眠り姫
色白の肌に金色の長い髪が目立つ、細身の裸の女性が眠るように横たわっていた。
それを僕は気にもせずにーー
「ーーだから勝手に進めないでって言ってるだろ?! 誰だって気になるよこんなの!」
……どこが気になったの?
「へ?! うぅ、うるさいなあ……! 誰だか知らないけど、茶化さないでくれる?!」
知らない誰かに、僕はまた声を荒げた。
本当にお前は誰なんだ? という疑問はさっきから浮かんでいるけれど、それも忘れるぐらいに今の僕はテンパっている。
「えっちょっ、どうしたらいいんだこれ……。」
とりあえずベッドとかに寝かせてあげたら?
「どうやって? 相手裸なんだよ? 直視できないんだけど……!」
タオルケットでも掛けてから運んだらいかが?
「ああー……やってみるか。」
押入れから水色のタオルケットを取り出し、両端を掴んで空気を包むように広げ、女性を隠す形で上からタオルケットを掛ける。
なるべく見ないように手早く、且つ丁寧に。
その後、女性の首と膝の裏に手を通し、そのまま持ち上げて自分のベッドに移動させた。
何だか、すごい緊張から解放されたような気がして、安堵のまま大きな深呼吸をする。
そして、知らない誰かに質問をした。
「ねえ……見ちゃった時はどうすればいいの……。」
ああ、見てしまったんだね……。
「見えてしまいました……。」
……後で忘れなさい。
「えぇ……。」
あ、そうそう、彼女今日は起きないから。明日になると普通に目覚ますからね。
「え、なんで?」
それは……まだ、教えられないわ……。とにかく、寝てる時にイタズラしちゃだめだからね?
「するかッ!!!」
まとめ
主人公「見ちゃいけないものを見てしまいました」