417 旅の5日目昼 森林 その2
今回はベラドンナ
「やっぱり日陰は寒い・・・」
ご主人様はふと呟いた。
「もう少し厚めのものにしましょうか?」
「いや、大丈夫・・・」
虎の獣人たちは結局何もしないまま虎の獣人の縄張りを抜けて今は狐の獣人たちの縄張りを通ってるわけだが。
「やはり、彼等は何かしてくるとは思ってましたが・・・集団幻術を掛けてきてますね。」
「え?全く分からなかったんだけど・・・」
「ご主人様は高い幻術耐性があるので蚊に刺されたとも感じないのでしょう。」
「要するに格下・・・なるほど、舐められるのはあまりいい気には慣れそうにないからな・・・」
「殲滅ですか?」
「物騒な・・・そんなことしないよ?ちょっとやり返すだけ。」
ご主人様が幻術を掛けて森を樹海とでもいえばいい程の大森林に変えた。
「カラスか・・・やっぱりこのくらい幻術はかけるべきだよね。」
「世界そのものに幻術を掛けるような技術はとてもではありませんが狐の獣人には不可能かと。」
「これってそんなに難しいの?」
「普通はそんなことしませんから・・・さすがはご主人様です。」
「獣人たちはどうしてるの?」
「私の感知できる範囲内のものは全員が驚いているようですね・・・ご主人様も少々やりすぎだと思いますよ?森全域に掛かってますよ?」
「適当にやったから・・・最近使わなかったんだから、仕方ないでしょ!?」
「はぁ・・・取りあえず、もう解いてもよろしいかと思われますが・・・」
「ベラドンナがそういうなら・・・」
ご主人様は幻術を解いた。
「狐って妖術的な何かってやつ?」
「妖術・・・まじないのことですか?それは東の国の人々が使う技術ですよね?」
「そんなのあるんだ・・・どんなのなの?」
「例えば、このナイフにまじないを掛けると・・・この通り。」
一本のナイフを投るとそのナイフは数十本にも分身して木に刺さった。
「数が増えたり、色々と変わったことができるようになりますね。」
「ベラドンナって器用だね・・・何でもできるもん、ホントに流石だね。」
「いえ、私などご主人様と比べれば足元にも及びません。」
「それ俺がだよね・・・」
「いえ、私がです・・・ご主人様は謙虚ですからね。」
怠惰で使えない力を使ったとしての話だが・・・ご主人様のあの性格では正直本気になられることはまずないと思われるし、それほどまでの強敵など恐らくもうこの世界には存在しないでしょう。相手が、エーアイや、リリアナ様達ならば話は別でしょうが。
「3人ぐらい後をつけてきてますね・・・どうしますか?」
「どうって・・・あっちは喧嘩腰なの?」
「そこまでは・・・ですが、攻撃をする意思は感じれません。」
「なら、話ぐらい聞いてあげる?」
「ご主人様の命令とあれば。」
「まぁいいか。聞いてあげようよ、そろそろお腹もすいて来たし。」
「そうですね、そろそろ昼食にしても問題なさそうですね。」
私は少し開けたところのひなたで昼食の用意をした。
付けられてても普通に食事をしようとする根性は凄いと思う・・・




