878 決着
今回リリアナ
「……そういえば聞いておらんかったな、お前は何を望むのじゃ?」
「ご主人様の望むことを私は望みます。」
「…つれないやつじゃ。」
ホワイトは、特に手を休めることもなく淡々と作業をこなすようにリリアナに猛攻を仕掛けてくる。
「ムゥ…お前はやっぱり気に喰わん。」
「?」
「リリアナの事を単なる障害、自身の道に蔓延るただのその他大勢と同じと思っておるじゃろ?」
「決してそのようなことは思っておりません。ご主人様の妻である、リリアナ様のことを敬わないわけがありません。」
「それはリリアナが、リョウの嫁じゃからということか? そうか…」
「はい…?」
「何でもない。お前にはがっかりしたとか、そういうことではないから安心していいのじゃ。」
「かしこまりました。」
さっきから結構本気で蹴飛ばしたり、叩きつけたりしているにもかかわらず、涼しそうな顔をしておるホワイト…それにまだまだ、本気でもないと言った感じじゃな。速度が徐々にリリアナを超えつつもある。何かをしたんじゃろうな…
「そういえば、何故おまえはリョウに仕えてるみたいな口ぶりでずっと話しておるんじゃ? リョウはお前は雇った記憶はないとこの前話した時言っておったが…」
「ご主人様に記憶がないだけで私はしっかりと、御雇していただきました。現に、私はメイドとしての立場もそこそこあります。それと、契約書を私は捨てずに持っておりますので、ご主人様の記憶違いでしょう。」
「そうか……」
少し煽ってやろうと思ったのに残念じゃな。
「……」
「このままじゃと時間の無駄じゃ、魔力を使ってもよいぞ?」
「かしこまりました、では使わさせていただきます。」
エーアイはそういって、光でできた…剣? ああ、刀というやつじゃな。
「リリアナ様は剣術も嗜まれるのですね。」
「当然じゃ、リリアナは何でもできるんじゃからな。」
「それよりもリリアナ様がここまでの強靭な肉体をもつことに驚きです。本来のエルフは、近接戦は出来ない程に軟弱な体だとお聞きしていたのですが…」
「リリアナはエルフじゃ。じゃが、純血じゃないのじゃ……と言っても、過去に別の種族の血が混ざってるぐらいじゃな。お爺様がそうじゃと聞いておるのじゃ。鬼族とのハーフじゃったとな。」
「なるほど…」
「と言っても、他のエルフよりも少し頑丈といった位じゃったがな。」
そんなこと気にして、ホワイトはどういうつもりなんじゃろうな。
「いらぬことをお伺いしました。では、再開します。」
そういうと、エーアイはぶんぶんと刀を振り回す。突き、斬り裂き、かなり危険な武器じゃな…斬り裂きといえば、ついさっきも服を着られたところじゃったな。
「……リリアナ様、逃げてばかりでは、決着が付きませんよ?」
「お前はエーアイと違って良くしゃべるのじゃな。」
「エーアイよりも、経験も感情も豊富でございますので。」
「ほぅ。お前たちはなら別人か?」
「いいえ、同一の存在であり、それが古いか新しいかの差でございます。」
「ならばエルとシエルはどうなんじゃ?」
「あのお二方は、別の存在です。正しくは元は同一の存在というべきでしょうか? エル様とシエル様では色々と性質が違いますので。」
「性格…ではなくか?」
「はい。」
ホワイトは、何を考えておるか全くわから無いのじゃが…危険な考えは持っていないことぐらいしかわからないのじゃ…
「リリアナ様、面白くありませんが…勝たせていただきます。」
「ム?」
エルにやった技なら、リリアナには効かないのじゃ…あれは、アイツの耐性がないだけじゃったからな。
「では、参ります。」
ホワイトは、リリアナの眼にもとらえきれないほどの速度で、リリアナの背後に現れ首を物凄い力で殴打した。
「……」
気が付けば、ホワイトの勝ちのエルの実況が聞こえた。意識を削り取られたのか…ドスッとダメージと一緒に意識まで持っていかれるとは…
「リリアナ様も残念でしたね。」
「そうじゃな…」
「リリアナ様はなに叶えるつもりだったんですか?」
「新しい服をベラドンナにでも、作ってもらおうかと思っていたのじゃ。」
「その位の事でしたら、いくらでも、御作りいたしますよ?」
「そうじゃな。」
「ベラドンナ様、わかってませんね。リリアナ様は暇つぶしがしたかっただけですよ。」
バカ真面目なベラドンナにエルはニカニカと何かを語っておるが…マイクのスイッチが入ったままじゃぞ。




