906 偵察
今回カンナ
ミズキ姉が授業から帰ってきた夕方、今日は朝からシエルの様子がおかしい…昨日の、偽シエルの一件のせいかな? それとも、今のシエルが偽シエルだからかな? 今日のシエルは、部屋を間違えたり、少し迷ったり、一目で怪しいと思うような行動をとったりもしたけど、いつも通りのシエルでもあった。ちょっとぼけーっと知ってたんですっていうから、何とも言えないし…
「お姉ちゃん、私と一緒にあそぼ?」
「え? うーん……いいよ?」
「ありがと、ミズキ姉はやっぱり優しいね。」
「カンナちゃん、いつからあんなに魔法使えるようになったの?」
…忘れてたけど、ミズキ姉って、ラミアに凄い嫉妬してるんだったっけ? 自分よりも優れているから…あ、昨日の私もそんな目で見られていたのかな? まぁ、顔色どころか顔すら見えてないんだけど。
「ちょっと前に大リリアナって人に教えてもらったのが最初、その後は私が自分で本を読んで覚えた。私、頭の病気か知らないけど、常人の数十倍から数千倍位の範囲で凄い頭何だって。」
「誤差範囲広いね…」
「まぁ……うん。」
本当はどのくらいなのか知らないけどね。エーアイのお姉さんが言ってたから多分ホント。最近は私を見る目も温かくなった気がする。コチョウ姉が絡んでるからな? お姉さんもコチョウ姉に癒されたんだねきっと。
「別に、カンナちゃんを疑ってるわけじゃないんだけど……本当にカンナちゃんだよね?」
「どうして?」
「だって、子供じゃ出来ないようなこと平然とやってたじゃん! 私怖くて、お姉ちゃんにくっ付いて震えてただけだったのに!」
「見た目がシエルだったから?」
「違うよ! そうじゃない! 魔法とか、いっぱいそういうのが怖かったって言ってるの!」
「私は怖くなかったよ? エーアイの方が怖かったから?」
「もう、カンナちゃんなんて知らない! 私、勉強する!」
ミズキ姉は逆ギレして部屋に帰ってった…子供なんだから。
「お姉ちゃん、私が悪かったよ。ごめんねー、お姉ちゃん、ごめんねー。」
お姉ちゃんとシエルの部屋の前でドアを叩きながらお姉ちゃんが出てくるまで、取りあえず謝り続けた。まぁ、意味はないだろうけど…
「どうかしたんですか?」
シエルだ…
「お姉ちゃんと喧嘩しちゃった…シエル、開けて。」
「わ、わかりましたよ。」
シエルはそういってドアを開けてくれた。部屋に入るのには、手をかざしてロックを解除しないといけない。空き部屋やメイド、執事、その他使用人の部屋には何の問題もなくロックを解除できるのだけど、他の家族の部屋のロックは解除できないようになっている…そういうところを見るとこれはシエル?
「シエル?」
「なんですか?」
「私の名前分かる?」
「カンナちゃん…ですよね? 間違ってましたか?」
「合ってる……」
「良かったです…何か変な風に思われてるんじゃないかと思いましたよ。取りあえず、中にどうぞ。」
シエルはそういって、私を部屋の中に入れた。
「あ、お姉ちゃんいた。」
ソファに三角座りになって、テレビを見てる…
「カンナちゃん? お母さん、どうして入れたの?」
「え? だって……喧嘩してるのは良くないと思ったので……お節介でしたか?」
「別にいい…」
シエルにしては少し弱気な発言…
「お姉ちゃん…」
「なに…」
「ここに居てもいい?」
「勝手にしたらいいじゃん…カンナちゃん賢いんだから。」
「……うん。」
ミズキ姉はどうやら、私に何か劣ってると思ってるみたい…確かに、私の頭は良くも悪くもおかしいからそれでミズキ姉に迷惑かけたなら悪いことをしたと思う…
「……お姉ちゃん?」
「カンナちゃん、なに?」
ミズキ姉はさっきから私じゃなくて、シエルを見てる。テーブルでゆっくりとお茶を飲んで…こっちが見てるのに気が付いたら手を振ってくる。いつもよりもお淑やかな感じのシエル…
「……い。」
「ミズキ姉?」
「お母さんがお母さんっぽくない…」
「……」
「ちょっと、お部屋から勉強道具取ってくるね。」
そういって、ミズキ姉は部屋の模様替えとかで部屋移動とかさせていなかったら、シエルの寝室に入っていった。ミズキ姉は部屋に入ったまま、しばらく…15分ほど出てこなかった。その間、私はテレビを見ていた。
ミズキ姉には悪いが、人形に偵察をさせた。ミズキ姉の部屋は綺麗に片付けられている。ミズキ姉らしい可愛らしいものや、自分で書いたと思われる絵、自分で作ったと思われる紙で作られた家? 色々と私の事をライバル視されてたのかな…全部私の部屋にあるものは大体置いてあった。全部自分で作ったわけじゃないんだけどね…
ミズキ姉の部屋を調べていると、ミレイが置いていったと思われるものや、いろんなものも飾ってあった。
「カンナちゃん、ただいま。」
「お帰り。」
「何してるの?」
「テレビ見てる。」
「ふーん…」
「勉強道具は?」
「あ! 持ってくるのわすすれてた! まぁ、良いや……」
私が謝ろうと思ってここに来たのに、ミズキ姉の方から今度はくっ付いて来た。
「…お姉ちゃん、どうかしたの?」
「別に……」
ミズキ姉はチラッと、シエルの方を見たが、シエルは雑誌を読みながらお茶を飲んでる…優雅に。今度はシエルの部屋に偵察させるか…
「お姉ちゃん、さっきはごめんね。」
「え? いいんだよ。私も、悪いことしちゃったから…お互いさまだよ。」
「お姉ちゃん、大人!」
「フフン、そんなことないよ!」
ミズキ姉はコチョウ姉の子供でもないのに仕草とか細かい所が似てるところが多い…そんなことよりも、シエルの部屋に偵察人形送ったら、シエルが普通にケラケラ笑いながらテレビを見てる。私が、昨日のシエルの目的とか情報とか抜けるだけ抜いた…というよりは、奪ったから奪われたシエルは何のために来たかわからないままシエルに出会って、シエルと入れ違いになった…わかり易いぐらい、ミズキ姉が態度を変えたのは、シエルの部屋に入って、何かを言われたかを言われたから…でも信用できないから私にくっ付いて来てる。ここまではわかるとしても…ミレイを蹴り飛ばしたシエルがタダで済むとは思えないけど。コチョウ姉の耳に入ったら…多分、今もカンカンになって探し回ってるに違いない。
シエルが自分の部屋にこもってるのは、コチョウ姉に絡まれたくないからか…
「……拍子抜け。折角、私…魔法もいっぱい覚えたのに、情報抜き取ったのが裏面にでた。もう少し頭をませていれば…でも、あの時は、情報が欲しかったから…」
「カンナちゃん、ブツブツいってるよ? どうしたの?」
「なんでもないよ。」
「うん……」
シエル部屋偵察機は、普通にシエルには気づかれてると思うんだけど…どうして何も言わないんだろう。ちょっとシエルをからかってやろ…
ベッドで横になって、テレビを見てるシエルの目の前にいきなりステルスを解いて出してやろ…シエルビックリするかな?
シエルは、目の前に現れた人形を見てビックリはしたもののその後ずっと見つめて、ニコニコした。何かを伝えたそうに、パクパク口を動かしてるけど…大好き? 何言ってんだ…読唇術なんてまだ知らないし、シエルのいうことだし、ほっとこ。




