897 読書の時間
今回エル
今はマスターとシエルが喧嘩して、珍しくマスターが泣いてシエルから逃げるように去っていった。シエルは謝らないの一点張り…マスターはシエルに家族なんて思ってないって言われて泣いて逃げていきましたからね…マスターはみたいな可愛い人を泣かせるなんてシエルは悪人ですよ…
「なんですか? まだ、言うんですか? 行きませんよ私。」
「別に行かなくてもいいですけど……」
さっと、ニュースページをシエルに見せた。マスターが仕事を辞めたと書いてある。
「え? だから何ですか?」
「シエルと喧嘩したからやめたんじゃないですか? 人間不信にでもなったんじゃないですかね?」
「……まさかそんなわけないじゃないですか、バカなんですか?」
「バカはシエルだけですよ。」
シエルはプイっとシカトして自分の部屋に戻っていった。
「なんなんですかね…」
私は取りあえず自分の部屋に戻って、カンナちゃんたちの様子を見ている…どうやらエーアイ様が転移か何かしたのだろう既に王都のお屋敷の大広間が図書館と化している…あの二人は大人しく本を読んでますね。エーアイ様は……この部屋にはいらっしゃいませんね。あ、いた…食堂でリンお嬢様におっぱいを上げている。エーアイ様にじっとこっちを見られてる…どうしてでしょうか? 何か口パクで言ってますね…気づいてるんですね。えっと…恥ずかしいです? あー…そういうことでしたか、ごめんなさい。仕方ないから本読んでるだけの二人でも見ときますかね…
本当に本を読んでるだけの二人……ミレイちゃん、カンナちゃん。どうせなら盗聴もしてやりますかね。
「……お姉ちゃん、ミレイ飽きたヨ! あそぼ!」
「…私がこれ全部読んだらね。」
「ソンナニいっぱい! 終わらないヨ!」
「終わるヨ!」
「真似しちゃダメだヨ!」
「してない。」
「したヨ!」
「ミレイ泣いちゃうヨ! エンエン!」
「変な鳴き声…」
「まだ、泣いてないヨ!」
「知ってる。」
「早く本読んでヨ! ミレイ、退屈だヨ!」
「お前は読まないの? 別にいいけど。」
「読むヨ! 後で!」
「ふーん…じゃあ今から半分くらい読むからちょっと待ってね。」
「いいヨ!」
相変わらず、仲良くバカやってるかと思っていると、カンナちゃんは本の半分位を宙に浮かせて、自分の方に向けて本を開き、ペラペラと凄い速さでめくっていく。あれで本当に読めているのかはわかりませんが……
「全部覚えた。」
「お姉ちゃん、嘘はよくないヨ!」
「嘘ついてない。」
そういうと、ミレイちゃんは今、どさっと適当にばらまかれた本を一冊取り、カンナちゃんに向かって言う。
「この本の一番強い魔法使って!」
「何の本?」
「重力操作魔法って書いてるヨ!」
「ふぅ~ん……サイズと威力無茶苦茶弱くするからね。」
そういって、カンナちゃんは手のひらの上に小さな黒い球体を作り上げた。
「ブラックホール……これに、少し改良を加えたら…こうなる。」
そういうと、カンナちゃんの手の上にあった黒い球が透明になった。
「眼には見えないけど、そこにはある。本当に相手を倒すなら見映え重視の光の球とかじゃなくて透明のこういうった攻撃の方が有効。」
「目に見えないから? 凄いヨ!」
ミレイちゃんはそういって、カンナちゃんの手のひらにめがけて食べかけのパンを胸の大きなポケットから取り出して投げつけた。投げつけられたパンはカンナちゃんの手のひらの近くで砕けながら消滅した。
「ただのブラックホールじゃない。崩壊する力も上げてる。その本は本当に当たり。ミレイも後で読んでおいた方がいい。」
「わかったヨ!」
本当に化け物としか言いようがない天才ですね…能ある鷹は爪を隠すって言いますけど、どうしてこんなにも突然爪を見せだしたんでしょうか…隠しきれなくなった? だから行動も大胆なものに? でも、カンナちゃんが強くなっても意味なんてありませんよね……負けたのがそんなに悔しかったんですかね。




