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交通事故で死んで女神に異世界に送られた3人は  作者: あかあめんぼ
未来編
857/957

857 手料理

今回エーアイ

「ご主人様、どちらになさいますか? 私か、エーアイか…」


 ベラドンナはぐいぐいとご主人様に近づいていく。私のご主人様なのにどうして、ベラドンナがそんなことをするのか理解できなかったが、ご主人様とお揃いの指輪をしているあたりでなんとなく気づいた。指輪はお互いに宝石が付いていたりせず、指輪そのものがかなり上質な金属でできている。恐らくは、普段は手袋をしているベラドンナのためのデザインなのだろうが…


「どっちって?」


「私はご主人様に手料理を振る舞いたいです。エーアイも恐らくはそのつもりでしょう…穏便に解決するには、ご主人様がどちらか片方を選ぶというのが最も私達は納得できます。」


「2人に作ってもらった方が絶対穏便だよね? 昔作ってたじゃん…ね?」


「ご主人様、あれは、夕食や、朝食といった、タダの料理にすぎません。手料理とは、異性に振る舞う自己アピールのための物でもあるのです。ただ、私や、エーアイが作ったというだけはありません。そこには、ご主人様に対する想いというのもまた、詰まっているのでございます。2人で作ってしまうとそれは私たちの望む手料理とはまた、違った料理になります。」


「う、うん…」


 私はただ、ホワイトが赤ちゃんは私が面倒見ておきますので、あなたはご主人様の部屋に行きなさいとしつこいので、ただ来ただけにすぎませんが、ベラドンナが先に部屋に来ていて、ベラドンナは勘違いしているだけなのでしょうが…あなたの勘違いですよとは言いづらいですし、夕食がまだなのでしたら、出来れば召し上がっていただきたいというのは事実ですし…


「ご主人様、私はこの後の夜のご主人様の相手もしても構わない、いえ、出来れば、していただきたく思っておりますが…エーアイはどうなのでしょうか?」


「私は…特に考えておりませんでした。申し訳ございません。」


「謝ることじゃないよ…」


「エーアイは、出産したばかりなのでそういうつもりじゃないのは問題ではありませんが…ご主人様はいかがでしょうか?」


「え?」


 ご主人様はまさか、ご自分に振られるとは思ってもみなかったのか、心底驚いた表情をお見せになられた。


「別に……」


「もしくは、私達2人の相手をしてくださるのであれば、私は、2人で料理をしても構いませんが…」


 ベラドンナはご主人様の様子を伺っていて、それ以上は何も言わなかった。同じような、メイド服を着てご主人様の部屋の中で私とベラドンナはご主人様を見つめている。


「えっと…」


「私や、エーアイに判断を委ねるというのは、今回ばかりは認めません。」


「じゃあ、それでいいよ。」


「おや、それでよろしいのですね。では、エーアイ、食事の準備を始めましょうか。」


「…わかりました。」


 私はベラドンナの後について、ご主人様の部屋のキッチンの方に向かっていった。ご主人様の部屋のキッチンは殆ど、ご主人様の専属メイドしか使っていない。綺麗に片付けられていて、食材も多く残っている。専属メイドは自分の食事を含め、ご主人様の食事もここで用意しているのだろう。


「ご主人様に料理を振る舞うというのは随分と久しぶりですね。」


「そうですね、あなたは何故先程はあれほど必死…必至という程ではありませんでしたね、なぜですか? ご主人様に料理を振る舞ったり、夜の相手をしたりなど、あなたならいくらでもできるのでは?」


「…一言でいえば、恋敵ライバルとしてあなたのことを見たりしていると思っていればわかることですよ。」


「どういうことなのでしょうか…」


「……ご主人様が私かあなた、どちらの方が好みなのか知りたかったとでも思っておいてください。」


「……。」


「それよりも、あなたは手を動かしなさい。私が1人で準備しているみたいなもんじゃない。ニッコリしちゃって、どうしかした?」


「いえ、突然あなたが、素に戻ったので…」


「エーアイが、私が普通に話しかけないと反応しないからよ。バカね…でも、エーアイと私じゃご主人様の中では、優劣は存在しないみたいね。少しホッとしたわ……何せ、あなたはちょっと前に産んできたところですもの。私の方が、ただ、夜の相手をした回数が多いだけに過ぎないから、あなたに勝ってる要素の方が少なかったのに……良かったってだけ。」


「嬉しそうですね。」


「あなたほどじゃないわ…生まれた子供に名前は決めてたの?」


「はい、リンに決まりました。」


「いい名前ね…」


 ベラドンナは会話をしながらでも、作業は完璧にこなしていく…料理の盛り付けも、見栄えよく、美しく作っていく、コック長や、他のシェフたちと大差はない、それ以上かも知れない程に完璧な料理を彼女は作り上げていく。芸術作品といった方が正しいのかもしれない…


「ありがとうございます。あなたは…子育ては考えていますか?」


「ママ友になってほしいのかしら? でも、子供は今年中にはなんて考えてないわ…」


「そうですか…」


「話は変わりますが、聞いてますか? 明後日の話を。」


「明後日? なにか、ありましたか?」


「いえ、カンナお嬢様の誕生日なのと同時に、エル様が催し物を用意されてまして、私を含めて、ララ様を除くすべてのご主人様の家族を出場させるという、ちょっとした催し物ですよ…」


「……勿論強制参加でしょうか?」


「飛行船を広告に使わせてください! と頭を下げられましたので、その時はエル様とシエル様の会社の商品の広告かと思っておりましたが…まさか、こんなことをとは思いもしませんでしたよ。」


 さすがのベラドンナでもエル様の行動を先読みするのは難しい…エル様はシエル様や私と完全に違った考え方と言いましょうか、計算方法の違いでしょうか? エル様の考えていることは全くと言っていいほどに、読めません…


「さて、今晩はご主人様を寝かせませんからね、あなたもしっかりと…まぁ、私の真似でもしてれば、大丈夫でしょう。」


「? 何の話ですか?」


「今晩のご主人様の夜の相手を二人でするという話ですが?」


「……あの、私もですか?」


「あら、エーアイちゃんには恥ずかしかったのかしら?」


「そ、そんなことありません!」


「なら、決定ね。じゃあ、さっさと出来上がった料理をご主人様の所に運んでいきますよ。」


 ベラドンナの考えていることも全く理解できないです…私のことも、お子様扱いしてきますし…





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