6 エルフに助けてもらいました。
今回は今井君視点です。
「・・・。赤羽根さんはこれどう思う?」
「人がこの森にいるってことがわかるぐらいしか。」
「なにぃぃ!!やっぱり、俺の感は素晴らしいではないか・・・。」
「はいはい、そうですねー。本村君はスゴーイ。」
「なんか、バカにされてる気が・・・。」
「赤羽根さんなりの愛情表現なんですよ。」
「なっ、ち、違うわよ、バカなんじゃないの?」
しかし、敬語をやめろと言われたから、やめたが・・・なんかしゃべりにくいな。赤羽根さん精神年齢は絶対俺より上じゃん。いや、悪い意味ではないのだが、いい意味でだ。
「これ、エルフでもいるんじゃないんですか?」
「ファンタジーといえばエルフぅぅっぅぅ!!」
「案外ドライアドとかかもしれないわよ。」
「なんだと・・・。」
案外こうやって騒いでるおかげか、ここに入ってから、何にも襲われてない。しかし、視線は感じる。
「だが、それもいい!!木の精霊だろ?精霊といえばファンタジー、ファンタジーといえば精霊だぁぁぁ!!」
「あなた言ってることめちゃくちゃよ。」
赤羽根さんもこのノリになれたようだ。
『ふぉふぉふぉ』とかいうノリで出てきても、「ほんとに出て来たわ」とか笑っていそうだ。
「そうね、案外エルフが出てきても、いきなり襲ってきたりしてね。『森に入るものは排除する。』とか言ってね。そんなことされたら、たまったもんじゃないけどね。」
さっきからやたらと、フラグ立ってそうだな・・・。なんか嫌な予感がするけど。
少し歩いた先に木の生えてない、場所に出た。
「食えるもん何もないだと・・・?」
「日影が涼しくて、さっきの道よりましだと思うのだけど?」
「その道を見失ってる件について。」
「大丈夫だ。ノリで何とかなるのさ。」
「たぶん無理ね。」
「これまずいパターンだと思ういますけど・・・?」
「うむ、ひじょーにまずいと思うぞ。」
「ちょっと、あなた一番前突き進んでたじゃないの。道がわかるんじゃないの?」
「いや、正しくは道が途切れたから、まっすぐ進んでたつもりだったんだが?」
「いや、どう見てもジグザグに歩いてましたよね?」
「・・・。否定はしない。」
「否定しなさいよね。」
赤羽根さんはツンデレなのだろうか?デレがないからツンツンかな?
『グギャーーーーーーース』
今までで聞いたこともないような声、いや、咆哮と呼ぶべきか?空から大きな怪鳥が降りてきた。
「ちょっと、ドラゴンとか来たら、私たち皆、食われちゃうわよ。」
「とりあえず、隠れましょう。」
「うむ、そうだな。」
俺たちはまた森に入っていった。が
『バキバキ、ズシ、ズシ』
「なんか、音がこっちに向かってきてない?」
「なんてこと言うんですか?死にますよ?」
「わが流星拳をやつのはらわたにぶちこむか・・・。」
「たぶん効かないので、やめてもらえますか?」
だが、ちょっと、シャレにならんな・・・。なぜ追いかけてくるんだ?偶然か?敵対してるのか?それとも味方か?
なにかかが俺たちとは反対方向に跳んでいくのを俺は確かに見た。
「ちょっと、なんか後ろから、すごい音するわよ。」
『ギャーーーーース、グ、グ、ギャー』
「確かに恐ろしい声がするな・・・それと悲鳴にも聞こえる・・・。」
「俺には何か別の話声みたいなのも聞こえますが?」
「私にはそんなの聞こえないわ。」
「うむ、俺にも聞こえないな。」
「気のせいですよ、たぶん。」
『ギャ、キャ、ギャギャース』
「なんか、いきなり静かになったわね・・・。」
『フフフ、感謝しなさい。偶然、私が通りかかったから、助けてあげたのよ。』
「ウォォォォォォ!!エルフゥゥゥゥゥゥぅ!」
姿見えてないのに、エルフとか言って失礼極まりないな。赤羽根さんも、痛い子を見るような目で見てますよ、先輩。
「なぜ、姿も見えてないのにエルフだと言い切れるのかしら?」
「そうですよ先輩、とりあえず、先輩だけ土下座して、ありがとうございます。私にできることなら何でもしますから。どうか姿をお見せください。ぐらい言わないと。」
「いや、あれはエルフだ。俺の感は当たるのだ。それとDOGEZAは絶対にしないぞ。」
「いや、冗談ですから。」
「・・・。」
無言で痛い子を見るような冷たい目でこっちを見ている。やめて、そういうのは先輩の役じゃないですかー。
にしても、エルフ=美形とは事実だったのか・・・。金髪の俺らと同年代の姿をした子がいた。やけに強気な奴だな・・・。
「助けてくれたのなら、ありがとう。あなたは?」
さすがは赤羽根さん、素晴らしい適応力。それにしても、こっちのイケメンは・・・。
「エルフ来たーーーーー。わが目に狂いはなし。」
またぶっ壊れてるじゃん。
あれ?金髪ちゃんがずっと俺を冷たい目で見てる・・・。やめて、そういうのは先輩の役じゃないですかー。
「私はエルフ族のリリアナよ。」
「私は人間族の赤羽根 詩織よ。」
なんという適応力だ。さすがは赤羽根さんだ。
「俺は人間の本村 竜司。」
「俺は人間の今井 陵。です。」
「しおり・・・りゅーじ、りょー。覚えた。人族がこんなところに何の用だ?」
エルフは割と友好種族のようだ。ならば話は早そうだ。
「うむ、道に迷ったのだよ、リリアナよ。ついでに、腹も減ったのだよ、リリアナよ。」
「普通、一言目でその腹が減ったとかいう?さすがは、本村君ね。」
「リリアナの心はこの森よりも広く、その限界は存在しないのだ。お前たちを私の家まで連れてってやろう。感謝するのだ。」
エルフ登場。