7 魔法について教えてもらいました。
今回は赤羽根さん視点
「案外、人間らしい暮らしをしているのね・・・。」
「当たり前だ。シオリは、エルフをなんだと思っているのだ。」
「決まってるじゃん、エルフ=美形だろ?」
「先輩に聞いてたわけではないと思うのですが?」
「まぁ、そんなの、どうでもいいだろ。ははは。」
「・・・。」
本当にこの二人といるとこっちまで、バカがうつりそうね・・・。すでに今井君はバカが移ったようだけど・・・。
「エルフは、森の民であり、魔法に関しては、亜人族の中でも最高峰なのだ。」
「エルフは・・・美形でかつ魔法使いだったのか・・・。純潔・・・。」
「先輩、誰もエルフが魔法使いとは言ってませんよ。」
「・・・。」
「ほら先輩のせいで、赤羽根さんが、冷たい視線送ってますよ。先輩に。」
本当にこの二人は・・・。
「エルフは魔法使いではない、魔法を扱うのが亜人族の中でも最も優れているといっておるのだ。」
「魔法キターーーーー!!」
「最初から魔法を扱えるって話でしたよ。先輩聞いてなかったんですか?」
「聞いてたんじゃない。忘れたんだ。そこ重要ね。」
といって。今井君に指をさす。
いや、なにも重要じゃないでしょ。聞く気がなかったってだけでしょ。
「・・・。お前たち、人間のくせに、魔法使えないのか?」
「いいや、俺はきっと使えるぜぇ~。俺は天才なのだからな!!」
「違う意味での天才ってことよね?」
「む?なんか間違えることあったか?」
「赤羽根さんの愛情表現の一種なんですよ。きっと。」
「ち、違うわよ!!」
今井君は、私にそんな気がないこと知ってるくせにそうやってからかってくる。
「ん?お前たちは、誰にも教えてもらってないのか?」
「ええ、ちょっといろいろあってね・・・。」
嘘ではないのだから、こういう風に言っとけば何とかなると思う。
でも、普通の人は魔法を、持ってるのね。
私たちの場合はどうなるんだろ?前の世界では魔法なんてものなかったし・・・。
「魔法って俺ら使えると思う?」
今井君が私の思ってることを聞いてきた。
「それ、私も考えていたのよ・・・。」
「でも、先輩はおそらく使えると思うな・・・。」
「どうしてよ?」
なんで本村君が使えるのか。ふざけていってるのかしら?
「先輩、さっき流星拳とか言って、新しいスキル習得してたじゃん。」
「そういえばそうね。」
確かにそのことを考えれば・・・。可能性が一番高いのは本村君よね・・・。
ほんとに今井君はふざけてるようで、いつも、一歩先、二歩先を見ているのね・・・。
「でも、俺らも死んで、こっちに来たわけだから、可能性はゼロではなさそうだな・・・。」
「ええ、そうね。」
私と同じ結論なのね、安心した。
「おーい、リリアナちゃんよー、俺に魔法教えてくんない?」
いきなり、本村君が魔法教えてくれとか言い始めた・・・。
「うむ、よいだろう。私の心は広いからな。ついでにそっちのお二人さんも、教えてやるのだ。」
「まじで?リリアナ、心広いなー、羨ましいなー。」
「うむ、うむ、もっと褒めたたえてもよいのだぞ?」
今井君って人の扱い方が、うまいというのか、適当というのか、なんとも言えない・・・。
「では、まず外に出るぞ。といっても、庭だけどな。」
「よっしゃぁぁぁ!!」
「先輩うるさいですよ。」
私たちは庭に出た。
「リリアナちゃんの家でかい、だけじゃなくて、庭もでかいのだな・・・。」
「うむ、私の心のように、私の家も、大きいのだ。」
貴族か、何かなのかな?
でもこんなに大きな家、前の世界では見たことないから、比較のしようがないのよね。
「では、まず聞くが、火、水、風、地、の中で何か怖いものはあるか?」
この中に怖いものはないけど、これが何か意味があるのかしら・・・。
「何も怖くなるような要素はないと思うけど・・・。」
「そうか、お前たちは小さい時に特に問題はないのだな。」
「まぁ、怖いというほど、関わりはないもんな。」
ここで、何か怖いと問題あるのかしら。
「では、光、闇、これらは怖いと思うか?」
「俺は思わんな。夜も昼も寝てたからな。はっはっは。」
「本村君らしいわ・・・。」
「確かに、怖くはないですよね。」
「うむ、普通は、闇は、人間は恐怖するのだが・・・。」
ああ、確かに今の日本は闇といえるぐらい、暗いところはないから、怖いのではなく、知らないのか。
「なら、案外簡単そうだ。」
「ん?今の話がなにか関係あったのか?」
本村君でも、疑問に思ったんだ・・・。
「うむ、この段階で、自分が恐怖と思ったものは、まず使えん。」
「怖いものは使えないってことね。」
「そうだ、しかし、自分は怖いと思ってなくても、体のほうが怖いという風に記憶してるかもしれないがな。」
「なるほど、今は、一段目は問題ないってところか・・・。」
「むむ、ならば、俺は、完璧だな、はっはっは。」
「・・・。」
「先輩、また、冷たい目でみられてますよ。」
「なんだと・・・。」
「うむ、仲がいいのだな。次は魔力についてだが。」
魔力なんてもの、私たちが持っているのかしら・・・。
そもそも、前の世界では、存在すらしないものだったわけだし。
「少し手を貸してくれないか?」
「リリアナちゃんよ、俺の手は取り外し不可だぜ?」
「そういう意味ではないのだが・・・。」
「普通に考えたら、わかるでしょ・・・。」
「うむ、では、少し手を借りるぞ。」
リリアナの手から淡く白く光り始めた・・・。
「むむむ・・・。」
「おい、どうだ?リリアナちゃん?俺の魔力は素晴らしいだろ?」
「う~む。どうやらほんとに、主要6属性に適性があるとは・・・。」
この言い方だと、私たちが嘘ついてると思ってたのかしら・・・。
でもさっきの6つが、主要6属性とかいう大層な名前付いてたのね・・・。
「どうだ?俺の魔力量は?」
「魔力は誰でも無限にあるものだ。何を言っているのだ?」
「なんだと・・・。魔法打ち放題ではないか・・・。」
魔力が何かはわからないけど、私たちにも魔力があるのね・・・。
「打ち放題ってわけでもないぞ。その魔力をすくう器のほうが頑丈じゃなければ、すぐに魔法を使えなくなるのだぞ?そんなことも知らなかったのか?」
「なんだと・・・そんなシステムは聞いたことがないぞ・・・。」
要するに器が強くなければ漏れるということかしら。水をすくう器が穴が開いてたら漏れるのと同じということかしら・・・。
「お前の魔力許容量は普通だな。私クラスにもなると、18発近くは連射できるのだがな。お前は2発連射できたらいいほうだな・・・。」
本村君の10倍弱の魔力許容量ってことかしら・・・。
本村君は、普通のスペックでした。
魔力無限でも、使える量は決まっている・・・。