882 カラン姉戦1
今回サクラ
姉は静かにこちらを見つめている。物静かに、コチョウ姉とは違い、儚げで、落ち着いた表情をしている。周囲の歓声や、応援の声さえ聞こえていないような落ち着いた雰囲気で…
ウチはカラン姉とは全く喋らないから詳しくはわからない。いつも、部屋にこもって小説を書いているとだけ聞いている。とても売れているらしい…
「…サクラ、あなたとは喋ったことはあんまりないけど……嫌いじゃない?」
「…うちの勘違いか。」
コチョウ姉と同じように、今にも泣きそうな目で心配そうな目で…コチョウ姉と同じ臆病な性格をしているだけ…
「どういうこと?」
「そういうこと。ぼちぼち、始めたほうがいいんちゃうかな?」
「そうかも…」
カラン姉は明らかにコチョウ姉んときと比べて、出力が低い。そのうえ、あの炎は使ってこない…
「いいよ? 私に遠慮しなくても・・・」
「遠慮? してんの、カラン姉の方やろ?」
カラン姉はうちに嫌われるのが嫌と思ってんのかな?
「そ、そうじゃないけど……出来るんでしょ? ララと同じ女王化出来るんでしょ? というか、して? じゃないと、私、リリアナに怒られる。ララママにも、怒られる。」
「……わかった。」
言われた通り、変身をした。
姉は、ジロジロとうちを見つめ、様子を…何かを探るように見ている。どういうことなのかは、わからんが、見てる…見られてる。
「ララや、リリアナとは違う羽。虹色のように、様々な色。ううん、虹色に輝くその羽は、リリアナやララにも負けない。とてっも綺麗な羽。」
「……ありがと。」
「うん…じゃあ本腰を入れるね? 勿論、お姉ちゃんと戦った時よりも激しくしろという脅しを受けてるから、思ってるよりも痛くなるかもしれないよ?」
言ってることが理解できないけど…思ってる傍からこれや。カラン姉は姿を変え始めた…いや、鎧を着た。
「私ね、誰にも言ってないけど…魔法よりもこっちの方が得意。≪晴天の鎧≫…明るい、青空の様な雲一つない澄んだ空。この、青くも白く輝くこの鎧…それとこの≪晴天の双剣≫で、雲すらをも斬り裂く。これが、私の武器であり、最も強いとまでは行かなくてもかなりの強さを持ってるはず。」
自慢をしたかったのか、途中で自身が無くなったのか…でも、父さんをマネしたかったんかな? にしても、あの鎧エロこっちょええわぁ~カラン姉のお腹てか、へそエロいわぁ…
「ッ!?」
「ん? 気が付いたん? 自慢の装備みたいやけど…ムッチャ喜んで? あの辺の男性客とか、おっさんとか、コチョウ姉とかシエルとか。あとは…マイクで熱演してるエルとかな。」
「ウゥ…」
ムッチャ怒りだした…
「ああ、あぶなっ!? てか、武器の使用禁止ちゃうん!?」
「自分の魔力で作ったものならば問題ないのよ!」
物凄い速度の剣撃。
「連撃の嵐…凄いな、カラン姉。」
「そう? あ! ちょっと!」
空に逃げるとカラン姉は怒りだした。飛べる筈なのに飛べない? そんなわけない・・・ならなんで?
「…ふーんそういうことね。カラン姉、それ諸刃の剣やな。それ、魔力ガバガバ消えてってんで~」
「っ!?」
「それが、うちにはふさわしい。若しくは…その位がちょうどええってことなん?」
「そう…」
「そう…」
何なん…? 真似して…カラン姉はどうしたいんかな?




