521 研究生活15日目夜 知りたくないこと
今回はエーアイ
「お帰りなさいませ、リリアナ様。」
「うむ・・・」
「何かあったのですか?」
「リリアナはまだ終わってないのじゃ。まだ、チャンスはあるのじゃ・・・」
「チャンスですか・・・」
「まさか、負けるとは・・・」
何かブツブツ言いながらトボトボとリリアナ様はご自分お部屋に帰られていった。
「何があったんでしょうか?」
「知らないほうがいいですよ!エーアイ様も。」
「も?リリー様は何かご存知なんですか?」
「ご存知も何も、全部見てたんですからね。でも言いません、これはエーアイ様のためでもありますからね。多分リリアナ様もすぐに立ち直りそうなんで、私は寝床に帰ります。」
リリー様はリリアナ様の空間に帰っていった。
「私のためというのはどういう意味でしょうか。」
その数分後、わかってしまった。
「お帰りなさいませ、ご主人様。それとベラドンナも・・・」
必要以上にご主人様にべったりくっ付いてベラドンナはどういうつもりなんでしょうか?酒で酔っぱらって・・・というわけでもなさそうですし、ベラドンナのことはそれなりに常識のある人と思ってましたが、それは私の間違いだったのでしょうか?でもご主人様も満更でもないようですし・・・
「お風呂の用意は出来ておりますが。」
「なら、入ってくる。」
「ごゆっくりと・・・」
ご主人様は浴場へ向かっていった・・・
「あの、ベラドンナ、あまり聞きたくはありませんが、少しご主人様にくっ付きすぎでは?」
「ご主人様が許可してくれたんだから大丈夫でしょ?それに、プライベートでということなので、問題はないと思うのだけど?」
「・・・そういうことでしたら、私からは何も言いませんが。」
リリアナ様が落ち込まれていたのはこれが原因なんでしょうか?
「そういえば、ベラドンナは妙にテンション高いですね・・・ご主人様と出掛けてそんなにいいことがあったんですか?」
「出掛けてじゃなくて、れっきとしたデートよ、いいことなら、もうたくさんあって数え切れない位だけど、私がここまで気分がいいのはやっぱり・・・最後のアレですかね。」
「アレ・・・」
なんだか、余り聞きたくはないような事なのは確かですね。
「エーアイは知りたいのですか?私は言いたいのですが。」
「いえ、いいです、結構です。」
「そう?」
「それにベラドンナは男性経験多そうですから・・・何をしててもおどろきはしません。」
「失礼しちゃうわ、私はご主人様が初めてだから。」
「・・・してきたのですか?」
「多分、今エーアイが思ったのはしてない。」
「そうですか・・・」
「ほっとしたところから見て、やっぱりエーアイも好きなんじゃないの?」
「仕事に私情を持ち込むほど未熟なつもりはありません。」
「若いのに、無理しちゃって・・・そういうかわいらしいところをご主人様に見せたらいいと思うけどね。」
「そんなわけにはいきませんから。あなたとは違うんです。」
「このまま、ご主人様と初めてを迎えるのも・・・悪くないですが、そんなに焦るほどのことでもないので今日はそんなことしません。」
「それ、どういう意味ですか?」
「そのままの意味。」
ベラドンナはいたずらっぽく笑って、去っていった。
「どういう意味なのか、理解できません・・・」
理解しているのかも知れないが、理解したくないです・・・




