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交通事故で死んで女神に異世界に送られた3人は  作者: あかあめんぼ
未来編
924/957

924 入部届

今回ミズキ

「~♪」


 鼻歌交じりにお姉ちゃんは体操服の入った袋を振り回しながら大股で歩く、ミズキが2歩から3歩歩いている間にまた一歩、もう一歩と進んでいくお姉ちゃんの足に追いつくのがやっと、お姉ちゃんは基本お姉ちゃんのペースで行動する…


「お姉ちゃん待って!」


「?」


「お姉ちゃん歩くの速すぎ!」


「ごめんごめん、まぁ気にすんな。」


「……」


 お姉ちゃんやセイラ、アヤメは頭が良くて運動も出来る。それに比べてミズキは勉強は1番を取ってても、運動はドベ……

 嫌でも、聞こえてくるクラスの声。アイツは勉強しかできない、大したことない、ヘッポコ、ポンコツ、その他もろもろ、私に何のうらみがあるのか知らないけどひどいよ……でも一番つらいのは、姉の方は文武両道なのになぁ…なんて言われるのが一番悔しい。


「なんかあったん? 嫌な事とかあったら何でも聞くで?」


 お姉ちゃんはニッコリと笑った顔に赤くなった太陽の光が差し込む…お姉ちゃんの金と黒の入り混じった髪は綺麗に輝く、お姉ちゃん自体がダイヤモンドのように綺麗で遠い存在……


「……いい。」


「ミズキ、最近なんなん? 態度悪いで?」


「え……」


「怒ってるんじゃないん?」


「怒ってない…」


 お姉ちゃんの口調はかなり強く、怖い。それと、力強い眼に見られたとっても怖い…


「でも、最近やたらと、うちに張り合ってるよな? 勉強かって、ミズキ、お前苦手な場所もうちに負けへんようにしとったもんな。」


「そ、それは……お姉ちゃんには関係ないもん。ミズキは賢くなるの!」


「賢くなるのはええけどさ、何したいん?」


「そんなの大きくなってからでいいの!」


「ふぅ~ん……」


「……」


 最近、お姉ちゃんとはあんまり仲良くない…アヤメたちはお姉ちゃんと一緒だし、ミズキは最近クラスでも若干ハブられている…男の子はきっと、ミズキの見た目がお母さんに似てて可愛らしいから優しくしてくれるのだろうけど、女の子はそれをよく思ってないみたい…お姉ちゃんがいないときっといじめられてた…今は友達が少ないだけで済んでるけど…


「…まぁええわ、どうでもいいしな、成績なんて。」


「…ん。」


「ミズキももっと動けたらなぁー、うちらと一緒に部活も出来るのに、勿体無いわ~」


「ごめんなさい…」


「怒ってるわけじゃないんねんで? まぁ、怒ってるように見えるかもしれんけど、怒ってないからな?」


「うん……」


 お姉ちゃんは私が何かとしても、優しくはしてくれる……お姉ちゃん自身が喧嘩も強いし、魔法強いから舐められることはないし、メンタルもミズキなんかと比べ物にならない程強固で、頑丈。ミズキはすぐに落ち込むし、へこむから、クラスの子から悪口言われただけでも凹む…


「……ミズキ、もっと明るく振る舞った方がええで? うちにおるときも、クラスにおるときも、難しそうな本を読んで、皆関わりづらいって感じてんねんで。」


「クラスの子が?」


「クラスの子がや、男子のアホ共はミズキ見て猿みたいに喜んでるからほっとけばええけどな? そういうのも全部、お前が変われば、クラスの連中も変わんねん。」


「ん……」


「人が変われば、周囲も変わる。周囲が変われば、世界も変わる。世界が変われば、人生明るなる。」


「うん……」


「ってことで、はい、入部届。シエルに見せて、ちゃんとサイン貰うねんで?」


「……どうしてミズキが? ミズキ運動できないよ? ドベだよ?」


「人が変わればや。いけるいける、やんで! それにな、うちらがやってる空中球技はブレインが必要やねん。詳しくは今度教えたるから、取りあえずよく考えといてな。」


「うん…」


 お姉ちゃんは館に着くとすぐに自分のお部屋の方に向かっていった…最近になって双子ちゃんが言葉を喋り始めたので誰が最初に名前を呼ぶかを競っているらしい。赤ちゃんも大変……


「……」


 ミズキは、お姉ちゃんに貰った紙をずっと見つめてるけど、やっぱりどうしたらいいのかな。


「……」


「ミズキちゃんどうしたんですか? 帰ってからず~っと黙ってますけど。」


 気が付くとお母さんがミズキの前に居た。


「わ!」


「…入部届?」


 ビックリして投げた紙をお母さんはキャッチして紙に目を通し始めた。


「……サクラお嬢様のですか? ミズキちゃんやりたいんですか?」


「お姉ちゃんが…」


「お姉ちゃんがじゃなくて、ミズキちゃんがやりたいかどうかを確認したんです。サクラ様の事なんてどうでもいいんです。」


「…ミズキもできるならやりたい! でも……」


「でもなんですか?」


 お母さんは今日は厳しい…いつもはミズキが言えなくても察してくれるのに。


「でも……ミズキ、運動出来ない。」


「その位自分で考えてください。で、やりたいんですか? やりたくないんですか?」


「や、やる!」


「わかりました、サインちゃんと書いておきますので、明日学校にちゃんと持ってってください。」


「うん。」


 お母さんはスラスラーと入部届を描いてくれた。




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