858 久しぶりの帰宅
今回ラミア
「え?」
「ですから、お母様がご出産されたそうですよ。」
ラーシャは栗色の茶色い髪をポニーテールにして、いる。メイドだったときは、メイド帽に髪を入れていたので、どの位長いのかわからなかったけど、今はポニーテールにしていて、どの位長いかがわかる。大体、肩のあたりまでで終わる位のミディアムポニーテールって髪形なのかな?
「お母さんが?」
「はい、お嬢様はこれからは、お姉さまになられるのですね。妹様に誇れるような、立派なお姉様になることは間違いなしでございますね。」
「そっか…」
ラーシャは私の専属メイドだったが、私がこういう仕事をしたいって言ったら、ラーシャはマネージャーをしてくれるっていってくれて、今はマネージャー兼専属メイドをしてくれている。
「帰ったほうがいいのかな…」
「その方が、お母様もお喜びになられますよ。」
「お母さんが? じゃあ、今から帰ったほうが?」
「そうでございますね…この後のお仕事はありませんし、一度戻られてはどうでしょうか?」
「うん。」
何日かぶりにおうちに帰る…最近はラーシャが用意してくれる、ホテルでいつも暮らしてたから…お母さんの暖かいご飯も、お母さんの笑顔もこっちに来ると見れない。
「では…転移魔法の類で帰ることも可能ですが、どうなさいますか?」
「そっちで…」
「かしこまりました。」
ラーシャは、目の前に半透明なガラスの様なものを作ったかと思ったら、その鏡の中に別の景色が見える。
「どうやら、私は許可されていたみたいですね。それではお嬢様、一緒に一度戻りましょう。」
「わかった。」
ラーシャの手を握って、私は、鏡の様なものの中に入っていった。鏡の様なものはラーシャの様な、それなりに大きな人でも普通に通れるくらいの高さがあって、私は何も気にすることなく入ることができた。入った先では、お母さんが、1人で何かの様子を見ていた。
「お母さん! ただいま!」
「……見ない間に随分と明るくなられましたね。」
「あれ…お姉さんの方だった?」
「はい。エーアイは今は、お父様のお部屋で過ごされているかと…呼んできましょうか?」
「ううん、いい。赤ちゃん! 赤ちゃん産まれたんだよね? ラーシャから聞いたから帰ってきた。」
「そうですか。ラミアちゃんの妹のリンちゃんです。可愛い妹ですよ。」
お姉さんは、何故か、とても嬉しそうに私を見て、リンちゃんを見せてくれた。とっても小さい…赤ちゃん用の寝床の様なものの上で転がっているが、私には小さすぎるサイズだけど、リンちゃんには大きすぎるサイズ…いつかこの子も私ぐらいの大きくなるのかな。
「ラーシャは、リーシャの所に行って来たら? 私、お姉さんとお話しするからいいよ。」
「ありがとうございます。では、失礼します。」
ラーシャは、メイドさんたち専用部屋に入っていった。
「ラミアちゃんはお仕事順調みたいで何よりです。」
「うん! お姉さんは?」
「私ですか? そうですね…まずまずといった具合でしょうかね。少しトラブルも起こしたりもしましたが、今では特に何の問題もありません。」
お姉さんは、お母さんの昔の…ちょっと前のお母さんの表情ににた表情をしている…でも、少し違う。懐かしんでるのか、とっても暖かい笑顔だけど、どこか、遠くの物を見ているような、私じゃない私を見ているような…でも、お姉さんはお母さんと同じ人物らしいから、私のことをきっと自分の子供の用に思ってるに違いない。
「お母さん、少し甘えてもいい?」
「? 私は、ラミアちゃんの母親ではありませんが…」
「いいの。たまには、お姉さん…お母さんに甘えたい時もあるの。」
「わかりました。私も、甘えてもらいたいです。」
お姉さんは、両手を伸ばして私を迎えてくれた。お母さんと同じであったかくて柔らかいフニプニの手で、私の頬をお母さんと同じように優しく撫でてくれる。
「あなたは、きっと、私達に似て、頑張り過ぎで困ったことも誰にも言えない子になるのではないかと、昔エーアイに相談されたことがあるのですよ。」
「私、そんなことないよ?」
「そうですね。あなたは、とっても立派に育ったということでしょう。まだ幼いにもかかわらず、仕事をして、その仕事の合間にしっかりと、今まで通りの勉強を続けているのですからね。とても、偉いと私は思います。」
お姉さんは今度は私を座らせて、髪の毛を梳き始めた。お姉さんに梳いて貰っても、お母さんにしてもらっても、とっても気持ちいい。気持ちいいというよりは、心地いいと言った方が正しい感覚…
「そういえば、あなたの名前があのリストには乗ってましたね…」
「何のリスト?」
「リリアナ様、エル様共同主催のちょっとしたイベントですよ。」
「私の名前つかわれるのはちょっとしたイベントで済まない…」
「お仕事の関係もありますからね…ですが、その日と次の日は何も入っていませんね…入っていた、予定をずらされたと言ったところでしょうか?」
お姉さんは、いつの間にくすめたのか、ラーシャの私のお仕事に関して書かれている手帳を見ていた。
「エル様はやはり、行動力が素晴らしいですね…決断力と、その後のことまで考えてらっしゃるのでしょうが、ラミアちゃんがまるで2回戦で負けることを知ってるかのような行動ですね…」
「?」
「ご主人様が相手…確かに、ラミアちゃんでは少々厳しいかもしれませんが、ご主人様の性格上、辞退される可能性が高いですね。なぜ、このような日程を…」
お姉さんは、ボソッと独り言を呟いたが、目の前にいる私には聞こえた。
「エル様はよくわからないことをされる…これは、メイドの中ではとても有名な話で、エル様の行動を観察していたメイドが、気づかれて、私の事を見たって面白くありませんよと軽く諭されたで有名ですからね…」
よくわからないけど、関わるとヤバいってことかな? エルがヤバい奴なんて思わないけど…どうなんだろう…




