36 初めての依頼をやりました。
今回は赤羽根さん視点。
「うむ、では、南の方角じゃったな。出発じゃ!!」
リリアナは元気に本村君と走っていった。
「あの二人に合わせる元気はないんだよな・・・。」
「あの二人は元気よね。」
「確かに兄妹のようだな。」
今井君は何かを思い出したようにしばらく黙りこんでしまっている。
「あの二人どこかに言ったわよ。」
「問題ないでしょ、あの二人なら。」
「確かに大丈夫でしょうね。」
「じゃあ、俺たちは俺たちでグレートウルフとやらを探そうか。」
「大丈夫なのかしら・・・。」
グレートウルフってのがどのくらい強いのか気になるけど。
「さっき、ギルドで同じシルバーのひとから聞いたけど、あんまり強くないって。」
「なら、問題なさそうね。」
「ちなみに、巣はあっちの方らしいぞ。」
「調べたの?」
「いや、これに普通に書いてあった。」
今井君は私に一枚の紙を見せた。
「それ、リリアナが持ってたやつじゃないの?」
「なくしちゃいけないから預かっとくって言ったら、そうじゃな。ってくれたよ。」
「リリアナは、子供じゃないのよ?」
「そーだねー。言ってみれば行動がお子様っぽいって感じかな?」
「ちょっとこどもらしいだけじゃないの。」
「まぁ、そろそろ、着くころだと思うけど・・・。」
「どうかしたの?」
「あそこに大きな雷でも落ちれば一掃完了・・・。」
今井君がこっちをちらちら見てくる。
「やればいいんでしょ。やれば。」
私は巨大な雷を落とした。
「ここまで大きなのは必要なっかったけど・・・。」
「私はどのくらいの敵か聞いてないのも。」
「確かにそうだよね・・・。じゃああそこの巣の中にいる黄色い角を持った個体と白い角を持った個体を探しにいくぞ。それが今回の依頼の達成条件だから。」
「わかったわ。」
私と今井君は二人でその角もち個体を探すことにした。
「獣臭いな・・・服に臭いがついたら大変だな・・・。」
「そんなこと考える暇があったらあと一匹探してよね。」
「へいへい。」
私たちは10分ぐらいは探してたと思うけど未だに白い角の個体のほうが見つからない。
「赤羽根さん、これって、ひじょーにまずいパターンだよね?」
「なにが?」
「これって、もうじき白い角の方が返ってくるパターンじゃない?」
「そんなこと言うから、出口の方から足音が聞こえて来たじゃない!」
「あはははは。ちょっとまずいよね。戦闘になったら一気にバーンってやってもらえる?」
「あなたがしなさいよ。」
「いやぁ、ギルマスと戦ってる時に無理しすぎてね。」
「あっちはずっと防御に徹してたじゃない。」
「俺だけしつこく攻撃されてたんでね。」
ただしくは俺じゃないけどとか付け足してたけど、どういう意味かしら。
「リリアナちゃんよほんとにこっちでいいのか?」
「うむ、ここにシオンの雷が落ちたのは間違いないようじゃ。」
「なんだ先輩たちでしたか。」
「うむ、シオン達がここにいるということは黄色の角の方は回収済みかの?」
「ええ、リリアナ達は白の方を?」
「うむ、リリアナは巣穴の場所は覚えておらんかったしな。シオンの雷のおかげでここまでこれた。」
「そういう意味を含めて大きな雷を落とせだったのかしら?」
「結果オーライってことですよ。そうですよね?先輩?」
「うむ、結果良ければ全てよしともいうしな。」
まったくこの二人は・・・。しかし、今井君が魔法をしばらく使えなくなるような戦いは少し見てたかったわ。今井君はかなり策士だし。
今回はこの魔物のことを書いときます。
『グレートウルフ』
・主に群れで活動する危険な魔物。
・群れのリーダーは黄色と白の角を持った二匹のつがいである。
・群れのリーダーを殺せばしばらくは統率力を失ってさほど危険ではない。
・単体ではただの狼より強いぐらいのあまり強くない魔物である。




