324 お店経営1日目夜 幻術 その1
今回もコチョウ
「このお肉おいしい・・・」
「随分とおいしそうに食べるのね。」
「だって、おいしいだもん・・・仕方ないじゃないですか。」
「ならよかったわ。ほら、まだまだあるから、どんどん食べてね。」
「はい。」
この人も結構食べてるけど・・・
「そういえば、昼間調べたらあなたって、人の望みを叶えれるの?」
「半分だけやろうと思えばできますけど、それがなにか?」
「半分だけってどういうことなの?」
「現実には存在しないけど、望みは叶えれるってことです。」
「もっと詳しく教えてくれる?」
「うーん、幻術の一種で相手の望みを叶えることを出来ますけど・・・あまりいいことではありませんね。自分だけの世界に閉じこもって出てこれなくなる可能性もありますし、そんなことで叶えたとしてもいいことはないと思いますよ。」
「後で、私に試してみてよ。」
「責任は取りませんからね。」
それにしてもこれも本当においしいなぁ・・・ジンジャーと来た時もおいしかったけど。この人奮発してくれたのかな?いい肉みたい。
「ええ、大丈夫よ。」
「・・・冷めちゃいますよ?」
「え?ああうん、そうね。」
何か、さっきと同じ冷たい感じしたけど・・・私に対してじゃないみたいだしいいかなぁ。
「ご馳走さまでした。」
「ええ、あなたがおいしそうに食べるから、こっちも奢ったかいがあったわ。」
「えへへ、そうですかね?」
「ええ、そうよ。そうだ、ねえ、さっき食事中に言ってたの試してみてくれる?」
「今ですか?」
「大丈夫よ、私の家もすぐそこだし。」
私のお店も徒歩1分以内だしいいかな。
「じゃあ始めますからね。」
リョウが使うタイプの幻術ではなく、相手を昏睡状態にするための幻術。これは、私かエーアイぐらいしか使わない幻術ね。
「ヘカティーさん?意外と重い・・・お店に先に運ばないと・・・あ。」
やってしまった感じかな。
「ただいま、シエル。」
「ちょっと遅かったですね・・・マスターなんでその女を担いでるんですか?返り討ちにしてしまったのですか?」
「違うの・・・私が悪いの・・・この人、帰ってこない気だよ。どーしよ・・・」
「マスター、おどおどした姿も実にかわいらしいですが、別にいいんじゃないですか?私は個人的にその女嫌いですし。そこらへんにほっぽりだして置いてもいいと思いますがね。」
「そんなのしたら、かわいそうでしょ。それにこの人は本当はいい人なの。」
「流石にそこまで優しく接する必要はないかと思いますけど?時には無情さも必要だと私はおもいます。」
「そんな・・・シエルの役立たず。」
「それに、マスターの幻術は相手の脳に掛けるタイプですので、恐らくこの女はすぐに帰ってくるでしょう。」
「なら、それまでここで待っててあげないと・・・」
「だから、その必要はないって言ってるのですけど。この女は危険思想を持ってるような人です。私はマスターにこの女が近づくことも許しがたいことなんです。」
「私がいいんだから、別にいいでしょ、バカ。」
「破壊力抜群・・・じゃなくて、逆にそんな女になんで優しくするんですか?」
「別に、特別な理由はないけど・・・本当は寂しいだけかもしれないでしょ?だったら、誰かが一緒にいるべきなの。」
「・・・マスターのやさしさにこの女は感謝しないといけませんね。わかりました、私が折れますよ。マスター頑固ですから。」
こっちが子供みたいに駄々こねてるだけみたいでなんか悔しいけど・・・よかったかな?
「シエル、お願いだからこの人運ぶの手伝って・・・意外と重いの。」
「この女の無駄についてる胸の脂肪が原因ですよ。」
「確かに大きいけど・・・運ぶくらい手伝ってよ・・・」
「この小さい体じゃ持てませんからね・・・エイッと。」
おお、軽くなった。
「魔法で浮かせばちょちょいのちょいですよ。」
でも、扱いは結構雑なのね・・・
コチョウは駄々をこねた!
シエルには効果は抜群だ!




