第1話・とある国の受難
なろうサイトにおいて、楽しそうな企画があったので、書いてみる事にしました。
構想3日で書いた作品なので、グダグダかもしれません。
また、童話とはすこしほど遠いかも・・・・
なるべく短くまとめられるよう、努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
ある国には、春・夏・秋・冬、それぞれの季節を司る女王様がおります。
女王様たちは決められた期間、交替で塔に住むことになっています。
そうすることで、その国にその女王様の季節が訪れるのです。
ところがある時、いつまで経っても冬が終わらなくなりました。
冬の女王様が塔に入ったままなのです。
辺り一面は雪に覆われ、このままではいずれ食べる物も尽きてしまいます。
困ったこの国の王様はお触れを出しました
『冬の女王を春の女王と交替させた者には好きな褒美を取らせよう。
ただし、冬の女王が次に廻って来られなくなる方法は認めない。
季節を廻らせることを妨げてはならない。』
そもそもなぜ、冬の女王様は塔から出てはくれないのか。
なぜ他の女王も、この異常な事態に姿を現さないのか。
それが分からない上では、このお触れを達成するのは、非常に困難なものでした。
もし季節の女王様の機嫌を損ねるような事をしてしまえば、季節は巡らなくなってしまいかねません。
そうなれば、これは一人の問題ではなくなってしまいます。
それを踏まえると、このお触れに『我こそは』と挙手する人間は、いませんでした。
そうこうしているうちに、瞬く間に一ヶ月という期間が過ぎてしまいました・・・・
◇◇◇
ビュウウウッと凍て付くように冷たい風が、雪に覆われた村を吹き抜ける。
その風により木々に積もった雪が舞い上がり、辺りは地吹雪のようになっている。
視界が真っ白とまでは言わないが、見通しはよくない。
ここは国の王都から少し外れたところにある、山奥の小さな村。
その凍て付いた村には、活気は全く無かった。
しかし今は、時期的には『春』のはずであった。
いつもならこの時期に吹くのは、植物に命を吹き込む、春の訪れを知らせる暖かな風。
冬には農地を休め、春が訪れると同時に、食物などの種をまくのだ。
その時期、村はその忙しさで一年で最も、活気があるはずである。
だがなぜか、いつまで経ってもこの『冬』は終わらなかった。
村の家々の屋根には、未だに多くの雪が降りつもったままの状態になっている。
そんな中、村から少し外れた場所にある一軒の小さなログハウスのような家の前には、防寒着を着込んだ一人の青年が、白い吐息は吐きながら、ブンッと、木刀を振っていた。
その太刀筋には、一分の狂いも無い。
それを気にした様子も無く、彼は再びブンッと、木刀を上から下へと振り下ろす。
三年前の流行病で親を亡くして以降、一人息子だった彼はこの家に一人で暮らしている。
親が残してくれたお金と土地のおかげで、食うに困るような事は幸い、無かった。
いつものこの時期なら、彼も他の村民同様、畑で種まきや、水やりに精をだしている。
だが冬の終わらない今、彼には日課の『木刀振り』以外、する事はなかった。
「ん?」
ふと視線を感じた彼は、木刀を振る手を一度止め、横へと視線を移す。
一人暮らしなので、滅多に横から視線を感じる事などない。
このあたりには、山賊やクマがたびたび出没する。
警戒をする彼。
しかしそこに居たのは、幼馴染のミカナだった。
「バルド、精が出るわね?」
「なんだ、お前か・・・。」
バルドと呼ばれた青年は、そこに居た少女の姿に安堵をする。
そしてすぐに、興味をなくしたかのように再び、木刀を振り始めた。
この彼の態度に、ムッとした表情を浮かべるミカナ。
「『なんだ。』とは何よ。 わざわざ会いに来た美少女を、無視する気!?」
「親父達に頼まれて来たんだろう、何の用だよ?」
木刀を振りながら、うるさそうに彼女に相対するバルド。
この手のやり取りは、お互いが物心つくころから続いているので、今更とるような反応など、存在しなかった。
何より面倒くさがりの彼女が、わざわざ寒い屋外へ出るなど、何か用事を言いつけられたときぐらいだ。
それを悟られたくないのか『用件』に関しては話さず、彼女は最初に俺についての話をしてくる。
「こんなに寒い中、木刀振り? いつもながらよく飽きないわね。」
「・・・そんなの、俺の勝手だろう? 一人でも立派に暮らしていけるように、こっちも必死なんだよ!」
悪態をつくバルド。
自然、振っていた木刀の風を切る音がブオンと、重くなる。
いつも会うたび彼女は、俺の日課の訓練を冷やかすのだ。
煩わしいったら、ありゃしない。
俺が毎日欠かさず、木刀を振り続ける理由。
それはただ、フツーに幸せに暮らすため。
この辺りには山賊だって出るし、クマだって出る。
そのとき護身術があれば、なんとでも対処が出来るのだ。
タマには、こちらから狩りにいく事もあるし。
これは、元冒険者だった両親が生きていた頃から、続けている事だ。
それを誰かに、とやかく言われる筋合いは無い。
「『用件』ってのはそれだけか? 用事が済んだならとっとと帰れ。」
「ごめんごめん、そう怒らないでよ? 村長たちが集まって、バルドを呼んでいるの。」
パンッと両手を顔の前で合わせ、謝ってくる。
そうならそうと、早く言って欲しい。
村長さん達が、待ちくたびれてしまっているではないか。
「村の大人達が集まっているのは集会所か? すぐ行くよ、一度着替えるから中に入って待っててくれ。」
「あいあいさー。」
ビシッと俺に向かい、敬礼をするミカナ。
なんだ、それは。
王都の騎士のマネ事のつもりか?
着膨れした防寒着のせいで、彼女のソレはヒドく不恰好なモノにしか見えない。
ここでスネられても困るので、言いはしないが。
二人の男女はそのまま、雪が降り積もったログハウスの中へと入って行った。
外を吹く風は、より一層、冷たいものへと変わる。
この村も、『終わらぬ冬』により忍び寄る影に、徐々に侵され始めていた・・・・
いかがだったでしょうか?
導入部分は、サイトの文字に少し、加筆しただけです。
よろしければ感想など、いただければ幸いです。
※別作品で同名の登場人物が出てきますが、特に関連性などはありません。




