"奇跡"って何でしょう?
今日は、約400年ぶりに、宮城県内で金環日食が観測できる日。前回は確か……2012年だったかな。今回を逃せば、次は2685年までお預けを喰らうことになる。
え? 別に宮城県じゃなくてもよくないかって?
まあ確かにそうなんだけど、2400年代の日本で観られる金環日食は今日一日だけなんだ。どうせなら地元で撮りたいし、そもそも県外国外に出られるほどの時間もお金も無い。
だから、僕の家で天体観測をする上で必要な物をたくさん揃えた。別に金環日食の為だけじゃなくて、普段から星を観察している、いわゆる「宇宙オタク」ってやつかな。
友達にはよく「ルックスは良いのに残念だなあ」と言われるけれど、正直そのルックスってやつを生かせるものも思いつかない。
それぐらい没頭している僕は、アルバイトで貯めたお金で、望遠鏡やらなんやらを買い漁った。天体観測は僕が小さい頃からの数少ない趣味でもあるから、今の僕はかなりの充実感に満ち溢れている。
僕が初めて買ったカメラを三脚にセットし、手元に日食グラスを用意する。
時刻は午前11時41分。太陽の一部が月に隠され、完全な輪ができる予定時刻に秒読みというところまで来つつある。
高鳴る気持ちを抑えて待つこと2分後、ついに月を囲む光の輪が出来上がった。二度と観ることのできない光景を、胸に刻み付けるように日食グラスを通して見つめながら、片手でカメラのシャッターを切り続けた。
まとめ
主人公「金環日食すげー……。」
続く!