847 ミレイの秘密
今回カンナ
リリアナが敵の親玉の所に行くと言って昨日出て行った。昨日、リリアナは敵を全て捕縛し庭に光の檻を作ってそこに閉じ込めた。敵の中には私やミレイ位の幼い子もちらほと混ざっていた。お母さんは牢の中に入って、1人ずつ料理や飲み物を配っている。
「おねーちゃん! ミレイおなかすいたヨ!」
「お前は、お菓子の食べ過ぎ、だからお腹デカくなる。」
「ちがうヨ! ミレイわるくないヨ! おかしもわるくないヨ! おなか大きくないヨ!」
「大きいヨ! ミレイのお腹ポンポコしてるヨ!」
「してないヨ! おねーちゃんもポコポコちてるヨ!」
「私のお腹は見てのとおり、スマートだよ。ミレイみたいに幼児体系で済まされないようなお腹じゃないヨ。」
「ウぅ! プンプン!! ミレイおこってるヨ! おなかすいた! おなかおおきくない! おねえちゃんばか!」
「はいはい。」
ミレイはムスッとしてそっぽを向いた。
「……ミレイ昨日の事覚えてる? 襲われたの。」
「ミレイがやっちゅけたヨ!」
「ブッ飛ばされてたくせによくそんなこと言えるな…」
「ミレイがかったんだヨ! あいうちじゃないヨ!」
「……」
前にお母さんに何かされてからずっと私がしたことを誰も気付かないし、思い出せない。私としては好都合だが、何度も何度もひとに忘れられるとは思えない…いつかは誰かにばれてしまいそうだ。
「おねーちゃん! おねーちゃん!」
「ん?」
「はんのーなかったヨ! おねーちゃん!」
「ごめん、ごめん」
「ミレイおこったヨ! むししたから!」
「はいはい、ごめんね、ごめんね。」
「おねーちゃん、何か嘘ついてる。」
唐突にこいつは何を言い出すのか…突然悟りでも開いたのか頭がいいように思えるような喋り方や仕草をとるし…中身が別人? どうなんだ?
「何も嘘なんてついてないけど?」
「おねえちゃん、嘘は良くないヨ。ミレイ知ってる。おねーちゃん、嘘つくと目が泳ぐ。」
「……」
パシッと叩いてみたが、何するの! といつも通りの反応だが、少し違う気がする。何かが違う…
「ミレイ、お姉ちゃんは嘘ついてないよ。」
「嘘ついてるヨ! ミレイわかるもん!」
「わかってないヨ!」
「わかってるヨ! お姉ちゃん、さっきから落ち着きがない! そわそわしてるヨ! 目も泳いでるよ!」
「ミレイの言ってること、意味不明。」
「おねえちゃんのバカ!」
「ミレイなんて、知らない。」
「ごめんね! ミレイ謝ったヨ!」
「……」
ミレイの様子がどうもおかしい…チビのくせにクソ生意気なのはいつもの事だけど、なんというか…疑って来ているのか…ミレイの眼の能力は不明だから、考え事を読んできたりとかしてくるかもしれない。
「おねえちゃん許してヨ!」
「ミレイ何考えてる?」
「ミレイ許してほしいヨ!」
「……ミレイ、うざい。」
「ごめんネ! ミレイウザいヨ!」
「ミレイ……お前の眼は何?」
「それは言えないヨ!」
「どうして?」
「秘密だからだヨ! ミレイ、とっておきは残しておかないとダメなの知ってるヨ! お姉ちゃんが秘密全部言うなら教えてあげるヨ!」
ミレイにしては妙に頭が回る…キレているいというべきか。こいつは、私の情報が欲しいのか? ただ、ばれると厄介だな。ミレイには教えない。そうした方がいい…こいつの魔法自体危険極まりないものなのだから、どんな能力の魔眼であろうと危ないことに変わりない。
「ミレイが教えてくれて、お姉ちゃんの秘密と同等かそれ以上なら話す。」
「ミレイがそれ以上のお話したら損だヨ!」
「その時は仕方ない、結婚してあげる。」
「ホント! ミレイ話すヨ!」
此奴幼いってだけじゃなくて本当にどこかがおかしい…頭がよろしくないのは知ってるがそうじゃないな。バカという次元でもない……くるってる。
「ミレイ、魔法はオーバーパワー! どんなものでも、出力無限大にできるヨ! 出来ないのは一度オーバーパワーを使ったもの! 出力は自在に調整できるヨ! ミレイ、頭は既に無限に上げてるんだヨ! 今も上がり続けてるヨ! 出力上昇速度も自由自在ダヨ! ミレイ無敵ダヨ! 負けなしだヨ!」
「負けてたじゃん…」
「相討ちだヨ! ミレイ、とっても強いんだヨ! 頭も良くて可愛いんだヨ! ミレイの秘密喋ったヨ!」
「…お前の魔法については全部検討付いていたからお姉ちゃんの秘密を喋るには足りない。」
「残念だヨ! じゃあ、お目めの話してあげるヨ! ミレイ、生れつき魔眼だヨ! ホントは赤眼! でも、赤眼してると疲れちゃうんだヨ! 残念だヨ! 青い眼の時はミレイ、特に何も変わらないヨ! 眼は大したこと無いからだヨ! 見た物の倍化! 残念だヨ!」
「倍化って…強いじゃん。」
「倍化出来るのも自由自在! ミレイのオーバーパワーで最初に上げたのが、オーバーパワーだからだヨ!」
「お前ことば足りなさ過ぎて理解に苦しむ。物心ついたときに自分の魔法に対して魔法を使ったってこと?」
「違うヨ! 魔法に対して倍化したからもう使えないんだヨ! 見れないから!」
「魔法に対して倍化を使って、魔法に魔法を掛けたんだろ?」
「そうだヨ!」
「別に、使えないわけじゃないじゃん…」
「もう一度見ないと倍化解けないんだヨ!」
「見ないと解けない…同じものを見ないとダメなの?」
「ピンポン! ピンポン! 大正解! 大正解!」
ミレイは拍手をしながら、ピョンピョンと飛び跳ねる…何が言いたい。
「えっと…整理すると、ミレイの魔法は本当は自由自在に上げれるわけじゃなかった。でも、自分の眼の能力で強化した後、自分の魔法に対して魔法を掛けたから、倍化が解けなくなった結果、今の魔法になったの?」
「そうだヨ! おねえちゃん、頭いい! テンサイ!」
眼の能力は大方、見たものに対しての倍化…ただし1つしか倍化出来ないと言ったところか…それを自分の魔法に対して使ったが、解除する条件に倍化する前か、後のどっちかの状態にまで会わせないといけない。でも、自分の魔法に対して魔法を使ったため、眼の能力は解けずにある。ということか…それで自分の能力に関しては…恐らく無限大の出力に変えたんだな。だから、こいつの母親であるコチョウ姉は魔法を使わせないようにした。出力が高すぎて扱いきれないから…それでも、出力無限大の力には到底かなわず、今も使えているのか…
これで、まだ完全状態の魔法じゃないってことか…化け物じみた能力のさらに上があるということか。
「そんなに強い能力なら、さっき爆発じゃなくてそれで殴れば解決してたじゃん。」
「出来ないんだヨ! ミレイ、出力調整難しかった! 今のミレイ凄い賢い! だからできる!」
「お前が上げたからじゃないの?」
「違うヨ! ミレイ、知能無限出力した! 頭焼き切れた! だから、頭悪い!」
「??? 死ぬんじゃないのそれ。」
「ミレイ、賢い! ミレイ、再生能力をあげた! 無限大に! でも、体の再生には限界あったんだヨ! ミレイ、頭の再生間に合わなかった! ミレイ、少しアホになった…でも、最近、ホワイト治してくれたヨ! ミレイお礼言ったヨ! お利口さん! ミレイ、頭良くなったのバレルのマズいの知ってるヨ! だから、いつも通りなんだヨ!」
「…バカのふりしてるの? ならやめろよ、うざいから。」
「ごめんネ! ミレイ、普通に喋ってるヨ! 賢いだけで、頭は幼いんだヨ!」
「頭はいいけど、それを使うだけの精神がないってことね、バカじゃん。」
「プンプン! ミレイ、バカじゃない! おねえちゃんよりも賢いヨ! お姉ちゃん、ミレイの秘密全部知ったヨ! 話して!」
「イ・ヤ・ダ!」
「嘘つき! 結婚してくれるって言ったのに!」
「女同士者結婚できないし、私の秘密を知るにはまだまだ足りない。せめて、賢くなってからな。」
「それは出来ないヨ! ミレイ、精神年齢あげたら戻れないから! ミレイ、お子様がいいヨ…」
珍しく、ミレイは悲しそうな表情を見せた…恐らく頭の中でそれをしたらどうなるのか位のイメージがあるんだろう。ミレイが賢くなれば、コチョウ姉の普通の子供にするというのに反するから。すでに反しているが…母親組の大半が普通の子供にという風に育てようとしているのに、誰も普通な子供はいない。私が一番普通なのではないかと思う程に…いや、ミズキ姉の方が普通か。眼も私の様な、危なくないし…精神状態も常に安定。私は、危ない上に不安定になったりする。おまけに、幼いのに賢い。ラミアほどではないが…もっと別な知能が高いと思う。
「そうだね、ミレイ。夢の中でお姉ちゃんの秘密にたどり着けるといいね。じゃあおやすみしよっか。」
「わかったヨ! ミレイ、夢の中でお姉ちゃん探すヨ!」
私に魔法はない・・・いや、知らないだけで使えるのかもしれないが、知らないものは知らない。夢の中でとか言っておきながら、ミレイから適当に巻くために言った口から出任せ。
ジュジュジュジュ…とヨダレだ邪魔で息が吸いずらそうな音を立てる、独特ないびきをたてながらミレイは寝始めた。




