メテオライト・インパクト
そんな奇跡の時間も、終了まで残り2分を切ってしまった。月を囲む光の輪が偏り始め、どこかもの悲しい気持ちになる。外に出ていた周辺住民の人たちも、ぞろぞろと各々の家に戻り始めていた。
「……しまうか。」
カメラを三脚から外して脚を折り畳み、とりあえず床に置いて、金環日食の終わりを見届ける。
輪がどんどん欠けていく。ああ、さらば最初で最後の金環日食よ。250年後も生まれ変わって、必ずこの目に焼き付けてーー
「ーーなんだあの点は……?」
僕は見つけた。少しづつ姿を現した太陽に、謎の黒い点が浮かび上がっているのを。それは決して黒点ではなくて、徐々に形を変えながら大きく成長していくのが分かる。
いや、成長というか……何か、近づいてきてるような……。
こんな感じのシーンは、いつかの映画で見たことがある。タイトルは確か、"僕の"……いや"君の……何とか"みたいな。 詳しくは忘れちゃったけど、このままではどこかに隕石らしき物が落ちる事になってしまう。
……っていうか、もう手が届きそうなところまで来てるんですけど?!
ああ、もうダメだ。僕の人生19年で終わりだなんて残念過ぎる。
いやでも、隕石の着弾地点が僕の家なら、それはそれで良い気がしてきた。宇宙の神秘を全身で感じられるなんて最高じゃないか!
ええい! もうどうにでもなれ!!!
半ばやけくそで僕は目をつぶった。そもそもあれが隕石なのかは分からなかったが、それなりの覚悟はしていた。
……んだけど、僕の身体はまだ残っている。普通だったらもう吹っ飛んでるはずなのに。
恐る恐る目を開けたものの、特に異変は無かった。他の人たちも慌ててると思ったらそんなことは無く、いつもの生活音が流れていた。
まとめ
主人公「隕石落ちてきたのに死んでない?! ってかご近所さんたちなんで気づいてないの?!」
続く!