825 放課後
今回サクラ
「……はぁあ。やっと終わったか。」
「お姉ちゃん、寝てた。」
「お姉ちゃん賢いからええねん。」
「よくないよ! アヤメ文句言って!」
「……授業真面目にしないと怒られるよ?」
「怒られへんわ、てか、お前らムッチャ元気やん。よーげんきでおれるわ。」
「お姉ちゃんが言うの?」
「なんで?」
「家で……」
「双子ちゃんが可愛いからええねん。うちクラスのハーフエルフにもなると、この位余裕やわ。」
「どういうこと? ミズキ、サクラの言ってることわかる?」
「さぁね。」
「マジでひどいわ~、お姉ちゃん泣いちゃそ。」
「泣かないくせに……」
「お姉ちゃん、あのね……ミズキクラブ入りたいの!」
「クラブ? 元々王都の学園でやっとったやつらが作ったあれ? それとも、最初からあるあれ?」
「ミズキじゃどっちにも入れないよ! 運動できないし……」
「うち的には……エリアルホッケーとかありやわ。」
「何それ……」
「空中でホッケーやんねん。エアホッケーと違って、上下左右の360度やからな…ムッチャおもろそうやん。エリアルスポーツは全部おもろそうやん。ついでに飛行能力手に入れてな……」
「お姉ちゃん、悪い顔。」
「それ!」
「なんやねん……」
二人してうちのことを見てくる。
「まぁ、授業終わったし帰るか? うち的には……エリアルスポーツの部活を少し今日も見学行きたいかな…」
「ミズキもおねーちゃんと一緒のやる!」
「えぇ? ミズキじゃ危ないで? 運動神経ないし……壊滅的やもん、マジでやばいで? 救いようがない。魔法で何とかするしかない程に……」
「サクラが体力おかしいだけでしょ!? ミズキは確かにヘッポコだけど…ソンナニひどくないよ!?」
「へぇ……なんなら、ミズキの得意な勉強のクラブでもするん? 超魔法研究会とかな。」
「面白そう!」
「うちはややで? 母さんみたいに危険人物筆頭になりたくはないからな……それにそんなんやり始めたら母さんが来そうやから……」
超魔法……リリアナならできるぞ! やっとその気になったんじゃな! ほれ、こうやるんじゃぞ! とトントン拍子で始まるからな……うちを危険人物筆頭にしようとするのやめーや…マジで。
「リリアナはこないよ? だって、先生じゃないもん。」
「母さん甘く見たらヤバいで? 母さん何でもできるからな……天才やねん。天才。」
「それって、サクラの事じゃないの?」
「ウチハ、家でちゃんと復讐予習完璧やからな。ミズキみたいな頭がいいわけじゃない。隠れて頑張ってんねんで。」
「言ったら隠れてる意味ないよ…?」
「ミズキはわかってないな~努力してるところを見られるのが嫌やねん、努力したっていう結果を知られるのはべつにどうでもええんや。母さんクラスの人間になるとそれすらもきっとみせへんねんやろうな。ウチは完璧主義者じゃないんよ。」
「ふ~ん」
ミズキは納得はしてなさげだが、それ以上は聞いてこなかった。
「部活、おねーちゃん。一緒にしよ?」
「賛成賛成! 私も一緒にやりたーい!」
「……何すんの?」
「今度考えとく……」
「それダメな奴やん!」
「じゃあお姉ちゃん考えてよ。」
「え……そうやな、やっぱりスポーツしたいかな。」
「嫌だよ! ミズキできないじゃん!」
「わかった、わかった。アヤメも笑ってないで考えてや。」
「エー……じゃあ、土壌研究会とか?」
「うちら農業する気ないんやけど?」
「あー……じゃあ、魔法研究会」
「お前も魔法研究会か……」
「理論は習うけどさ…魔法の実習ってないじゃん?」
「あるやろ……」
「でも…理論だけじゃわからないよね?」
アヤメはあれか……頭じゃ理解してないけどってタイプ。
「それがだめなら…神話研究会」
「神話?」
「私、家にあった本が英雄譚とかしかないから…英雄とか神様とか凄い気になるんだよね~」
「うちのメイド長に聞いたら? 神様と戦ったらしいからな。」
「スゴっ!!」
「メイド長、怒らしたら危ない。姉妹は皆この認識。」
「そうやな。」
「へぇ……それで思い出した。2人ともお母さん若くない?」
「母さんは結構歳いってるで? 人族換算ナシやったらやけど……」
「お母さんは……年齢不詳。」
「なにそれ! 見た目の話だよ! 見た目!」
「でもあんなもんちゃうん? 27,28ぐらいちゃうん? フツーの家庭は。」
「いや……まぁ、うちはそんなもんだけどさ…見た目が違うじゃん! なんていうかなぁ……若作りしてる感じの…それがないって感じ?」
「母さんは……元がええからなぁ。」
「そりゃあ、サクラも美人だし親が綺麗なのはわかる。」
「美人か? そんなことないと思うけど……ミズキの方がかわええやん。」
「可愛いかどうかだったらね……後5年たってもその見た目なんでしょ?」
「まぁ…そうやろうな。胸が大きなってるかなってないかの差かな? ならんやろうけど……母さんの遺伝子的にはあるのか。そういえば父さんが女になったら……コチョウ姉みたいになるらしいし…なら胸は比較的大きくなりやすい遺伝子やな。」
「遺伝子ってなに?」
「アヤメにはわからんか…まぁ気にせんでええよ。こっちの話や。」
「余計に気になる……ねぇ、ミズキどう思う?」
「さぁ……でもミズキは大きくならないかも。」
「なるんちゃうん? シエルがそれなりに大きいやん。」
「う~ん…どうなんだろ。」
「私大きくなるからね! 胸だけでも二人に勝つ!」
「なんて、みみっちい……みみっちすぎる。」
「うるさいな! 私魔法も運動も勉強も負けてんだから何か勝ちたいじゃん! セイラは勉強できるからセコイ!」
「魔法は今は練習中らしいな。母さんの話じゃ、雷使うらしい。母親譲りの雷か…」
「いいなぁ……才能? いや、いでんっていうんだっけ? それズルい! 私農民の子供! 魔法とは無縁の生活! 魔法使えないかも!?」
「それはないやろ……そういえば、なんでアヤメってここの学園にきたん?」
「え? 話したこと無かった? えっとね、私の住んでた村が税を納めるのはわかる。でも払えない量の税をどう払えって言うんだって前領主に文句……反乱? してたら、気が付いたら別の人が村を治めてて、勢が軽くなって、不満が無くなって、そこに9歳以上の子供を対象に勉学を学ばないかって……無償で職に就きやすくなるならいいかなぁ…って」
「結構重い話やな……オブラートに包み切れてないし。」
「え? そんなに重くないよ? お金が欲しいって話だから……うん。」
「ミズキの家は、行くべきっていうから来た。」
「義務教育とか言って、無理矢理かりだしてるだけやろ……母さんに聞いた話やけど、ここはあれらしいな。5年、5年、5年って15年学ばせるとか言ってた…一番下は5歳から。5歳になる年から強制的に生かせるらしい。そっちは学校って言うらしい。学園とは違うらしい。」
「難しい話やめてよ! サクラやミズキならともかく、私じゃ無理だから!」
「そ、そうやな……でも、アヤメ将来何になるとか決めてんの?」
「なにそれ。」
「え!? あれだよ!? お母さんみたいに研究者になりたいとか、カランお姉ちゃんみたいな凄い小説家になりとか…そんなの。」
「わからない……だって、私は大人になったら結婚して子供を育てて……後は食べ物を育てたりもって。」
「その道にはもういけへんやろ……教師になったり、うちで働いたり、他のあそこの建物であったりと色々と仕事はあんで? 後5年は仕事が溢れてるらしいからな。」
「へぇ……」
「検索したらどういう仕事あるのかすぐわかるんやけどな。」
「そういうのも出来るんだ……2人とも使いこなしてるね。」
「うちの製品らしいしな。」
「二人のお父さんってすごいんだね……私の家の父親なんて、いっつも畑を耕してるだけだよ?」
「父さんがというよりは……能力ある人を雇ってるってだけやしな、何かしてるっての聞いたことないし、なんであんなにモテてるのか意味わからんわ。」
「お父さんモテてないよ? メイドさんに聞いてもお父さんの事そんなに興味あるわけじゃないよって言ってた。」
「メイド達からしたら……ただの雇い主やからな。雇ってるのメイド長やそし……父さんは自由やな。」
「そうだね!」
「男がだらしないのは今に始まったことじゃない!」
アヤメはチラッとミズキのことを見ていた男の方を見た。なるほど、ミズキがモテてるのを少し羨ましがってるのは確かやな。まぁ、男が群がってこないだけましやろ。母さんはたまに群がられるからな…そのたびに、どけって言ってたしな。小さいころからあんなん見てたら男が低知能な連中としか思えへんねんけど…昔の父さんはちゃんとしててんけどなぁ~、今の父さんは頼り甲斐がないというかなんというか……




