855 ミレイとお土産
今回はサクラ
「ほら、可愛いやろ。」
「うん! でも、どうしてリリアナめんどうみてないの? ミレイ、おかあさんめんどうみないことわるいことだってあやまってくれたヨ!」
「一応見てんで? 今は寝てるからな。変に触って、起こさないようにしてるだけや。ご飯もお風呂も全部母さんがやってんで。おむつ変えもな。」
「うーん…リリアナ、いいこ!」
ミレイはホンマに大丈夫なんか…色々と不安なんやけど。
「ミレイ、たいくちゅ! あしょんで!」
「まぁ、ええよ。うちの部屋で遊んであげるわ。」
「あい!」
ミレイは、ピョンピョン跳ねながらうちの後についてくる。何とも可愛らしいが、今にもこけそうで見てるこっちも結構ひやひやする。
「何する? ゲーム? トランプ? お人形遊び? おままごと? なんでもええで。」
「ミレイ、これ! これしゅき!」
「好きね…ゲームすんの? 格闘ゲームやで?」
「しってるヨ! ミレイ、でてるヨ!」
「出てる? あーー、エルが作ったゲームやもんな。あいつ、自分の娘じゃなくて、人んとこの娘を勝手に出したりするからな…いくら自分が絵を上手く描けるからってなぁ…」
ミレイは、うちの話はあんまり聞いていないのか、鼻歌を歌っている。
「ミレイ!」
「ん? これがミレイ? ふぅ~ん…」
ホンマにイメージされたキャラなんやな…エルは無駄にいろんなことをやっとるな…
「ミレイ、かわいいヨ!」
「そーやな、かわいい、かわいい。」
抱き着いてみたら、意外と怒り始めた。
「メッ! ミレイ、しんけんなんだヨ!」
「あー、ごめん、ごめん。」
のわりに、コンピュータ相手にボコボコにされてるけどな。
「ブー…プンプン! ミレイ、これきらいだヨ!」
「ボコボコにされてるもんな…」
「ブブブー、プンプンちがうヨ!」
「ん?」
「ミレイ、おこさまだからできないだけだヨ!」
「そっか…」
ミレイは拗ねてる割りに、結構楽しそうにやってるけどな…頑張ってるのは確かやけど…
「む? なんじゃ、お前たち実は仲良く遊ぶ仲じゃったんじゃな。意外でリリアナは少しびっくりしてるのじゃ。」
「そんなこと言っちゃ、ダメじゃないですか。」
エルと母さんが勝手に人の部屋に入ってきた…
「あ、これ、うちの会社のやつじゃないですか。」
「ム? お前会社なんて持ってたのか? それも意外じゃな。」
「勿論持ってますよ。シエルの会社と合併して大きな会社になったんですよ。色々とやってますよ。都市開発から、ゲーム開発まで幅広く。超大企業ですよ、今じゃ。」
「そうか、そうか。ム? 働いていないのはリリアナだけということか?」
「リョウ様も何もしてませんよ。」
「そうか…働かないのは悪いことじゃな。」
「それ、リリアナ様が言います?」
「リリアナはちょいちょい働いてるのじゃ。」
「何してるんです?」
エルは手を腰に当て、やれやれといった表情で話を続けている、母さんの方はミレイのゲーム画面の方を見ながら、適当に会話している。ミレイは、いまも頑張っている。えいえい、とかいってる辺りがなんとも可愛らしい。
「ム? 母親してるのじゃ。そういえば、サクラ、帰ってきたのなら、お土産の一つぐらい欲しいのじゃ。」
「娘になにねだってるんですか…子供じゃあるまいし。」
「リリアナは、肉体精神共に見た目通りの年齢じゃぞ。」
「此間は、大人じゃぞ! とかいってたじゃないですか。」
「あれは、嘘じゃ。」
「うそついていいんですかねぇ~」
「いいのじゃ。」
母さんとエルは、なんか結構仲いい…しょっちゅうつるんでいるのを見かける。
「あーそういえば、母さんには渡してなかったな。」
「そうじゃぞ、ミズキはちゃんと持ってきてくれたのじゃ。」
「まぁ、私は、御二人からしっかりと貰ってますけどね。」
「なんじゃと…サクラ、ヒドイのじゃ! こいつに渡して、どうしてリリアナにはくれないのじゃ!」
「いや、同じ部屋に住んでるから、後ででいいかなって。」
「ダメじゃ、ダメじゃ! リリアナはお子様なんじゃからな、そういうのは一番に欲しいのじゃ!」
「う、うん…」
お子様な、母親ってどうなんかね…うちの方が案外、精神年齢高いんちゃうかな?
「まぁええわ、はいこれ。」
「これは何じゃ?」
「あっちの食べ物。」
「ム、ムゥ…」
「あれ、気に入らんかった?」
「違いますよ、きっと、これだけじゃ足りないってことなんですよ。」
「ち、違うのじゃ! ちょっと多いなと思っただけじゃ。」
「え? 普通のサイズって聞いてたけど…」
「ムゥ…リリアナは、小食なんじゃよ…」
「そういえば、そうやったな。ごめんな、母さん。」
母さんは、まぁ二回に分ければいいだけの話じゃなとか言って、機嫌良さそうに自分の部屋にもっていった。お菓子だけど、母さんは割と気に入ってくれたのか…
「リリアナ様は相変わらず、素直じゃないですね。」
「そうやな…」
帰ってきた母さんは、機嫌良さそうに、ほれ、さっさと、準備誌に行くのじゃ! とか言って、エルを連れ出していった。




