921 カンナお嬢様と
今回ホワイト
「大事な人形……」
「エル様が作ってくださッたのものがお嬢様にはとても大事なものなのですね。」
「うん…お母さんの私にくれた数少ないものだから……」
「大事に保管されてるのですね。」
「うん……私、お母さんに好かれるように頑張ってるから…」
好かれるように? お嬢様は変なことをおっしゃられる…
「お嬢様、エル様はお嬢様の事を愛されております。そのようなことを仰られるのは、間違いだと私は思います。」
「……ダメな事?」
カンナお嬢様は可愛らしく首をかしげられる。
「カンナお嬢様、エル様は本当にお嬢様の事を愛されております。」
「……ダメな事?」
いいか悪いかを知りたかったのですね…
「いけません。それは、エル様に対して失礼だと私は思います。」
「わかった。」
カンナお嬢様は何かをぼそっと一言だけ漏らして、ニコニコとされた。
「私、捨て子だってミズキ姉と喧嘩した時言われたから……」
「捨て子? ご冗談を、お嬢様は正真正銘ご主人様とエル様の間に産まれた子供にございます。家庭が家庭なだけに、姉妹喧嘩で口喧嘩になると、そういうことを言ってしまわれるのでしょう。」
「……うん。」
カンナお嬢様は意外と子供っぽい一面も持たれておられるのですね……嫌われたくないという感情はカンナお嬢様にとっては大きいのですね。
最も、私もひとのことは言えませんが…
「お母さんってすごい人?」
「はい、それはとても。エル様は私よりも優れたステータスをお持ちのようですが、使えないようですのでそこは何とも言えませんが、エル様はシエル様よりも賢いのは事実でございます。今度、奥様同士でどちらが賢いかでもめていらっしゃったら止めてあげてください。」
「どうして?」
「シエル様達では、エル様には勝てませんので。」
「達?」
「異世界から来られたシエル様にございます。」
「シルルってお母さん言ってた。シルの方がシエルの名前からエを抜き取っただけでいい感じだと思うのに…」
「どうなのでしょう……シル・シエル様か、シルル・シエル様になられるのでしょうか? シエル様達は呼び名を頭に持ってこられますからね…」
「シエル以外は違うの?」
「私の場合は、エーアイ・ホワイトと後ろについております。」
「他の人は?」
「大リリアナ様も何かしらの名前をお持ちのようですが、名乗られませんのでお気に召しておられないのでしょう。大リリアナ様には大リリアナ様とお呼びするべきでしょう。」
「ふぅ~ん…リリアナの所の双子ちゃん。」
「既に半年近くたたれておりますので、立って歩かれてるころではないでしょうか? ハーフエルフの成長速度は通常の人間の2倍から3倍程ありますからね。最も、体は18歳程度の最も優れた状態で成長は止まるようですが。」
「じゃあ、サクラ姉はもう終わり?」
「いえ、サクラお嬢様はまだ16,17才でしょう。もう少し幼い可能性もあります。」
「ふーん…じゃあ、ミズキ姉は? 小さいよ?」
「ミズキお嬢様は、大きくなられてももう少しが限度でしょう。あれ以上の成長は体質上少々厳しいかと。」
「私は?」
「カンナお嬢様は……これからに期待といったところでしょうか?」
シエル様とエル様は妖精で本来は出産の必要もなく子供を作られる。リリアナ様の作り上げた妖精樹より新しい妖精が花のつぼみの中から生まれてくると聞きますが、子供を作る場合には何らかの障害を持った子供が生まれるようですからね…ただ、障害と言っても病気ではなく、本当に何かの妨げになる障害ですが…ミズキお嬢様の場合は成長力の妨げ、成長障害とシエル様は判断されましたので、そういうことにしておきましょう。
「そっか……ミレイは?」
「それこそ、成長が楽しみにございます。」
「ラミアは?」
「……あまり言いたくはありませんが、母と瓜二つとなることは間違いありません。母親である、エーアイと全く同じ容姿になる確率は99.9%はあります」
「0.1%も違うんだ。」
「顔に治らない外傷を負いでもしない限りはあり得ません。最も、ご主人様がいる以上、それはあり得ないので実際は100%です。」
「……?」
「ラミアが拒む可能性もありますので、99.9%と言わせていただきました。」
「なるほど……」
カンナお嬢様は幼いながらも、難しいことを理解される。
「ねぇ、お父さんとお母さんが私と同じ年の時の写真とか映像ないの?」
「…興味がありますか?」
「うん。」
「……これを。」
私はそういって、懐から一枚の写真を取り出した。ご主人様が小学生ぐらいの時の写真をカンナお嬢様に見せた。
「……お父さん、ガキンチョ!」
「子供時代でございますからね……」
「どうして写真持ってるの?」
「ここ10年の間にご主人様がご主人様になられる前の時にご主人様の所に行き、ご主人様のご両親にご挨拶させていただいたことが2度だけありますので、その時にご主人様のお母様より頂きました。」
「…おばあちゃんから?」
「そうなりますね。」
「……私、おばあちゃん知らない。会いたい……」
会わせることも出来なくもないが、ご主人様の耳には入らないようにしなければならない。仮に、連れて行ってもカンナお嬢様が誰かに喋られ、それがご主人様の耳に入る事も考えれば……
「会わせることには不可能ではありませんが……私が話した時点でこうなることは目に見えてましたからね。少々お待ちください……どうぞ、こちらへ。」
カンナお嬢様の目の高さに現在のご主人様の居た家庭を覗かせた。ただ、その世界はご主人様の居た元の世界ではなく、私がご主人様の元に行き、本来事故で死なれるはずの事故を未然に防ぎ、ご主人様の死ぬこともなく、この世界には私もベラドンナも存在しない世界を、カンナお嬢様に見せたのですが……
「……このお父さんと同じ髪色の女の人は、お父さんのお姉ちゃん?」
「その方が、ご主人様のお母様にございます。」
「…お父さんのお母さんは別の種族の人?」
「いえ、人間でございます。」
「……でも、見た目。」
「50代にはとても見えないお美しい方でございます。」
「うん……」
カンナお嬢様は目をキラキラさせて、その世界を覗かれている。私からは、カンナお嬢様が視界を遮っていて見えはしませんが、料理をされているところでしょうか、わずかに見える映像では、キッチン連想させる物がチラホラと見える。
「お嬢様、これ以上は…」
「わかった・・・」
カンナお嬢様はその後、クルリと華麗に回られた後、じゃあね、私お母さんの傍に行くと言って小走りで走っていかれた。




