951 シルルとエル
今回エル
「ユキナ様怒らせて、なんか押されたんですけど。押されただけで吐きそうになったんですよ!」
シエルが折角寝ようと思って整えた布団の上に座り込んできた。
「いらないことするからですよ。」
「いらない事ってなんですか!?」
「胸に手を当てて考えてください。それと邪魔です。」
「胸に……まぁ、エルよりはありますね。」
「ぶっ殺しますよ?」
シエルは自慢げに大きな胸を揺らしてアピールしてくる。胸大きく見せるためのブラ付けてるくせに。
「人はおっぱいで決まるわけじゃないんですよ、だから、エルもそんなに落ち込まなくていいんです!」
「殺しますよ?」
「おお、怖い怖い。」
シエルはオーバーリアクションで煽ってくる。本当に腹が立つ。
「そんなのだから、ユキナ様が怒ったんですよ。」
「え?」
「シエルがうっとしいって言ったんですよ。一回で理解してください。隣の部屋にシルルいますから、シルルとでも、遊んでてください。私は寝ます。」
「せっかくなのでガールズトークでも!」
「ガールズトーク? 私達同じ人で結婚してるのに何か話すことありますか? それこそ、シルルと話すべきですよ。」
「シカタナイデスネ、イキマスヨ、イキマスヨ。ビッチ妖精め!」
「お前、絶対明日殺す。」
「うわー殺すとか言ってますよ! この人!」
「うるさいから、速く出てってください。」
「わかりましたよーブー。」
シエルはブーブー言いながら私の寝室から出て行った。
5分としないうちに、また、部屋が騒がしくなった。
「エルぅ~! シエルが! シエルが夜這い仕掛けてきました!」
「してませんよ!」
「……」
折角寝ようとベッドにもぐりこんだ所なのに……
「うぅ……近づかないでください! エル! 助けてください!」
「私してませんってば!」
シルルはマジトーンで嫌がっている…
「ウッグ、私、怖いです……エルゥ…」
「はいはい、わかりましたから、泣かないでこっちに来てください。」
「はい……」
シルルがあまりにも嫌すぎて泣き始めた……仕方ないので、慰めることにしましたけど。手のかかる娘が1人増えた感じですね……
「私…なにもやってないです」
「常日頃の行動が悪いからそういう風に捉えられるんですよ。全く気を付けてください。」
「……」
シエルは私にくっ付いてるシルルを見て、その後は黙って帰っていった。
「シルルもシルルでそんなことで泣かないでください。」
「だって、怖かったです。」
そもそも、エッチすらしたことのないシルルが女同士でしか殆どしてないシエルが夜遅くに突然来たら勘違いしてしまうのは無理もないですけどね……
「もう落ち着きましたか?」
「全然……」
シルルの泣き顔はとても可愛らしい。同じ顔なのに自分の顔を見てるときは全く別の感情ですね。鏡に映った自分を見てもなとも思いませんけど、シルルやシエルを見てるととても可愛らしく見えますからね…
「じゃあ、もう少し一緒に居ますか?」
「そうします…」
そういいながら、私のベッドにもぐりこんでくるシルル……シルルの中では私は変態には含まれてないんですね。割とシエルとかマスターともしてると思うんですけどね。シエル程しょっちゅうじゃないので、あんまり思われていない感じですかね。
「シルルは、誰か好きな人とかいるんですか?」
「突然なんですか? 別に……好きな人なんていませんよ。」
シルルは、布団で顔を少し隠しながら、私に向かって言った。
「シルルはピュアですね。」
「処女ですし……エルは処女は嫌いですか?」
「別に処女だから悪いとか思いませんよ。人それぞれですからね……」
シルルもしかしなくても、私に興味あるんじゃないでしょうね……私、女もいけるだけであって、女がいいとかそういうわけじゃないですし、寧ろ、リョウ様とイチャつけるならイチャイチャしたいですし、シルルはなんかめんどくさそうですし。
「そ、そうですか……エル的には、シエルはいいんですよね? じゃあ、私は?」
「何がいいのかわかりませんけど、シエルもシルルも同じように扱いますよ。」
「そ、そうですよ……ね。」
シルルは露骨に悲しそうな顔をし始めた。わかり易い奴ですけど……男ずきとか自分で言っておいて女の方が好きって何なんですかね? あ、シエルと同じだからですかね? それでもシエルは、男もってか、リョウ様に結構積極的に行ってますけどね。全部無視されてますけど……
「どうかしたんですか? もしかして、私の事好きなんですか?」
「え!? いや……そういうわけじゃないんですけど、エルってちょっと男らしいなぁって。」
「男らしいんじゃなくて、シエルとあなたが、子供っぽいだけですよ。私は大人なだけ。わかります? まぁ、年齢的には私が一番上ですからね。」
「30台なのに?」
「それは、この世界と前の世界での合計ですよ。隙間の時間を含めたら物凄い時間を生きてますからね。」
「そ、そうなんですね……ちなみに私は5万才ですよ。」
「そうなんですね。戦闘型に産まれてもいないあなたが戦闘で生きていくのは相当厳しかったと思いますが、良く生きてこれましたね。」
「ちゃんと相手の強さは測れますから……」
それなのに、いつもベラドンナ様に無謀に突っ込んでいってるんですね……カンナちゃん相手に負けてるぐらいですし、カンナちゃんが強過ぎるんですかね? まぁ、頭の病気ですからね。異常なほどの記憶力とか頭の性能が異常なんですよねカンナちゃん。精神年齢もバカ高いですし、はぁ…シエルなんてつい最近になって、ミズキちゃんと一緒に寝なくなったって言うのに、カンナちゃんは4歳ぐらいの時から1人で寝れるとか言って寝始めましたからね。私寂しいですよ…
「……じゃあ、寝ましょうか。」
「一緒にですか?」
「あなたが出て行く気配ないですからね。仕方ないです。ホントはカンナちゃんと一緒に寝たいのに……まぁ、あなたも大きな子供みたいなもんですから、大して変わりませんけどね。」
「……」
「って、寝てるし……自由ですね。」
寝ているシルルの寝顔はとても、満足そうだった。




