりだな、ユウナ。カナタも久しぶり」


 レイアは呆れ顔で、抱き着いてきた黒髪の少女と、後から入ってきた無表情な少女に声をかける。


「⋯⋯急にいなくなった兄さんがいけない。暫くカップ麺生活だった」


 上目でレイアを見上げる少女──ユウナは自身の家事能力を棚に上げ、兄に文句を言う。

 レイアも本気で言っているわけではないと解っているので、必要以上に責めない。


「全く⋯⋯。そんなんじゃいつまで経っても自立出来ないぞ?」


「兄さんがいるからいい。

 それより兄さん、本当に女の子になってる」


 漸く離れたユウナが、改めてレイアの体を見やって呟く。

 レイアは苦笑しながら、これまでのことを大まかに語った。



◇◆◇



「ユウナです。兄さんがお世話になりました」


「⋯⋯カナタ。よろしく」


「り、リィルです! こちらこそよろしくお願いします!」


 あらかた語り終えた後、3人は自己紹介をしていた。


「それで⋯⋯、兄さんっていうのは⋯⋯? レイア様は女性ですよね?」


 自己紹介を終えた後、雑談をしているところに、リィルが疑問を投げかける。

 リィルの疑問も尤もで、異世界から来たことや、妹がいることは伝えられていたが、男だったということは言われていなかったのだ。


「様⋯⋯?

 ⋯⋯兄さんは兄さんです。元の世界では男性でしたから」


 えっ、と顔をレイアの方へ向けるリィル。

 レイアは頷いて肯定する。


「はぇ〜。だから全然女性っぽくなかったんですね」


 納得顔で何度も頷くリィルであった。


「別に秘密というわけでもなかったんだがな⋯⋯。言い出すタイミングがなかった」


 珍しく歯切れ悪く弁明するレイアに、リィルは気にしていないと首を振る。

 ちゃっかり、チャンスなどと思ってたりする。

 そうか、とホッとしたレイアは、前々から狙っていた本題へと入る。


「よし、それじゃあ模擬戦を始めようか!」


「げっ、忘れてなかったんスね⋯⋯」


「当たり前だろ。折角特訓したんだからな」


 リグルの苦虫を噛み潰したような顔に、笑いながらレイアは答える。

 レイアは居残り組を試合の準備へ向かわせると、帰ってきた2人に模擬戦について説明する。


「勝手に巻き込んですまんな」


「なんでも勝手に決めちゃうのは悪い癖。そろそろ治さないと」


「うぐっ、まあそうだな」


「⋯⋯私は構わない」


 カナタは特に異論もなく了承してくれた。

 それを聞いたユウナも、渋々ながら頷いてくれた。


「助かる。アイツらはこのままだとステータスを過信して突き進みそうだったからな。

 技術が追いついていないと、いつか足元を掬われるかもしれん」


「⋯⋯それはいいけど、私も武器を扱えるわけじゃない」


「大丈夫さ。カナタなら出来るって信じてるからな」


「⋯⋯」


 カナタなら出来ると1mmも疑っていないレイアを見て、カナタは黙ってツイっと顔を背ける。

 頬には少し赤みが差していた。


「性別が変わっても相変わらず兄さんは垂らしだね」


 半眼でレイアを睨むユウナに、レイアは頭にはてなを浮かべる。


「何を言っているんだ? それよりそろそろアイツらの準備が終わったようだな」


 言葉通り、ゾロゾロと装備を固めた居残り組が戻ってくる。


「よし、ユウナとカナタも武器を構えろ。

 リィルはこっちで観戦だ」


 こちらに駆け寄ってくるリィルを尻目に、レイアが合図をだす。


「双方準備はいいか?」


「ウチは問題ないっす!」


「⋯⋯大丈夫」


「うむ。

 試合は、どちらかが全員戦闘不能になるまで。

 気絶、もしくはギブアップで戦闘不能とさせてもらう。

 一応怪我を肩代わりしてくれる結界が貼ってあるが、念の為致命傷になる攻撃は禁止。仮に結界を破って致命傷足り得る攻撃になると判断したら、私が介入するからな。

 それじゃあ、開始しろ」

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