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パラレルな現実と幻想  作者: ミツカン
日常変異の次元
3/3

4月 頼み事

道中、日頃の事やらクラスの事を色々と聞く哲先生。

矢朔は適当に相槌を打ち、歩みを進める。

そうしてるうちに2人は職員室前に辿り着き、そのまま中へと入る。


周りの先生達からの視線を浴びながら奥へと進む。

通り過ぎた後に内緒話をしてるような微かに声がする。

心底ウンザリとイライラを心に浮かばせていると、目の前の視界が急にデカい背中いっぱい広がる。


「ここが相談室だ」


通常の施錠とは別に金色の施錠もしてある金庫のような扉だった。

哲先生がガチャガチャと弄っている音が響く。


「相談室ってわりに随分厳重ですね」

「まあ…な…っと!」


ガチャ


固く閉ざされた扉の鍵が解かれる。



(っ!?なんだ……この部屋は)


部屋の真ん中に机が一つ、椅子が4つで他に物が何も無い。

真っ白の壁とカーペットが、どこか現実味からかけ離れた印象を受ける。

矢朔も例外では無く、初めて入るこの部屋に驚きを隠せなかった。


(こんな真っ白な部屋……映画か何かでしか見た事無いぞ)

「ここ初めて入るとビビるよな。とりあえず座ってくれ。」


哲先生は椅子を一つ引き、机を挟んで反対の椅子に座った。

ハッと我を取り戻した矢朔は、言われた通りに席につく。

対面した矢朔を見る哲先生は先程までの朗らかな笑みは無く、真剣な眼差しに変わっていた。


「さてっと。わざわざこの部屋を使う程では無いけど、あまり人に聞かれたくない内容なんだ」

「そんな重要な事を俺に?」


面倒事に巻き込まれそうな予感のした矢朔は、断れば良かったと数分前の自分に対して後悔した。


(……腹を括るしかないか)


半分諦めた矢朔に、哲先生は話を続けた。

その内容は、面倒事で片付けてた矢朔の考えに興味を示す事になった。


「2年になってもう気づいてると思うが、隣に一切出席しない奴が居るだろ?」

「はい。噂で居るってのは去年から知ってましたが……」

「でも疑問だろ?そんな奴が何故留年、退学しないか…が」





この噂に対しては幾つかの論争が上がっている。


《闇金入学者》説に《神隠し》説、さらに《政府関係者の子供》説と様々だ。

ちなみに矢朔は理由が前向きというだけで《学校の監視役》説を推していた。

そんな噂の真相を話すのかと思う矢朔は、哲先生の次の言葉を待った。


「その話は学校の話題の一つになってます。本当はどうか分かりませんが」

「そりゃあ職内でもトップシークレットだからな。例外を除いて……」

「それで、その頼み事は噂の真相に関わる事なんですか?」

「近い……かな。詳しくは終わってから__誰にも話さない条件で教えてあげるよ」


そう言って哲先生はニッの笑う。

が、直ぐに真剣は表情に戻った。


「それで頼み事なんだけど、その噂の人にある物を渡しに行ってほしいんだ」

「渡す?俺がですか?」

「本当は先生が動かなくちゃいけないんだけど……別件で動かなくてね、時折頼む事になるんだ」

「本人に?」

「直接会って、渡すんだよ」


かなり真相に近づく頼みだった。

この学校に来たら1度は語るであろう噂の真相を知れるチャンスでもある。

面倒臭そうだという気持ちは、矢朔の中で消え去った。

残ったのは好奇心。そして疑問。


「分かりました。でも何故俺が?」


選ばれた理由が分からなかった。

いや、ゲームや小説にあるような


《選ばれし者》


と思ってしまう矢朔。


(まさかこんなような展開になるとは)


しかしここは現実だった。その質問に対しての答えが


「うん?単純に居眠りの罰?」


ロマンも糞も無い答えに、矢朔は罰の悪そうな顔をした。

前話と比べて急展開過ぎる?

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