890 お姉ちゃんと一緒
今回ミレイ
「おねーちゃん、何してるの? ミレイ、たいくちゅダヨ…」
「さっきも私言ったよね? 調べもの。」
「なに調べてるの?」
「お前の頭じゃわからないでしょうよ。」
「ムゥ……プンプン! ミレイ、怒ってるヨ! ミレイ、とっても賢いのに! プンプン」
「あっそ。」
お姉ちゃんはそういって、また本を読み漁っていく。お父さんの部屋にある本を全部ひっくり返したかのように読みつくしていく…お姉ちゃんの本を読む速度はとてつもなく早い。1秒と掛からないうちに300ページほどもある分厚い本を読み終える。ミレイよりも天才…本物の天才。
「……お前、精神年齢あげないの? お前の頭の中と外で繋がってないから頭の悪い子みたいに見えてるよ。」
「ミレイ、賢いヨ?」
「頭悪そうに見えるって言ったの、バカなの?」
「わかったヨ! ミレイ、賢くなるヨ!」
お姉ちゃんに言われた通り、精神年齢に触れ、ミレイの歳を取る速度をどんどん上げて、途中であげるのをやめた。
「どう? お姉ちゃん?」
「見た目じゃわかるわけないでしょ…でも、少しは頭良く見えるよ。たまに見えてたミレイが出てきた感じ…お前、頭良くなったんだよね、じゃあお姉ちゃんのお手伝いしてくれる?」
「大好きなお姉ちゃんのお願いなら、ミレイ何でも聞くヨ!」
「喋り方は元々なんだな…」
「何が?」
「いいよ、じゃあ私の読んだ本全部読んで覚えておいて。」
「え……」
ミレイに何百冊という本を読めとお姉ちゃんは言う。ミレイはお姉ちゃん程早く本を読むことは出来ないのに…ヒドイヨ。
「ウ、ウ、ウウゥ・・・終わらないヨォ……」
「お前、読むの結構早いから大丈夫。私はちゃんと進めてるから安心してていいよ。」
お姉ちゃんはいきなり、憑りつかれたかのようにずっと、勉強してる…本ばっかり読んで、ラミアお姉ちゃんみたい…でも、カンナお姉ちゃんはいつもミレイの遊び相手してくれる。優しいお姉ちゃん…ミレイの一番大好きなお姉ちゃん。
「ん? なに? ジロジロ私を見ても、何もあげないよ?」
「お姉ちゃん、結婚してあげるヨ!」
「……お前、バカのままか。」
「ひどいヨ! ミレイ、真面目だヨ!」
「余計に……コチョウ姉に頭を見てもらった方がいいレベル。」
「お母さんいつもミレイの頭見てるヨ? 綺麗な髪だねって頭洗うのお母さん、とっても好きだから!」
「はいはい。」
……大きな画用紙の様な紙にお姉ちゃんはさっきまで書いていたけど、今は本のように分厚いノートに何かを書いていってる、物凄い速度で……お姉ちゃんは、魔法を調べてるみたいだけど。どんな魔法を調べたいのかな? ミレイに、魔法をさっきくれたけど、あれも魔法なのかな……
「お姉ちゃん、休まないとダメだヨ! ミレイ、これお姉ちゃんに上げる。さっきのお返しだヨ!」
ミレイは、お姉ちゃんにお母さんが毎日ミレイにくれる堅いお肉を渡した。お姉ちゃんは本当は甘いもの方がいいんだけどねって言いながらミレイの渡したお肉を食べてくれた。
「キュッキュー! お姉ちゃんお姉ちゃん! ミレイ、お姉ちゃんのやること何でもお手伝いするヨ!」
「別に止めはしないけど、ラミアとか、ラミアのお母さんとかが襲ってくるかもよ。」
「ホント? ミレイ、ラミアお姉ちゃん大好きだヨ!」
「冗談。もしかしたら、ホントかもしれないけどね。」
お姉ちゃんはケラケラとかわいく笑いながらも、その手は止まってない。次々と空白のノートがお姉ちゃんの手で文字、図、色々なものがまとまっていく。お姉ちゃんの頭の中の構想が出てきてるみたいに…画用紙の方はお姉ちゃんの頭の中が描かれているように作られている。魔法の成り立ちの逆行。なんでもできる万能な魔力の成り立ち……お姉ちゃんは最初の魔法と最初の魔力を探しているらしい。
「……お姉ちゃん、ミレイ1よりも0を探したほうが難しいからやりがいあると思うヨ!」
「0? 私はその先を求めてるの。それに、0の魔法も1の魔法ももうすでに導き出したし、理論上私はそれらの魔法を全て使える。」
「お姉ちゃん、すごい! 魔法全部使えるの?」
「使えるんじゃない? 理論上は、私はミレイのその魔法も使えるし、お母さんの魔法も見たら何でも使える。お父さんの部屋にある魔法はすべて覚えた。摩擦をなくす魔法や、何でも治す魔法とかね。今は、お父さんの超再生を盗んでるの。魔力とはべつの、物質で欠陥を治す…魔法じゃない別の技術。私の求めているものに少し近い。」
お姉ちゃんの求めているものは何か知らないけど、ミレイはお姉ちゃんと一緒に遊ぶだけ。例え、お姉ちゃんが神様になりたいとか思っててもミレイは一緒に遊ぶだけ。ミレイは、子供だから……大人になるときは、ミレイが決めるの。
「…害となりえる存在は全て排除か。早くしないとね……ミレイ、私に魔法使って、学力とか頭の回転の速さを上げて。」
「……わかったヨ! でも、お姉ちゃん元々賢いからそれすると、頭焼けちゃうヨ?」
「頭が焼ける? 許容限界超えるってことか……鏡持ってきて、そしたら治る。」
「わかったヨ!」
言われた通り、ミズキお姉ちゃんの手鏡が近くにあったからお姉ちゃんに渡し、言われた通り10倍頭の出来を上げた。その際お姉ちゃんの頭、脳は一度ショートしたはずなのに直ぐになんともなかったかのように動き始めた。脳に異常も見られない。治したんだ! お姉ちゃんやっぱり凄い!
「お姉ちゃん、凄いヨ!」
「……ミレイ、ごめん。変な事させて。」
「ミレイ、お姉ちゃんの役にたてた?」
「たってるよ……嫌ならしなくてもいいからね?」
「ミレイ、お姉ちゃんの事大好きだから大丈夫ダヨ!」
お姉ちゃんは何に心配してるのか知らないけど、ミレイは大丈夫。お姉ちゃんが傍に居るから……




