836 リリアナ様
今回エル
瞬く間に周りを囲まれてしまった…おまけに攻撃心が剥き出しじゃないですか…見た目はベラドンナ様とかと大差ないですね…美形ですし、緑髪ですし…でも、目と耳が違いますね。眼赤いですし…、耳はエルフ耳ですし…リリアナ様はハイエルフとおっしゃってましたけど…確かに種族的にこれなら十分すぎる程の性能ですね。
「どうしてくれるんですか! 囲まれちゃったじゃないですか!」
「仕方ないじゃろ…かってに来たんじゃからな。まぁ、我が子を一番に思うのは仕方のないことじゃろ? 流石のリリアナでも、我が子を置いて他物を優先しようとは思わないのじゃ。」
「そ、それはそうですけど…この人たち最初は危害を加える気はなかったじゃないですか…」
「最初は…じゃろ?」
「リリアナ様が攻撃したからですよ!」
「まぁ、そうじゃな。爺様の記録では、亜人を統べる絶対不変の王になるのを最終目標にする種族らしくな。様々な種族が、こいつらの配下なんじゃよ。」
「そんなのどうでもいいですよ! てか、そんな資料見たことないですし!」
「亡きお爺様に代わりリリアナが憐れ連中に最後をくれてやるのじゃ。」
リリアナ様は殺すつもりなんでしょうか…リリアナ様ならやりかねませんけど。ゲームのステータス風に表示させるのであれば…攻撃力と速度、賢さ、魔力等がずば抜けてますよね…ステータス上では最も優れてますからね…リリアナ様が。
「フフ、ちょっと相手し来るのじゃ。」
そういって、リリアナ様は車窓から外に出て行かれ、車の上に乗られた。
「始めまして、さようなら。死にたくないものは今のうちにどこかに失せるのが一番じゃぞ? 娘の楽しみにしていた修学旅行の邪魔をした以上、タダで許してやる気はないのじゃからな。」
「エルフの小娘が何を言って…」
「小娘? ムゥ、確かに小娘じゃな…まだ38ぐらいじゃしな。どっちにしても、今なら見逃してやるのじゃ。」
リリアナ様の忠告を無視した数人のハイエルフがリリアナ様めがけて突撃してきたが、リリアナ様は1人当たり2,3発の蹴りをいれただけで終わった。最も、見ることは出来ない程の速さで蹴られたのだから痛いなんてレベルではないだろう…リリアナ様の最高速度は光速を超えるらしいですからね。昔は亜光速だったのに何なんですかねこの人は。光速を超えると質量無限大になるとか言われてますけど…それ以前にその速度に耐えうる肉体を持つリリアナ様が異常ですよね。現に今蹴られた数人は体に3つほど風穴を開けられたのにも気付いてない。ただ物凄い力で吹き飛ばされただけだと思ってる様子だ…リリアナ様は挑発するかのように左胸に指を向けている。蹴られた全員の心臓をぶち抜いてやったぞと言わんばかりの表情でハイエルフの集団を見ている。
「お前!」
「仕掛けてきたのはそっちじゃぞ? 死にたくないなら逃げろと言ったのに、攻撃してきたのじゃ…はぁ、ハイエルフと名乗る割に大したことのない奴らじゃな。憐れじゃから、リリアナは魔法は使わないで上げるのじゃ、感謝するのじゃぞ。最も、体術でもお前たちに勝てる要素はなさそうじゃったがな。」
リリアナ様は自分が蹴飛ばした相手を指さす…
「それとも、逃げて八人衆とやらでも呼んでくるか? リリアナは大いに、構わないのじゃぞ?」
「なぜそれを…」
「これは言い忘れておったな、リリアナは魔眼持ちじゃ。お前たちの中の誰とは言わんが、その誰かがリリアナに魔眼による攻撃をしてきたからな、情報だけ貰っておいたのじゃ。」
人間ハッキングですか…確かに魔眼は見たものに影響を与えるタイプや、自分の視覚情報を増やすタイプの物の二つに大きく分類できますが、いくら見たものに干渉を与えるタイプでも、それを逆に利用して情報を抜き取るなんて芸当は出来ない。いや、理論的に不可能。
「化け物め…」
ハイエルフの一人がボソッと呟いた。
「リリアナには最高の褒め言葉じゃな。シエル程の実力者でもなければ、リリアナに傷一つつけることも叶わないのじゃ。そうじゃな…お前たち全員の攻撃を受けてやるのじゃ。服が傷んでしまうのはちと残念じゃが、お前たちの相手がどんな化け物かよくわかるじゃろ。いくらでも攻撃してもらって構わないのじゃ。反撃はしないでおいてやるから全力で攻撃するんじゃな……死ぬ気でやらないと本当に死んでしまうぞ?」
悪戯っぽく笑ったリリアナ様だが、あの笑顔がこちらに向けられたものでないからこそ、可愛らしく見えるが、向けられた相手の方はたまったものじゃない。
「ほれ、受け取っておけ。」
リリアナ様は恐怖耐性を相手に付与した。
「恐怖はこれでなくなったじゃろ? いくらでも、好きなように攻撃するといいのじゃ。そして思い知れ、絶対に勝てない存在がいるということを。」
リリアナ様は10m程飛んで、そこでとまった瞬間、敵に物凄い攻撃の集中砲火にあった。
「リリアナ! いじめられてるヨ!」
「それならまだかわいいね。ミレイもいじめられてきて。」
「嫌だヨ! おねーちゃん嫌い!」
「あっそ。」
後ろの二人は未だに喧嘩を続けている…この二人の喧嘩は幼稚いから相手にするのはやめます…
「フフ、この程度か? 痛くもなければ、痒くもなかったのじゃ。絶対不変の王になるのは不可能じゃな。お前たちの悲願は達成されることはないのじゃ。」
傲慢な態度で煙幕の中からリリアナ様はピンピンして出てこられた。ただ、服は着替えているようで、先程とデザインが変わっている。
「しかし運のいい奴らじゃ。今のが、リョウのプレゼント品じゃなくて良かったのじゃ。もし、プレゼント品じゃったら、お前たちは塵とかしておったな。」
スキル傲慢の所持者とはいえ、この傲慢な態度。さぞ、敵の皆さんは恐怖でしょうね…自分たち達の攻撃をくらっても尚、悪戯っぽく笑う少女の笑いを取ることができないのだから…発狂しようにも、恐怖することは叶わない…なぜなら、リリアナ様によって、恐怖耐性を持たされているからだ。逃げればよかったものを逃げない彼らの方が悪いとしか言えない…リリアナ様サイドからの意見としては。
「ほれ、どうした? こないのなら…リリアナが攻撃してしまうぞ? あそこで、眠っている5人と同じ末路をたどることになるぞ?」
リリアナ様は先程蹴飛ばした敵の胸に風穴の空いた死体を指さす。
「流石にこれ以上のことは教育上よくないことじゃからな…逃がしてやっても良いぞ? その代り、ハ人衆にしっかりと伝え置くといいのじゃ、掛かって来いとな。」
リリアナ様がそういうと、ハイエルフたちは散り散りになってどこかに消えていった。
「リリアナちゅおい!」
今度はドアを普通に開けて帰ってきたリリアナ様に対して、ミレイちゃんが最初に声を掛けた。
「当然じゃろ? ミレイもちゅおくなるんじゃぞ。」
「おねーちゃん、リリアナミレイの事バカにしてるヨ!」
「事実バカだもん。」
「うう! ブッブッブッブッブ!!」
「お母さん、こいつうっとしい!」
「そんなこと言っちゃダメですよ。ミレイちゃん、私の所においで。」
「うん! ミレイ、エルの事大好き! エルと結婚ちてあげるヨ!」
「結婚ですか? 私はリョウ様としてるのでミレイちゃんとは出来ないですね~」
「でも、エル、お母さんと結婚してる?」
「どうしてですか?」
「お母さんに聞いた。ミレイ、大きくなって結婚ちたらわかるって!」
「えっと…まぁ、わかるとは思いますよ。」
マスターは嘘がつくのが本当に下手くそですね…ミレイちゃんの意味不明な結婚ちてあげるヨというのは…見られてたんですね。最近はしてないはずなんですけどね…
「お前、子供になんてもの見せておるんじゃ……」
「見せたんじゃないですよ! 見られたんです!」
「まぁいいじゃろ、リリアナの屋敷は騒がしくなりそうじゃな。」
「ご自分の性じゃないですか!」
「そうじゃったな。」
リリアナ様はニコニコとされている…流石にシエル8人分以上の戦力を1人で相手は出来ないと思いますけどね…




